音楽ジャンル解説

【音楽ジャンル】ファンク(Funk)とは?どんな音楽?【1960年代後半〜1970年代前半編】

ファンクって名前は聞いたことあるけど、「どんな音楽か」と聞かれると、ちゃんと答えられないな…
ファンクにはどんな歴史があるの?

このような疑問にお答えする内容です。

今回はPart9として、1960年代後半〜1970年代前半のファンクについて解説していきます。

ファンクは音楽的にも歴史的にもとてもおもしろいため、このシリーズは長編になっていますが、読み進めれば必ずどこかで面白さがわかってきます!

ソウルの時代に「Funky」の名前を使った最初の楽曲は?

この頃になると、他の音楽グループはJames Brownや彼のバンドが編み出したリズムやボーカルを、自身の音楽にも取り入れるようになります。

そして、ファンクのスタイルはだんだん成長していきます。

アメリカのアリゾナ州Phoenixを拠点にしていたDyke and the Blazers1967年に「Funky Broadway」をリリースしますが、おそらくこれが最初の「ソウルの時代に”funky”という言葉を使った最初の楽曲」と言えるでしょう。

Dyke & the Blazers - Funky Bway pts 1 & 2

ちなみにソウルについてはこちらの記事でまとめています↓

Jimmy McGriffとエレクトリックファンク

1969年になると、Jimmy McGriffは特徴的なオルガンや激しいホーンセクションを使った「エレクトリックファンク」の楽曲をリリースします。

Jimmy McGriff - Electric Funk [FULL ALBUM]

Charles Wright & the Watts 103rd Street Rhythm Band

一方アメリカ西海岸では、Charles Wright & the Watts 103rd Street Rhythm Bandが、1971年に彼らにとって最初のアルバム「Express Yourself」をリリースします。

CHARLES WRIGHT & the WATTS 103rd STREET RHYTHM BAND Express yourself

Tower of Power

また、特にオークランドやサンフランシスコでは1968年に結成されたバンドTower of Power(TOP)が現れ、人気を博します。

1970年のデビューアルバム「East Bay Grease」は、ファンクの歴史において非常に重要な作品となります。

彼らは1970年代全体を通して、TOPは数々のヒット作を連発。

ファンクを「成功したジャンル」へと導き、ファンクのリスナーを増やすことに貢献しました。

Tower Of Power -Knock Yourself Out (1970)

Sly & the Family Stone

1970年代になるとSly & the Family Stoneの楽曲「Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)」と「Family Affair」がチャートで1位を獲得します。

これらの楽曲は、彼ら自身とファンクというジャンルの名を著しく広めることになります。

Sly & The Family Stone - Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)
Sly & The Family Stone - Family Affair (Official Audio)

The Meters

ニューオリンズのファンクグループとして知られるThe Metersは、1969年にR&BチャートのTOP10に入った「Sophisticated Cissy」と「Cissy Strut」で名を広め始めます。

Sophisticated Cissy
METERS Cissy Strut

The Isley Brothers

また、同じくファンクグループの中でも有名なThe Isley Brothersは、1969年にR&BのNo1ヒットとなる「It’s Your Thing」をリリース。

アフリカ系アメリカ人音楽を打開し、James BrownのジャズサウンドやサイケデリックロックのJimi Hendrix、アップビートソウルのSly & the Family StoneやMother’s Finestとの差を埋めていきます。

The Isley Brothers - It's Your Thing (Official Audio)

The Temptations

「Motownサウンド」の誕生に貢献したThe Temptationsは、ポップとソウルを融合させたサウンドで一躍有名に。

新しいサイケエリックのサウンドは、1960年代終わり頃も使われていました。

I Can't Get Next To You
The Temptations - Psychedelic Shack (Extended Version)

Norman Whitfield

彼らのプロデューサーであるNorman Whitfieldは、サイケデリックソウルのイノベーターとなり、より新しく、よりファンキーなサウンドをアーティストに提供していきます。

Edwin Starr- War (HQ)
The Undisputed Truth - Smiling Faces Sometimes
The Temptations - Papa Was A Rolling Stone

この後には、MotownのプロデューサーであるFrank WilsonはLee Kernaghan
の「Keep On Truckin’」を、Hal DavisがThe Jackson5の「Dancing Machine」などをプロデュースし、大きく活躍しました。

Stevie WonderやMarvin Gayeもファンクのビートを1970年のヒット曲に用いています。

Superstition
Stevie Wonder - You Haven't Done Nothin'
Leon Ware - I Want You (Live in Amsterdam, 2001)
Got To Give It Up

P-Funk(パーリアメントファンク)

この頃、新しく結成されたミュージシャンたちは「ファンクロック」のアプローチをさらに発展しようとし始めます。

特に、バンド「Parliament」「Funkadelic」のメンバーであったGeorge Clintonによって、大きなイノベーションが起こりました。

同時に、彼らはジャズやサイケデリックロックの影響を強く受けた、新しいサウンドを開拓していきます。

実はParliamentとFunkadelicの両バンドはバンドメンバーを共有しており、よく「Parliament-Funkadelic」と呼ばれていました。

Parliament-Funkadelicの人気は、「George Clintonのバンドサウンド」を表す単語「P-Funk」の普及にも繋がり、やがて「P-Funk」という新しいサブジャンルが生まれます。

(他にも、P-Funkは「真髄」「素晴らしいクオリティ」「ユニーク」という意味もあります)

Parliament Funkadelic - Bring The Funk

Clintonは他のバンドの中心メンバーでもあり、Parlet、the Horny Horns、Brides of Funkensteinなどに所属していました。


以上で今回の解説は終了です。

↓つづき「ファンクの歴史(1970年代、ジャズファンク)」


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