【音楽史】ファンク(Funk)って、どんな音楽?【ベース編】

【音楽史】ファンク(Funk)って、どんな音楽?【ベース編】

ファンクって名前は聞いたことあるけど、「どんな音楽か」と聞かれると、ちゃんと答えられないな…

ファンクにはどんな歴史があるの?

 
このような疑問にお答えする内容です。
 

今回は英語版wikipediaの「ファンクミュージック」について、まとめてみました。

 
今回はPart3として、ファンクにおけるベースの特徴ついて解説していきます。
 
Part1: 概要編(ファンクのざっくりした説明、言葉の定義と語源、このジャンルで有名なアーティスト、ざっくりした音楽的な特徴)

Part2: よく使われるリズム、テンポ、コード、スケール

Part3: ファンクにおけるベースの特徴

Part4: ファンクにおけるドラムの特徴

Part5: ファンクにおけるギターと鍵盤楽器の特徴

Part6: ファンクにおけるボーカル・歌詞・ホーンセクションの特徴

Part7: ファンクの歴史(初期、ニューオリンズ)

Part8: ファンクの歴史(1960年代、James Brownの活躍)

Part9: ファンクの歴史(1960年代後半〜1970年代前半)

Part10: ファンクの歴史(1970年代、ジャズファンク)

Part11: ファンクの歴史(1980年代、シンセファンク、Prince、YMO)

Part12: ファンクの歴史(1980年代後半〜2000年代)

 

ファンクは音楽的にも歴史的にもとてもおもしろいため、このシリーズは長編になっていますが、読み進めれば必ずどこかで面白さがわかってきます!
 
ぜひ最後までご覧ください。
 

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ベースの基本的な特徴

 
強めのギターリフとベースライン(エレキベース)を使うことによって、ファンクでは強烈なグルーヴ感を生み出しています。
 
ファンクの楽曲では、ベースは曲の中心として使われており、「フック(Hook)」も担当しているため「最もベースラインが目立つスタイル」とも呼ばれているほどです。
 

初期のファンクの特徴

 
初期のファンクのベースラインはシンコペーション(8分音符のシンコペーション)が使われていますが、ニューオリンズファンクよりも「より前に行くような感覚」があり、ルート音に対する長3度の音に加え、ブルーススケールの音が使われていました。
 
(ブルーススケールは「1 b3 4 b5 5 b7」ですので、これにメジャー3rdを足して「1 b3 3 4 b5 5 b7」となります。)
 

以降のファンクでは、16分音符のシンコペーション、ブルーススケール、繰り返しのパターン(オクターブの移動やより広いインターバルを利用したものが多い)がよく使われています。
 
ファンクのベースラインは、「繰り返しのパターン」「変わらないグルーヴ感」「休みなく続けて演奏」「スラップベース・ポッピングベース」が強調されています。
 

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スラップベース・ポッピングベース

 
スラップは親指で弦を強く叩く奏法で、親指を意味する”サム(Thumb)”と呼ばれています。
 
ポッピングは指に弦をひっかけ、そのまま引っ張ることで弦をフレットに叩きつける奏法で、「プラック(Plucked)」とも言います↓
 

Slap & Pop Bass – Bad vs Good Technique (Beginner/Intermediate)

 

スラップでは主に低い音を鳴らし、ポップでは高い音を鳴らすことが多いです。
 
この2つの奏法を組み合わせることで、ドラムのようなリズミカルな演奏ができるのです。
 
そしてこれが、ファンクの中でも最も特徴的な要素となります。
 

Funky Slap Bass Solo 🎸

 

「ファンクらしさ」を使わないアーティストも

 
スラップや「ファンキーなサウンド」がファンクにおいて重要である一方、Rocco Prestia(Tower of Powerのメンバー)などのファンクのベーシストの中には、このアプローチを使わない人もいました。
 
彼らは代わりに、James Jamersonの「Motownプレイングスタイル」をベースとした、フィンガースタイルメソッドを使っていたのです。
 

Rocco Prestia of Tower of Power: Oakland Stroke

 

奏法の例(1:56~)

The James Jamerson Motown Bass Sound | Reverb Bass Tricks

 

ファンクベースは、粗く、パーカッシブな感じのサウンドが特徴的です。
 
ミュート奏法を使うことでゴーストノート(デッドノート)を取り入れているのも、この要因の一つです。
 

ベースに使われるエフェクト

 
ファンクベーシストの中には、エフェクト類を使ってサウンドに変化を加えることもあります。
 
たとえば「エンベロープフィルター(Envelope Filter)」を使い、オートワウ(Auto Wah)でベタベタとした感じの音にしたり、ベースの音でキーボードシンセの音を模倣したりすることがあります(Mutron エンベロープフィルター)。
 

Mu-Tron Micro-Tron III Envelope Filter Demo

 

The Original Funk box Mu Tron III

 

Bootsy Collins & Envelope Filter – Sirvandez

 

また、オーバードライブファズ(Overdriven fuzz)のエフェクトを使い、「オールドスクールスタイルのファンクのサウンド」のようにしたりすることもあります。
 

Voodoo Child (FRETLESS FUZZ BASS)

 

他にも、フランジャーやコーラスなどが使われます。
 
 
ファンクベーシストとして有名なBoosty Collins(後述)は、Mutron Octave Dividerを使っていました。
 
これはジミ・ヘンドリクスによって名前が知られた「オクタヴィアペダル(Octavia Pedal)」のようなオクターブペダルで、1オクターブ上下の音を2倍にし、未来感があり、低音がより厚みを増す音にできるエフェクトです。
 

Mu-Tron Octave Divider Flashback Review | MikesGigTV

 

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有名なファンクのベーシスト

 
ファンキーベースで有名なベーシストには、こちらのアーティストが挙げられます。
 
(みなさんもよくご存知の楽曲にも参加していますので、ぜひ一度聞いてみてください)
 

Bernard Edwards(”Chick”のメンバー)
 

Chic – Good Times (Atlantic Records 1979)

 

Chic / Everybody Dance

 

Robert “Kool” Bell(Kool & The Gangの元メンバー)
 

Kool & The Gang – Celebration

 

FINAL LADIES NIGHT BASS LINE/ ROBERT"KOOL"BELL

 

Mark Adams (Slaveのメンバー)
 

Slave – Slide (1977)

 

Johnny Flippin(Fatbackのメンバー)
 

Fatback – Backstrokin' (Official Audio)

 

Fatback Band – I Found Lovin' (12" Version)

 

Boosty Collins
 

 

Bootsy Collins – Bootzilla (1978)

 


 
 
以上で今回の解説は終わりです!
 

ちなみに、今回の内容を踏まえてファンクの打ち込みを練習したい方はこちらがおすすめ!
 
楽譜を見ながら打ち込めば、ファンクの打ち込みテクニックを身につけられます。
 
ファンク以外のジャンルのパターンも勉強できますので、ぜひチェック!↓
 


 
↓つづき「ファンクにおけるドラムの特徴」
 

【音楽史】ファンク(Funk)って、どんな音楽?【ドラム編】