【DTM】音抜けがいいカリッとした音にするためのボーカルMIXテクニック9選

【DTM】音抜けがいいカリッとした音にするためのボーカルMIXテクニック9選

今回は、Sage Audioが教える「カリッとしたボーカルにするためのMIXテクニック」をまとめました。

全部で9個あり、組み合わせて使うことで非常に魅力的な音にすることもできますので、ぜひお試しください。

※記事内の画像は全て動画内から引用しています
※ここからは解説の該当部分から動画が始まるように設定していますので、ぜひ動画を見ながらお楽しみください。

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ボーカルMIXテクニック1.ハイシェルフ+ディエッサー

1つ目の方法は、シェルフで高音域をブーストした後、ディエッサーをかける方法です。

はじめに高音域全体をブーストすることで音が明るくなりますが、同時にキツく感じる音域もブーストすることになるため、ブーストした後はディエッサーをかけます。

特にディエッサーを強めにかけるとカリっとした音になります。

それでは実際の音を聞いてみましょう。

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ボーカルMIXテクニック2.エキサイター+ローレベルコンプレッション(アップワードコンプレッション)

次は、エキサイター(Exciter)とローレベルコンプレッションのコンビネーションです。

エキサイター(Exciter)とは?

エキサイターは高音域の倍音成分を増やすため、これを使うとボーカルがカリッと仕上がります。

この動画で使われているSlate Digital社の「FRESH AIR」はこちらから無料でダウンロードできます

ローレベルコンプレッション(アップワードコンプレッション)とは?

ローレベルコンプレッション(アップワードコンプレッション)は、小さい音の成分を持ち上げる効果があります。

Sonnox社の「OXFORD INFLATOR」や、Waves社の「MV2」が有名です。

エキサイターとアップワードコンプレッサーを組み合わせると、明るさと力強さを両方足すことができます。

僕(Sage Audio)は、FRESH AIRの「MID AIR」と「HIGH AIR」を両方とも少しブーストし(下の画像のように、14~17%ぐらい)、INFLATORではCURVEをマイナスの値にし、EFFECTを少し上げてハイエンドを増強する設定が好みです。

それでは、実際の音を聞いてみましょう。

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ボーカルMIXテクニック3.インターナル・ローシェルフ・コンプレッション

次にご紹介するのは音をカリっとさせるためのテクニックではありませんが、他のテクニックと併用するととても効果的な方法です。

一言で言うと「インターナルサイドチェイン」で、高音域以外にコンプレッションをかけるというテクニックです。

ボーカルがレコーディングの時点で高音域が豊富にあり、すでに十分カリっとした音になっていると、この高音域が原因で強くコンプレッションがかってしまうことがあります。

言い換えると、高音域が十分あるためにコンプレッサーが強く反応してしまうのを防ぐのが、このインターナルコンプレッションです。

それでは実際の音を聞いてみましょう。

補足:Pro-Cの設定の仕方

上の画像のように、Fabfilter社「Pro-C」には画面下に「SIDE CHAIN」のボタンがありますので、そちらをクリックします。

そうすると、下にEQのような画面が出てきます。

画面左にある「IN」「EXT」は、それぞれ「INTERNAL」「EXTERNAL」を表します。

INTERNALにすると、今このPro-Cを挿しているトラックの周波数帯域+音量に反応してコンプレッサーが動きます。

EXTERNALにすると、サイドチェインを設定した他のトラックの周波数帯域+音量に反応してコンプレッサーが動きます。

例えばボーカルトラックに対してPro-Cを使っているとき、ボーカルの音量に合わせてボーカルにコンプレッションをかけたいときは「INTERNAL」、キックなど他のトラックの音量に合わせてボーカルにコンプレッションをかけたいときは「EXTERNAL」に設定するとよいでしょう。
(EXTERNALに設定するとき、キックなどのサイドチェインのトリガーとなるトラックの設定の仕方はDAWでそれぞれ異なります)

参考動画(2:20~)

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ボーカルMIXテクニック4.強調&非強調サチュレーション

これまでにご紹介したテクニックの中には、高音域を強調するもの(ハイシェルフのブーストやディストーションなど)、逆に高音域を削ったり抑えるもの(コンプレッサーなど)がありました。

次にご紹介するのは、これらを組み合わせてサチュレーションをより強くかけ、ほどよく音をカリっとさせる方法です。

順番はこちら↓

1.高音域を強調(EQのハイシェルフでブーストなど)
2.サチュレーションをかける
3.高音域を削る(EQでキツくなりすぎた部分を削る)

それでは、実際に音を聞いてみましょう。

※動画で使われているSoftube社「Saturation」はこちらから無料でダウンロードできます

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ボーカルMIXテクニック5.明るいボーカルプレートリバーブ

音をカリッとさせるためには、強度が高い明るいリバーブを使うのもよいでしょう。

今回は、LiquidSonics社「SEVENTH HEAVEN」のうち、ボーカルプレートのプリセットを使い、高音域を中心に残すよう設定します。

Sendを使って、リバーブプラグインの後にEQを使って調整するのもよいでしょう。

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ボーカルMIXテクニック6.高音域にパラレルコンプ

次は高音域に対してパラレルコンプをかけるテクニックで、高音域をカリっとさせるためによく使われます。

1.Sendトラック(PAR COMP)を作る
2.SendトラックにEQを挿して、高音域だけ残す(ハイパスフィルター、6khz以上)
3.Sendトラックにコンプレッサーを挿す
4.Sendの量を調節する

こうすると、コンプレッションがかかった高音域の音が、元の音と混ざって音がほどよくカリっとします。

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ボーカルMIXテクニック7.中ぐらいのアタック+短いリリース

さらにコンプレッションをかけたいとき、アタックを中ぐらいにしてリリースを短くするのも1つのテクニックです。

こうすると、ボーカルの細かいニュアンスを壊すことなくコンプレッションをかけることができます。

ボーカルMIXテクニック8.低音域をカット+中音域を少し削る

ボーカルに高音域を加える方法としてもう一つ使えるのが、位相ズレ(フェーズキャンセレーション)の解消と高音域のマスキングです。

下記記事でもご紹介していますが、低音域や中音域を減らすことでこれらの問題を解消することができます。

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中音域(400~800Hz付近)はこのように少し削る程度で構いませんので、位置を動かしながら、高音域の抜けがよくなる場所を探ってみましょう。

他のエフェクトを使った時も、このテクニックを併用すると効果があります。

ボーカルMIXテクニック9.オーバーサンプリング

オーバーサンプリングも、実は音をカリっとさせるために効果があります。

ディストーションやエキサイター、サチュレーションなどを使って高音域を強調させたいとき、エイリアスディストーションを避けるためにオーバーサンプリングを使う必要が出てきます。

少し難しいかもしれないので、EQとディストーション、オーバーサンプリングのON/OFFをそれぞれ使いながら説明します。

例えば上記の画像は、オーバーサンプリング(OS)をOFFにし(左上)、サチュレーションをかけ(Softube Saturation)、EQのスペクトラムに変化が出ているかどうかを検証した画像です。

音は鳴らしていない(再生ボタンを押していない)ので、もしサチュレーションの値を上げたときにEQのスペクトラムに何か音が出現したら「サチュレーションをかけるだけで発生するノイズが出ている」ということになります。

そしてEQを見てみると、高音域(画面右側)にいくつかノイズが発生していることがわかります。

しかし、このままオーバーサンプリングを8xに設定すると、この高音域のノイズが消えます。

言い換えると、サチュレーションをしっかりかけながら、無駄なノイズを減らすことができるということです。

無駄なノイズが発生していると高音域のマスキングや音の質感に影響が出てしまいますので、とても重要です。

それでは、Fabfilter社「Saturn」を使った例をご紹介します。

Saturnには「High Quality Mode」があり(画面中央下、緑のランプ)、これはサチュレーションをかけたときにエイリアスノイズが発生しないよう、プラグインの内部でオーバーサンプリングの機能が働いてくれる機能です。

CPUの負荷は少し重くなりますが、音を聞くとその効果を実感していただけると思います。

音抜けがいいカリッとした音にするためのボーカルMIXテクニックまとめ

以上が「音抜けがいいカリッとした音にするためのボーカルMIXテクニック9選」でした!

1.ハイシェルフ+ディエッサー
2.エキサイター+ローレベルコンプレッション(アップワードコンプレッション)
3.インターナル・ローシェルフ・コンプレッション
4.強調&非強調サチュレーション
5.明るいボーカルプレートリバーブ
7.中ぐらいのアタック+短いリリース
8.低音域をカット+中音域を少し削る
9.オーバーサンプリング

このサイトでは他にもボーカルミックスに関するテクニックをまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓

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