楽器解説

【音楽史】ドラムの歴史 Part11【リズム&ブルース・シャッフル・バックビート】

History of the Drumset - Part 11, 1948 - Rhythm & Blues

今回は、ドラムスティック・マレットを開発している世界的なメーカーVic Firthが解説する「ドラムの歴史」をまとめました。

この記事ではPart11として、リズム&ブルース・シャッフル・バックビートの歴史を中心に振り返ります。

1948年に起こったこと

次に大きな変化が起こるのは、1940年代おわりの1948年です。

この年にはある有名な曲が誕生し、新しい音楽のスタイルを確立していきます。

前回のPart10では、ビーバップはビッグバンドの影響を受けたものだとお伝えしました。

今回ご紹介するのもビッグバンドから影響を受けていますが、これにダンスのフィーリングを保ったスタイルの音楽です。

みなさんも名前は聞いたことがあるでしょう、「リズムアンドブルース」です。

ビーバップと同じ、アフリカ系アメリカのスタイルの音楽です。

Jools Holland and his Rhythm & Blues Orchestra - "All Right" - OFFICIAL

リズムアンドブルースに踊らせる要素を足す

リズムアンドブルースはビッグバンドと似ていますが、ビッグバンドよりもより少ないホーンセクション(主にサックス、トランペット、トロンボーン)で、四つ打ちのスタイルが基本です。

しかし人々を踊らせたいのであれば、より大きなサウンドにする必要があります。

そこで使われたのが、エレキギターとエレキベースです。

これらのおかげで、人数が少なくてもより大きな音を出せるようになりました。

Buster Brown Rhythm & Blues Band - 'You Can't Stand Alone'

リズム「シャッフル」を使用

この頃のドラマーたちは、よりヘビーなグルーヴのドラミングを好んでいました。

そのために使っていたのが、「シャッフル」のリズムです。

ジャズのハイハットでおなじみの「ターン・タッタ・ターン・タッタ」というグルーヴではなく、「タッタ・タッタ・タッタ・タッタ」という、よりヘビーなグルーヴに聞かせるパターンを使い始めたのです。

ジャズの「ターン・タッタ」のグルーヴ

Jazz "Four" | Drum Metronome Loop | 100 BPM

シャッフルの「タッタ・タッタ」のグルーヴ

An Introduction to the Shuffle

1948年「Good Rockin’ Tonight」

1948年になると、大ヒット曲「Good Rockin’ Tonight」が誕生します。

この曲ではバックビート(2・4拍目)に重心を置いたフレーズが使われ、「ドッド・タッド・ドッド・タッド」というリズムが流行ります。

Wynonie Harris - Good Rockin' Tonight

このバックビートに重心を置いたスタイルは、現代でもあらゆるジャンルで用いられているスタイルです。

むしろ、このスタイルでない音楽の方が珍しいかもしれません…

実は1948年になるまで、このバックビートに重心を置くスタイルは一般的ではなかったのです。

まだテクノロジーが進歩していなかったため、あらゆる理由でこのスタイルを叩くのが難しかったとも言えます。

今、最も多く使われているバックビートのスタイルは、この「Good Rockin’ Tonight」が始まりでした。

今回ご紹介した「リズム&ブルース」「シャッフル」「バックビート」の時代の代表曲と言えるでしょう。

再現演奏(4:12~5:05)

History of the Drumset - Part 11, 1948 - Rhythm & Blues

シャッフルのドラムパターン

シャッフルでは、ジャズのライドシンバルの「ターンタッタ・ターンタッタ」のリズムが使われています。

5:50~5:52

History of the Drumset - Part 11, 1948 - Rhythm & Blues

しかしリズムアンドブルースでは、「タッタ・タッタ・タッタ・タッタ」というフレーズが使われました。

6:01~6:03

History of the Drumset - Part 11, 1948 - Rhythm & Blues

これらの違いをもう少しだけ詳しく見てみましょう。

最初はシャッフルのリズムでバックビートなし、次はバックビートを入れて叩いてみます。

6:18~7:08

History of the Drumset - Part 11, 1948 - Rhythm & Blues

このように聞き比べてみると、シャッフルの「タッタ・タッタ・タッタ・タッタ」は跳ねるようなリズムなので、思わず踊りたくなるようなグルーヴであることがわかります。

このようにドラムのリズムが変わることで、また新しい音楽ジャンルも誕生していったのです。


つづきのPart12はコチラ


人気記事

1

今回は、DTMにおすすめのストリングス・弦楽器音源をまとめました。ストリングス音源は1つ1つ使える音色やアーティキュレーション、マイキング、操作性が異なります。そのため、できるだけたくさん持っておくと自分の理想のサウンドにしやすく、レイヤーしたときの充実感がUPします!

2

この記事では、映画音楽やゲーム音楽で使える打楽器・パーカッション音源をご紹介します。ハリウッド映画トレイラーのような迫力のある打楽器アンサンブルから、繊細なオーケストラパーカッションを作りたいときまで幅広く使えますので、ぜひチェックしてみてください。

3

今回は、Alex Romeが解説する「10個のコードパターンで10種類の違う感情を表現!」をまとめました。 自分の表現したいものを、コード進行でうまく表現できない…そんな方に必見の内容です!

4

今回は、FabFilter公式が解説する「Saturn 2の紹介」をまとめました。「Saturn 2」は一言で言うと「サチュレーション・ディストーションプラグイン」なのですが、この記事を読めば「一体どんな使い方ができるのか?」「なぜこれだけ世界中で多くのプロに愛されるプラグインなのか?」がお分かり頂けます。

5

DTMをしていると、DAWのプロジェクトファイルや作曲に関わる資料が大量に作られてしまい、ファイル探しに難航したり、データを紛失したり、容量がすぐいっぱいになってしまいます。そこでこの記事では、このような「膨大な量のファイルを適切に整理する方法」と「ファイルを守るためのバックアップ術」について解説します。

6

今回は、DTMでおすすめの和楽器プラグイン・音源をまとめました。それぞれ特有の音色・アーティキュレーション・奏法が使えるため、なるべくたくさん持っておくと目的に合ったサウンドを作りやすくなります。まだお持ちでない方は、ぜひチェックしてみてください。

7

エモくてかっこいい曲を作りたいんだけど、いい感じのコード進行ってある?いつも使ってるコードを、かっこいいコード進行にしたい!今回はこのような要望にお答えする内容です。「Em」「C」などのシンプルなコードを、ほんの少しの工夫でエモいコードにする方法をご紹介!このコードを使った「エモいコード進行」も同時にご紹介します。

8

今回は、初心者からプロまで使えるおすすめのDTMイヤホン・ヘッドホン14選をまとめました。値段順にご紹介しますので、ぜひ予算に合わせてご自身に合う製品を見つけてください。

9

今回は、DTMでおすすめのオーケストラ系楽器がすべて使える音源をまとめました。1つ購入するだけで弦楽器・金管楽器・木管楽器・打楽器すべてが揃うだけでなく、世界中のプロが愛用する高品質の製品ばかりですので、まだお持ちでない方はぜひチェックしてみてください。

10

この記事では、世界中の作曲家・音楽プロデューサーが使っているおすすめの木管楽器音源をご紹介します。ここでご紹介するのは、フルート・クラリネット・オーボエ・サックス・ファゴットなどさまざまな木管楽器が使える音源です。同じ楽器でも音源によって音色が少し異なりますので、複数持っていると使い分けることができるほか、レイヤーしたときもリアルさと壮大さを増すことができます。

-楽器解説