音楽ジャンル解説

【音楽ジャンル】ファンク(Funk)とは?どんな音楽?【ファンクのはじまり編】

今回は英語版wikipediaの「ファンクミュージック」をまとめました。

この記事ではPart7として、ファンクの歴史(初期、ニューオリンズ)について解説します。

ファンクは音楽的にも歴史的にもとてもおもしろいため、このシリーズは長編になっていますが、読み進めれば必ずどこかで面白さがわかってきます!

ファンクのルーツは?

アフリカ系アメリカ音楽の特徴は、サブサハランアフリカの伝統音楽がルーツです。

彼らはスピリチュアル、ワークチャンツ・ワークソング、シャウト、ゴスペル、ブルース、そして「ボディーリズム」などから表現方法を編み出しました。
ボディーリズム:ハムボーン、パッティングジュバ、リングシャウトのクラップや足踏みのパターンなど

ハムボーン

Steve Hickman Hambone Artist - live in concert!

パッティングジュバ

JUBA DANCE: The dance of African slaves in American plantations

リングシャウト

Plantation Dance Ring Shout

ファンクはソウル・ソウルジャズ・R&B、そしてアフロキューバンのリズムを合成させたもので、これらはニューオリンズで再構成・吸収されています。

ジャズやソウル、R&Bなど、他のアフリカ系アメリカ音楽のように、ファンクは公民権運動中・後のデモや運動と同時に起こりました。

ファンクでは、下級・労働階級であることから直面する日々の葛藤や苦難を表現することを許容しています。

ニューオリンズとファンク

アフリカ音楽学者のGerhard Kubikは、ニューオリンズを除き、初期のブルースでは複雑な「ポリリズム」が少なく、20世紀初期のアフリカ系アメリカの音楽には特定の非対称の「タイムラインパターン」が存在していると言及しています。

タイムラインパターン:サハラアフリカ音楽において用いられる、リズムの編成・リズムの構造の定義。ミュージシャンやダンサーに、リズムパターンを手っ取り早く伝えるための手段。「ベルパターン」「キーパターン」とも呼ばれる。


画像:wikipedia「Rhythm in Sub-Saharan Africa」より。

しかしニューオリンズの音楽の中には、シンプルなタイムラインパターンが度々使われており、「ストンプ(Stomp)」のパターンや、ストップタイムコーラスの形で使われているものもあります。
ストップタイム:アクセントを用いながら、他のパートのソロを目立たせるために大幅に休符を設ける手法


画像:wikipedia「Stop-time」より。

ちなみにこれは、アフリカのタイムラインと同じ使われ方をしていません。

アフロキューバンの要素を取り入れた音楽

1940年後半になると、2小節構成のタイムラインがニューオリンズブルースで使われ始めます。

ニューオリンズのミュージシャンたちは、R&Bが最初にできたとき、特にアフロキューバンの要素を受け入れたスタイルで演奏していました。

アメリカのミュージシャン・作曲家のDave BartholomewやProfessor Longhairは、クラーベや2小節構成のパターンをはじめとするアフロキューバンの楽器や要素を取り入れます。

Dave Bartholomew - Carnival Day
Professor Longhair - Mardi Gras in New Orleans

アフロキューバンとProfessor Longhair

ちなみに1940年代に、Professor Longhairはラテン圏出身のアーティストたちと一緒に演奏したり楽曲を聞き、Peres Pradoのマンボの楽曲に惹かれたといいます。

PROFESSOR LONGHAIR - Big Chief Parts 1 & 2 - WATCH

Professor Longhairの楽曲スタイルは、地元では「ルンバ・ブギ」として知られています。

Professor Longhairが最も貢献したことといえば、2小節構成のパターンやクラーベをベースとしたパターンを、ニューオリンズR&Bに用いたことでしょう。

Longhairのリズミックなアプローチは、やがてファンクのベーシックなテンプレとなっていきます。

ニューオリンズR&B

シンコペーションを用い、わかりやすく区分けしているキューバ音楽は、ニューオリンズR&Bのルーツとなります。

そして、ニューオリンズ外から来たミュージシャンたちは、そのリズムパターンを学び始めるのです。

ここにおいて最も重要だったのは、James Brown、そして彼が雇ったドラマーやアレンジャーの存在です。

Brownの初期のレパートリーのほとんどではシャッフルのリズムを取り入れており、ヒットした楽曲の中には12/8バラッドなどもあります。

James Brown-Please, Please, Please
Bewildered- James Brown

しかし彼がファンキーなソウルへと路線変更した時には、4/4拍子で違ったドラミングのスタイルを使っていました。

R&Bのリズムの変化

第二次世界大戦の数年後にニューオリンズで誕生したR&Bのスタイルは、ファンクの発展に大きく貢献しました。

同様に、アメリカのポピュラーミュージックにおいて使われてた理z無パターンも、3連やシャッフルをベースとしたものから、8分音符ベースのリズムへと変わっていきました。


以上で今回の解説は終了です。

↓つづき「ファンクの歴史(1960年代、James Brownの活躍)」


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