【DTM】Pultec EQはなぜおすすめ?魅力と使い方を解説!
- 2024.12.04
- 2024.12.18
- ソフト・プラグイン・機材
今回はChris Selimが解説する「Pultec EQの使い方」をまとめました。
「有名なEQ」としてよく名前が挙げられるのが「Pultec EQ」です。
この記事では、なぜこのEQは世界中のDTMerに愛されているのか、その魅力と使い方を解説していきます。
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「Pultec EQ」とは?
Pultec EQとは、アメリカ・ニュージャージーでジーン・シェンクとオリー・サマランドが開発した世界初のパッシブEQのことです。
「Pultecシリーズ」として開発された製品の中には、1951年に開発された「EQP-1」のほか、中音域の音作りをメインとした「MEQ-5」などがあります。
超少人数で開発された製品ですが、そのクオリティの高さから「伝説」とされており、今ではPultec EQをエミュレートしたプラグインが数多く開発されています。
それでは、Pultec EQを楽曲全体(Bus)に使ったときの音を聞いてみましょう。
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Pultec EQの魅力2つ
Pultec EQの魅力は大きく分けて2つに分けられます。
2.「2ノブテクニック」が効果的
それではここからは、Pultec EQの使い方を解説しながらこれらの魅力について詳しくご紹介していきます。
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魅力1.Pultec EQは「ただ追加するだけでキャラクターが出る」
Pultec EQを使うとき、実は何のパラメーターを触っていなくても音が少し変わります。
それでは実際に、何のパラメーターも変更していないデフォルトの状態の音を比較しながら聞いてみましょう。
ほんの少しではありますが、確かに音に違いが出ており、Pultec EQをONにしているときの方が、音が高音域も低音域も前に出てはっきりしているように聞こえます。
つまり、本当に「ただ挿すだけ」で音に彩りが出るのです。
そのため、このPultec EQ独特のカラーが欲しくて使っているユーザーもたくさんいます。
Pultec EQの使い方
Pultec EQには、主に4つの機能があります。
アテニュエート(ATTEN):指定した周波数帯域の音量を下げる
フリークエンシー(FREQUENCY):ブーストする周波数帯域を決める
バンド(BANDWIDTH):Q幅を調整する(高音域用)
そして、これらの機能が音域ごとに分けられています。
画面左側の「BOOST」「ATTEN」「LOW FREQUENCY」は、低音域用の設定です(上記画像の緑枠)。
画面右側の「BOOST」「ATTEN」「HIGH FREQUENCY」は、高音域用の設定です。
中央にある「BANDWIDTH」は高音域にかけるEQのQ幅を決める設定で、数字が大きいほど広いQ幅になります。
(低音域のEQカーブは「シェルビング」になります)
Pultec EQの低音域用のパラメーター
Pultec EQの低音域用のパラメーターは3つあり、「BOOST(画面左側)」「ATTEN」「LOW FREQUENCY」です。
それでは試しに、EQのスペクトラムを見ながら低音域用のパラメーターを動かしてみましょう。
EQのスペクトラムを見ると、Pultec EQによってどのようなEQがかけられているのかがわかりやすくなります↓
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BOOSTとATTENを同時に行ったらどうなる?
Pultec EQの特徴の1つが、「指定した周波数帯域をBOOST(足す)もしくはATTEN(減らす)できる」という点です。
しかし指定できる周波数帯域は1箇所だけなので、BOOSTする周波数帯域もATTENする周波数帯域も同じになってしまいます。
それでは、BOOSTとATTENを同時に行ったらどうなるのでしょうか?
実は、BOOSTとATTENを同時に行うとEQのブースト量(カット量)が完全に相殺されるのではなく、指定された周波数帯域よりも少し高い周波数のところを中心にカーブがかかります。
↓低音域のBOOSTだけを行ったとき(6まで)
↓低音域のBOOSTとATTENを同時に行ったとき(両方6まで)
BOOSTとATTENで変化が加わる周波数帯域が少し異なるので、EQのカーブがユニークな形になります。
「ATTEN」はベースやキック(バスドラム)におすすめ
DTMにおける作曲やミキシングでよくあるのが、ベースとキック(バスドラム)の音域がかぶっているので、マスキング(音の打ち消し合い)が起こってしまうという問題です。
同じ周波数を中心とする楽器が複数あると、音域が被ってしまうのでお互いの音を邪魔して聞こえにくくしてしまいます。
そのため、例えば「ベースは100Hzを中心にする代わりに、200Hz付近はキックに譲る」という方法を使うことがあります。
このようなときに使えるのがPultec EQの「ATTEN」です。
例えば「LOW FREQUENCY」を100Hzに設定し、BOOSTとATTENを同時に行うと、100Hzより少し上の周波数帯域は減りますので、100Hz付近をブーストしながら、それ以上の周波数はキックにその音域を譲ることができます。
Pultec EQの高音域用のパラメーター
Pultec EQの高音域用のパラメーターは3つあり、「BOOST(画面右側)」「BANDWIDTH」「HIGH FREQUENCY」です。
パラメーターを動かしながらEQのスペクトラムを見ると、BANDWIDTHのパラメーターによってQ幅がどのように変わるのかがわかりやすくなります。
Pultec EQの画面右上「ATTEN」「ATTEN SEL」は5~10kHz専用
Pultec EQの画面右上「ATTEN」「ATTEN SEL」は、さらに高い周波数帯域(5l~10kHz)専用のパラメーターです。
そのため、例えば「ATTEN SEL」で10kHzを選択し、すぐ左のATTENの値を上げると、10kHz付近だけが減ります。
これを踏まえると、低音域のときと同様に「BOOSTしながらATTENする」ということも可能です。
魅力2.Pultec EQには「2ノブテクニック」がおすすめ
これまでご紹介した通り、Pultec EQには「BOOST」と「ATTEN」を同時に行うことで独特のEQカーブを描けるという特徴があります。
そのため、この2つのノブを使って音作りをする「2ノブテクニック」を使うのが、このEQの醍醐味と言えるでしょう。
Pultec EQをベースギターに使う例
それでは、Pultec EQをベースギターに使用する例を見てみましょう(7:00~8:33)
低音域用のBOOSTを上げただけで、とても太い音になったことがわかります。
音が少しこもって聞こえた場合は、ATTENで少し削ると音がスッキリしました。
また、ベースギターには弦を弾いたときの高音もありますので、高音域用のBOOSTを少し上げると、弦の質感を足すことができます。
Pultec EQをボーカルに使う例
次は、Pultec EQをボーカルに使用する例を見てみましょう(8:50~10:00)
子音がはっきり聞こえるように、そしてボーカルの存在感を前に出せるように高音域をBOOSTした後、ギーッと耳が痛くなるようなところだけ「ATTEN」と「ATTEN SEL」を使って削ります。
このようにすると、ボーカルをクリアに仕上げることができます。
Pultec EQをミックスバス(全体)に使う例
次は、Pultec EQをミックスバス(全体)使用する例を見てみましょう。
しっかり音全体が前に出てくるようなサウンドになっています。
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DTMでPultec EQはなぜおすすめ?魅力と使い方まとめ
以上が「Pultec EQをおすすめする理由と使い方」でした。
Pultec独特の質感が欲しい人にもおすすめ
マスキングの防止にも効果アリ◉
今回ご紹介したPultec EQをエミュレートしたプラグインは数多くありますが、その中でも人気の高い製品を下記に掲載しますので、ぜひチェックしてみてください。
Waves社「PuigTec EQs」(Wavesのお得な人気バンドル「Platinum」と「Diamond」に同梱されています)
当サイトでは他にも音楽制作における名機についてまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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