楽器解説

【音楽史】ドラムの歴史 Part13【ロカビリーのはじまり】

History of the Drumset - Part 13, 1954 - Rockabilly

今回は、ドラムスティック・マレットを開発している世界的なメーカーVic Firthが解説する「ドラムの歴史」をまとめました。

この記事ではPart13として、ロカビリーのはじまりを中心に振り返ります。

1954年はロックンロール誕生の年

1954年は、人々にとっての「音楽」の概念が大きく変わる年となります。

そう、ロックンロールの誕生です。

ロックンロールのキーとなるのが「ロカビリー」なのですが、この言葉をあまりご存知ない方が多いでしょう。

今回は、このロカビリーについて解説していきます。

音楽ジャンル「ロカビリー」とは?

ロカビリーはアメリカのテネシーやテキサスなど、アメリカ南部に関わる音楽です。

基本的にはカントリーミュージックをベースにしており、これにドラムなどの「ビート」を加えているのが特徴です。

ロカビリーの進化において、ドラムは非常に重要な役割を果たしています。

Blue Suede Shoes
Elvis Presley - That's All Right (Official Audio)
Johnny Todd Pink Cadillac

カントリーは、もとはヨーロッパから来た、アコースティック楽器をベースにした音楽です。

ドラムは使われておらず、アコギやバンジョーなどの弦楽器を中心に使っています。

関連記事

しかし、1950年代になると他の音楽ジャンルがドラムを使い始めたため「よし、カントリーでもドラムを使ってみるか」と、新しい風潮が生まれます。

カントリー+ドラムという組み合わせは、ロカビリーというジャンルにおいて多く見られました。

レーベル・SUN STUDIO(Sun Recordings)

ロカビリーは、SUN STUDIOというレーベルで誕生しました。

Johnny Powers - Be Mine, All Mine - 1959 Rockabilly - SUN 327

ここは、Elvis PresleyやJohnny Cash、Jerry Lee LewisCarl PerkinsRoy Orbisonなどがレコーディングを行ったレーベルとして有名です。

彼らはいずれも、クールなロカビリーサウンドを追求していました。

ロカビリーのサウンド

ロカビリーにおいて、ドラムはそこまで目立つ役割ではありません。

ときおり「チッキ・チッキ・チッキ・チッキ」というクリック音が聞こえますが、これはドラムではなく、スラップベースによるものです。

コントラバスを弾いて演奏する「スラップベース」がリズムを刻んでいるので、そのような音が聞こえるのです。

Elvis Presley - Baby Let's Play House
GENE VINCENT - RACE WITH THE DEVIL
Danny Mcvey - One In a Million (ROLLIN' RECORDS)

「デッドストリングギター」というサウンドも、ロカビリーの特徴の一つです。

デッドストリングギターとは、コード音を鳴らさず、弦のパーカッシブなアタック音を鳴らす奏法です。

「静かなドラム」再び

ロカビリーにおけるドラムは「控えめ」で、ブラシを使っていました。

ドラムにブラシを使う具体的な理由は、以前のPart4でお伝えした通りです。

初期ロカビリーのヒット曲は、Carl Perkinsの「Blue Suede Shoes」です。

この曲でも、前述のブラシ、デッドストリングギター、「チッキ・チッキ」のリズム、スラップベースが使われています。

Blue Suede Shoes

聞いてみると、カントリーでもリズムアンドブルースでもなければ、ロックンロールでもない…どちらかと言うと、全てを混ぜ合わせたようなサウンドであることがわかります。

これが「ロカビリー」の大きな特徴です。


つづきのPart14はコチラ


人気記事

1

今回は、DTMでおすすめの民族楽器系音源・プラグインをまとめました。通常のポップスやオーケストラではあまり使われない楽器や、非常にニッチな国・地域特有の楽器が使える製品もまとめています。インド・中国・北欧・ケルト系・アラブ・ガムラン系など幅広くご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。

2

今回は「絶対に買って損しない、おすすめDTM音源・プラグイン」をまとめました。特に多くの音楽プロデューサーに愛用され、世界中でベストセラーになり、買っても絶対に損しないと思えるプラグインはかなり絞られます。ここでは初心者からプロまで使えて「これさえ買っておけば問題なし」と断言できる「世界で愛用されているおすすめDTM音源・プラグイン」をご紹介します。

3

今回は、ユニークな音がすぐ作れるおすすめのマルチエフェクトプラグインを5つご紹介します。 いずれも1つのプラグインでさまざまなエフェクトが使えますので、1つ持っておくだけでもサウンドデザインの幅が広がります。 「何でもいいから何か変化を加えたい」というときにも効果的ですので、ぜひチェックしてみてください。

4

今回は、主にポップスやダンスミュージックで使えるシンセサイザープラグインをご紹介します。いずれも世界的プロも愛用する人気プラグインですが、それぞれ特色が異なりますので、できるだけたくさん持っておくと目的に合った音作りがしやすくなります。まだ持っていないプラグインがあれば、ぜひチェックしてみてください!

5

この記事では、映画音楽やゲーム音楽で使える打楽器・パーカッション音源をご紹介します。ハリウッド映画トレイラーのような迫力のある打楽器アンサンブルから、繊細なオーケストラパーカッションを作りたいときまで幅広く使えますので、ぜひチェックしてみてください。

6

ここでは、AmazonのKindle Unlimitedで読めるおすすめのDTM・作曲関連書籍をご紹介します。月額1000円程度で対象本がすべて読み放題になるサービスですが、実はDTMや作曲関連の本・雑誌も対象作品が多数あるため、作曲をしている方にも非常におすすめできます!

7

今回は、これからDTMをはじめたいという方向けに「Amazonで買えるDTM初心者セット」を3つご紹介します。「これからDTMをはじめたいけど、何を買ったらいいかわからない」「とりあえずこれさえ買っておけばOKみたいなセットはない?」このような方のための記事ですので、ぜひ参考にしてください。

8

今回は、DTMでおすすめの和楽器プラグイン・音源をまとめました。それぞれ特有の音色・アーティキュレーション・奏法が使えるため、なるべくたくさん持っておくと目的に合ったサウンドを作りやすくなります。まだお持ちでない方は、ぜひチェックしてみてください。

9

今回は、音楽プロデューサーのAlex Romeが解説する「どんな曲も劇的に改善するPanのやり方」をまとめました。Pan(パン)は、使い方によっては音がとても不自然に聞こえてしまうことがあります。そこでこの記事では、DTMで上手にMIXするためにはPanをどのように調整すればいいのか、そのコツを8つご紹介します。

10

今回は、音楽好きの方や音楽家・DTMerにおすすめのふるさと納税返礼品をまとめてご紹介します。楽器本体、楽器関連機器、パソコン関連機器、音楽関係のチケット、音楽関係の雑貨など、音楽に関係する返礼品は非常にたくさんあります。気になる返礼品があれば、ぜひチェックしてみてください!

-楽器解説