【音楽史】ドラムの歴史 Part8【ビッグバンドの時代】
- 2020.03.10
- 2020.03.17
- 用語解説・音楽史

昔のドラムってどんな感じだったんだろう?
このような疑問にお答えする内容です。
今回はPart8として、1930年代、ビッグバンドの時代の歴史を振り返ります。
楽器の歴史を知ると、時代背景に沿った楽曲を作れるようになり、作曲の引き出しが増えますので、ぜひ最後までご覧ください!
(当時の再現演奏もあります!)
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1929年
この年は、ドラムだけでなく世界的にも記憶に残る年となります…
そう、世界恐慌が起こった年です。
多くの人が家や農場、職を失い、本当に悲惨な状況でした。
そんな時、人々を唯一救えたのがジャズでした。
以前のパートでもお伝えした通り、ジャズは最初はニューオリンズの小さなグループから始まった音楽です。
そして1920年代に入って、だんだんとビッグな音楽になっていきました。
1930年中期には、アメリカで最もポピュラーな音楽のスタイルとなり、国中を風靡しました。
「ビッグバンド」が人々にジャズを届ける媒体となったのです。
人々を勇気づけたビッグバンド
この頃のジャズはダンスミュージックでもあり、ポップ・ミュージックでもありました。
金曜日になると、人々は街に踊りに出かけていたのです。
そのため、ビッグバンドの17~18人のミュージシャンたちは、人々を楽しませよう、踊らせようと尽力していました。
このビッグバンドがアメリカ中で人気となったのは、ラジオの力がありました。
毎晩、または土曜の夜はラジオがある家や施設に行き、夜9:15~9:30はニューヨークのあるホテルで演奏しているベニーグッドマンのオーケストラの番組を聞く、といったことが行われていました。
このことから、1930年は「ビッグバンドの時代」と言えるでしょう。
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タムとシンバル、ハイハット
この時代になると、タムと小さなシンバルがドラムに追加されるようになります。
小さなシンバルを使うのは、大きいシンバルだと他の楽器の音を掻き消してしまうからです。
また、新しくハイハットがドラムセットに加わります。
ハイハットがドラムに加わってから、ハイハットがドラムにおけるタイムキーパーの役割を引き受けるようになります。
ハイハットの役割
その前の時代、ニューオリンズやシカゴスタイルのジャズでは、チョークシンバル(片手でシンバルをつかみ、片手でシンバルを叩く奏法)が使われていました。
しかしこの方法だと両手がふさがってしまうため、スネアなどの他の楽器は叩けず不便です。
そこで考えられたのが、「ハイハットを足で踏む」というアイデア。
バスドラムに対してリズムを刻むハイハットを足で踏めば、両手が空くので便利だからです。
最初は「スノーシューズシンバル」という形で誕生し、バスドラム1回に対してハイハットを1回鳴らす「ブンチャ・ブンチャ」というスタイルが生まれました。
途中で、いわゆる「手で持つハイハット」の「ハンドソックシンバル(Hand Sock Cymbals)」という楽器も誕生しましたが、1920年代最後になると、これらを全部一緒にしてしまえないか?という考えが生まれ、今皆さんがご存知のスタイルに落ち着きました。
これで、足でハイハットを踏んで鳴らすこともできるし、スティックで叩くこともできるようになりました。
ハイハットとドラムにとって、とても飛躍的な進化となったのです。
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ハイハットの名前の由来
ちなみに「ハイハット」という名前の由来は、初期のハイハットの名前から来ています。
初期のハイハットは「ローボーイ(Low Boy)」と呼ばれており、その後誕生したのが現在のハイハット。
ローボーイは、シンバルの位置がかなり足元に近いところにセットされていました。
その「ローボーイ」に対して、「ハイハット」と名付けられました。
ビッグバンド時代におけるもう一つの変化
前回までのシリーズで、ジャズはマーチングのとても強い「ドンチャ・ドンチャ」というフィーリングを基にしてできたというお話をしました。
いつもキックが1・3小節目に鳴るスタイルですね。
しかしこの1930年代になると、毎回表拍に「ドン・ドン・ドン・ドン」と鳴らすスタイルが出てきます。
こんな感じですね↓(6:02~)
つづきのPart9はコチラ
https://www.mizonote-m.com/the-history-of-drums-vic-9/
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