【DTM】パッシブEQとアクティブEQの違いとは?初心者向けにしくみを解説!
- 2024.09.22
- 2024.09.01
- ソフト・プラグイン・機材
今回は、Tim Talks Audioが解説する「パッシブEQとアクティブEQの違い」をまとめました。
DTMに使われるEQにはさまざまなタイプがありますが、世界中のプロに愛用されているEQの中には「パッシブEQ」と「アクティブEQ」があります。
これらはいったいどのような違いがあるのでしょうか?
ここからは、それぞれの特徴や、使い方・効果的に使うコツを解説していきます。
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はじめに:パッシブEQ(Passive EQ)とアクティブEQ(Active EQ)の違いとは?
パッシブEQとアクティブEQには、「機材の中身」に大きな違いがあります。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、どちらがいい・悪いというものはありません。
パッシブEQの特徴
それでははじめに、パッシブEQの特徴を見てみましょう。
こちらは、パッシブEQの中でも最も有名な製品の一つ「Pultec EQP-1A」のプラグイン版です。
パッシブEQの特徴として、EQで周波数帯域に影響を与えるパーツが「レジスター」「コンデンサー」「インダクター」の3つしかないことが挙げられます。
また、パラメーターにはごく限られた周波数帯域しか設定できなくなっていますが、実は周波数帯域全体に影響が出ることも特徴の一つです。
例えば、このプラグインの左下には「LOW FREQUENCY」というパラメーターがあり、20Hz,30Hz,60Hz,100Hzの4つのいずれかしか選択できませんが、どの値に設定しても周波数帯域全体に影響が出ます。
この説明を聞くと「この3つのパーツは何か関係があるの?」「全体に影響が出るって、どういうこと?」と思うかもしれませんが、これらは非常に重要なポイントですので、ぜひ覚えておいてください。
パッシブEQは「ブーストせずにブーストする」
パッシブEQでは「音の信号をブーストせずに、音をブーストする」ということができます。
「でも、EQには”BOOST”というパラメーターがあるじゃないか!」
と思った方もいると思います。
確かに、このEQには「BOOST」というパラメーターがあります。
しかし、このBOOSTのパラメーターは「指定した周波数帯域を増幅」するのではなく、「指定した帯域以外をカットして、指定した帯域が増幅されたように聞かせている」のです。
例えば、上の画像のようにブーストする低域を60Hzに設定し、この状態でBOOSTのパラメーターを上げると、60Hz以上の周波数帯域がカットされます。
他の周波数帯域全体が減ったように聞こえるので、必然的に60Hzが増えたように聞こえる=ブーストされたように聞こえるのです。
パッシブEQでは「フィルター」しか使えない
パッシブEQではなぜ「ブースト」ではなく「カット」しかできないかというと、これは使っているパーツがフィルター(カット)しかできないからです。
先ほど、パッシブEQでは、「レジスター」「コンデンサー」「インダクター」の3つが使われているとお話ししました。
これらのパーツは、信号を増幅することはできず、信号をカット(フィルター)することしかできません。
「ブースト」というのは、EQ回路(EQを行う回路・パーツ)の後に通るアンプが行うもので、このPultec EQの場合は、チューブアンプの前にEQの回路があるので、温かみのある音が出ます。
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アクティブEQの特徴
それでは次に、アクティブEQの特徴を見てみましょう。
こちらは、アクティブEQの中でも有名な「SSL」のプラグイン版です。
このタイプのEQは、スタジオにあるコンソールなどでもよく見られます。
アクティブEQでは、指定した周波数帯域にフィルターをかけ、アンプやチューブ、トランジスタなどを使い、位相にズレを起こしていきます。
アクティブEQは製品によってとてもキャラクターが異なるのでSSLではSSLらしい音が、APIではAPIらしい音が、NEVEではNEVEらしい音が出ます。
アクティブEQはパッシブEQの場合と違い、狙った帯域とその周りに対してEQをかけていきます。
(このEQの影響が起こる範囲は、EQの「BAND WIDTH」の設定で変えられます)
パッシブEQの場合は、例えば「60Hzの低音域をブーストする」という設定にした場合、60Hz以上の音は全てカット(減衰)させるなど、周波数帯域全体に影響が出るという特徴がありました。
対してアクティブEQの場合は、このように「指定した周波数帯域以外すべてに影響がある」というわけではなく、指定した周波数帯域にピンポイントでEQをかけることができます。
例えば「60Hz付近をブーストする」と設定したら、60Hz付近のみにEQがかかるため、他の周波数帯域に影響は出ません。
さまざまなプラグインで見られる「パッシブEQ」と「アクティブEQ」
例えば、有名なDAW「Studio ONE」に付属しているプラグイン「Fat Channel XT」を見てみましょう。
このプラグインではさまざまなタイプのEQを使うことができるのですが、今回ご紹介した「パッシブEQ」と「アクティブEQ」を選ぶことができます。
上記の画像は、有名なパッシブEQである「Pultec EQ」をモデルにした「Passive EQ」です。
こちらは「TUBE EQ」という名前になっていますが、こちらも有名なパッシブEQ「Tube-Tec EQ」をモデルにしたものです。
こちらは「Alpine 550 EQ」という名前で、アクティブEQです。
他にも、「MANLEY」などの有名なパッシブEQをモデルにしたプラグインやプリセットがたくさんあります。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、ぜひお好みのシーンに合わせて使い分けてみてください。
パッシブEQとアクティブEQの違いまとめ
今回は、パッシブEQとアクティブEQの違いについて解説しました。
「フィルター」だけを使ってブースト/カットをする。
1つのパラメーターだけで、音全体に影響が出る
アクティブEQ
「フィルター」と「アンプ」を両方使ってブースト/カットをする。
特定の周波数帯域に絞ってEQができる。
今回ご紹介したパッシブEQとアクティブEQのプラグインはこちら↓
当サイトでは、他にもEQやコンプレッサーを上手に使い分けるための解説記事を多数ご紹介していますので、理想の音作りをするために、ぜひ合わせてご覧ください↓
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