【音楽史】ドラムの歴史 Part14【ロックンロール初期】
- 2020.03.16
- 2020.03.17
- 用語解説・音楽史

昔のドラムってどんな感じだったんだろう?
このような疑問にお答えする内容です。
今回はPart14として、初期のロックンロールの歴史を振り返ります。
楽器の歴史を知ると、時代背景に沿った楽曲を作れるようになり、作曲の引き出しが増えますので、ぜひ最後までご覧ください!
(当時の再現演奏もあります!)
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1954年
1954年は、ロックンロールの曲が公式にリリースされた年です。
リリースされたのは、Bill Haley Cometsの「ROCK around the clock」という曲。
この曲を聴いてみると、なんだかいろいろなものがすべて詰まっているような、おもしろい曲だなと思いますよね。
前回までにご紹介したリズムアンドブルースから来たテナーサックス、カントリーやロカビリーから来ているスラップベース、カントリーから来ているペダルスティールとアコギ…これらが使われています。
今とは全く違うイメージの「ロックンロール」
Bill Haley Cometsのギタリストはジャズギタリストで、彼らのギターソロで有名な曲を聞いてみると、ギターソロがジャズスタイルであることがわかります。
驚くほど、僕らの考えるロックンロールとは全然違うものなのです。
ちなみにBilly Gothicというドラマーはあまり知られていませんが、彼はGene Krupaのようなスイングスタイルのドラマーで、Bill Haley Cometsではスイングスタイルのドラミングをしていました。
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映画の主題歌に
Bill Haley Cometsが「ROCK around the clock」で成功すると、2年後の1956年、ティーンエイジャーの間で流行った映画「BLACKBOARD JUNGLE」のテーマ曲となります。
ちょっとワルな若者が出てくる映画なのですが、このワルな感じがまたクールで、さらに音楽もクール。
そのため、ティーンエイジャーたちはみんなこの映画を見に映画館に押し寄せたといいます。
ティーンエイジャーにアピール
Bill Haley Cometsと同じ時期に活躍した他のアーティストに、Chuck BerryやBo Diddley、Little Richardなどがいます。
彼らは、ティーンエイジャーたちにアピールするような曲を書いていきました。
「ティーンエイジャーたちにアピールする」というのは、非常に革命的なことでした。
以前の「ティーンエイジャー」は、僕らの考える「ティーンエイジャー」でいられる時間がなかったからです。
子供達は学校から帰ってきたらすぐ仕事に行かなければならず、貧しい移民の子供達の場合はお金を稼ぐことしかできず、買い物に行くような余裕も全くありませんでした。
しかし1950年、第二次世界大戦が終わると、ティーンエイジャーたちはより「ティーンエイジャー」らしくいられるようになりました。
お金の余裕もできはじめ、若者たちもレコードを買うようになります。
これが、ロックンロールが若者向けに売り出し始めた理由です。
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ドラムの変化
次は、ドラム視点での歴史の変化を見ていきましょう。
前回までで、リズムアンドブルースは、シャッフルを用いたドラミングが使われているとお話しました。
これが1950年になると、リズムアンドブルースは「タッタ・タッタ」というリズムではなく「タタタタ・タタタタ」のように、跳ねるようにではなく、よりフラットなリズムがベースになっていきます。
Earl Palmerなどのドラマーも、このようなフラットなスタイルのドラミングに移り変わっていきました。
こうして、ロックンロールにおけるドラミングはより強く、フィルもより大きく叩かれるようになります。
ビートはストレートな8ビートで、クラッシュシンバルは次の小節の1拍目に叩かれるようになります。
(この前まではクラッシュシンバルが4拍目に叩かれていた理由はPart6で解説しています)
こうして、僕らの考えるロックンロールのスタイルは、1950年に出来上がったのです。
5:38~
つづきのPart15(最終回)はコチラ
https://www.mizonote-m.com/the-history-of-drums-vic-15/
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