音楽ジャンル解説

【音楽ジャンル】ファンク(Funk)とは?どんな音楽?【1980年代・シンセファンク・電子楽器編】

今回は英語版wikipediaの「ファンクミュージック」をまとめました。

この記事ではPart11として、ファンクの歴史(1980年代、シンセファンク、Prince、YMO)について解説します。

ファンクは音楽的にも歴史的にもとてもおもしろいため、このシリーズは長編になっていますが、読み進めれば必ずどこかで面白さがわかってきます!

生楽器から電子楽器に置き換えられていく

1980年代になると、前回のPart11でご紹介した「P-Funk」の基礎を築いてきた構成・要素が、だんだんと電子楽器やドラムマシン、シンセサイザーなどに置き換えられていきます。

サックスやトランペットなどのホーンセクションはシンセキーボードに置き換わりはじめ、フレーズはシンプルなラインのまま、ソリストにソロが少し与えられるぐらいになってしまいました。

ファンクにおけるデジタルシンセ

初期のファンクで使われていた電子キーボード(Hammond B3やHohner Clavinet、Fender Rhodesなど)は、以下のような新しいデシタルシンセサイザーに置き換わっていきます。

Prophet-5

Prophet 5: Famous Preset Sounds

Oberheim OB-X

Oberheim OB-X Classic Analog Synthesizer Sounds (1979)

Yamaha DX7

The Original Yamaha DX7 Vintage Synthesizer

ファンクで使われている鍵盤楽器については、Part5で詳しく解説しています。

Part5

ファンクにおけるドラムマシンとベース

Roland TR-808やLinn LM-1、Oberheim DMXなどの電子ドラムマシンは、過去の「ファンキードラマーたち」に取って代わります。

TR-808

Linn LM-1

Linn LM-1 Demo (Highest quality on Youtube) (UAD FX AND Interface) HQ***

Oberheim DMX

Ten classic Oberheim DMX patterns

また、スラップベースやポップスタイルのベースもシンセキーボード・シンセベースに置き換えられていきます。

歌詞の変化

Part6でも解説した歌詞も、この時代にはダブル・エンテンダーから、よりはっきりと性的表現をするような内容に変わっていきました。
ダブル・エンテンダー(ダブル・ミーニング):一般的な言葉の意味と、やや下品・性的な意味の両方を持つ言葉を使う手法

伝説の日本のバンド「YMO(イエローマジックオーケストラ)」

「ライディーン」で有名な日本のエレクトロニックミュージックバンド「イエローマジックオーケストラ(YMO)」は、世界でも注目を集めます。

Rydeen - YMO

あの有名なEric ClaptonとMichael Jacksonは、のYMOの「Behind the Mask」をカバーしています。

Behind The Mask - YMO
ERIC CLAPTON - "Behind The Mask" (HD) 1987
Michael Jackson - Behind the Mask (Official Video)

1980年になると、YMOはプログラム可能なドラムマシン「TR-808」を最初に使ったバンドとして有名になり、同じく人気のKraftwerkとYMOのサウンドは、Afrika Bambaataaや Mantronixなど、のちのエレクトロファンクアーティストに大きく影響を与えていきます。

Kraftwerk - Das Model
Afrika Bambaataa & The Soulsonic Force - Planet Rock (Official Music Video) [HD]
Mantronix w/ MC Tee - Fresh Is The Word (12" Version)

Rick James

Rick Jamesは、1980年代のファンクミュージシャンとして初めて、1970年代に大流行したP-Funk(Part9で解説しています)を受け継いだヒットメーカーです。

1981年のアルバム「Street Songs」とシングル「Give It to Me Baby」「Super Freak」は、Jamesが大スターとなるきっかけの作品となります。
(Super Freakは、日本でも非常に認知度が高い楽曲です)

Rick James - Super Freak (Official Music Video)
Rick James - Give It To Me Baby

Prince

1970年代後半になるとPrinceが現れ、James Brownのようなダイナミックな楽器編成が話題を呼びます。

PrinceはBrownの時代に活躍したアーティストと同じぐらい、ファンクのサウンドに大きな影響を与えていきます。

彼は、エロティシズム・テクノロジー・より複雑な音楽性・風変わりなイメージとステージパフォーマンスを持ち合わせたアーティスト。

P-Funkと同じような、野心的で創造性豊かな音楽を繰り広げました。

Prince and the Revolution - Let's Go Crazy (Official Music Video)
Prince - Purple Rain (Official Video)

また、Princeは音楽グループ「the Time」を結成します。

元々はオープニングアクトのために結成したバンドで、彼の「ミネアポリスサウンド(ミネアポリスは彼の出身地)」をベースとした、ファンク・R&B・ロック・ポップ・ニューウェーブ(New Wave)をミックスしたサウンドが特徴的です。

のちに、このバンドはタイトなミュージシャンシップと性的なテーマをベースとした独自のスタイルに発展していきます。

Prince and the Revolution - Kiss (Official Music Video)
Prince and the Revolution - When Doves Cry (Official Music Video)

この時代に活躍したアーティストたち

Princeの他にも、このP-Funkの時代に注目を集め、セクシュアリティを大胆に表現したり、ダンス系のテーマ、シンセや他の電子テクノロジーを使ってヒットを出していたアーティストはたくさんいます。

彼らはいずれも、1980年代はじめに非常に大きなヒット作を生み出しました。

Cameo - Word Up (Relaid Audio) (Official Music Video)
Zapp - I Can Make You Dance (Official Music Video)
The Gap Band - You Dropped A Bomb On Me (Official Music Video)
The Bar-Kays - Freakshow On The Dance Floor
The Dazz Band-JOYSTICK

1980年代後半からはピュアファンク(Pure Funk)も商業的な成功を収めていましたが、Michael JacksonやDuran Duranなどのポップアーティストも、ファンクのビートを用いるようになりました。

エレクトロファンク

YMOとKraftwerkに影響され、アメリカのミュージシャンAfrika Bambaataaは「エレクトロファンク」を発展させていきます。

これはマシーンを主導としたミニマルなスタイルで、1982年に彼のシングル「Planet Rock」や、1983年の「Renegades of Funk」で見ることができます。

エレクトロファンクは、シンセサイザーやTR-808などのドラムマシンによってどんどん勢いを増していきました。

Afrika Bambaataa & Soulsonic Force - Planet Rock
Afrika Bambaataa & The Soulsonic Force - Renegades of Funk (Official Music Video)

以上で今回の解説は終了です。

↓ファンク解説最終回「ファンクの歴史(1980年代後半〜2000年代)」


人気記事

1

今回は、DTMプラグインの中で最も有名な製品の1つであるSpectrasonics社「Omnisphere 3」の新機能と使い方をまとめました。2025年10月に発表された今作ですが、前作の「Omnisphere 2」と何が変わったのか、新機能とその使い方を解説していきます。

2

この記事では、世界中の作曲家・音楽プロデューサーが使っているおすすめのブラス(金管楽器)音源をご紹介します。同じ楽器でも音源によって音色が少し異なりますので、複数持っていると使い分けることができるほか、レイヤーしたときもリアルさと壮大さを増すことができます。

3

今回は「DTMer&ボカロPには外付けHDDよりNASをおすすめする3つの理由」をまとめました。NASはDTMerや動画編集者など「大容量のデータを管理する人」「外付けHDDをどんどん買い足さなければならない人」にはとてもおすすめですが、なぜ外付けHDDよりNASをおすすめするのか、その理由を3つご紹介します。

4

今回は、音楽プロデューサーのNathan James Larsenが教える「プロのようにポップ・ファンクのブラスを作る方法」をまとめました。プロがどのようにしてブラスを打ち込んでいるのか、コツを8つご紹介します。

5

今回はボーカル定番マイク「SM7B vs SM58」をまとめました。ボーカルやギターのレコーディングによく使われるのが、SHURE社のSM7BとSM58です。どちらも超定番のマイクですが、一体何が違うのでしょうか?この記事ではそれぞれの特徴をじっくりご紹介しながら、どちらのマイクを選ぶべきか、その基準を解説します。

6

今回は、初心者からプロまで使えるおすすめのDTMスピーカー21選をまとめました。 この記事では、以下2つの条件を満たしているスピーカーだけをご紹介します。 ・2025年1月現在、日本の通販で誰でも新品 ...

7

今回は、音楽プロデューサーのIZZYが解説する「プロのようなボーカルミックスをする秘密の公式」をまとめました。作曲においてプロとアマチュアを分けるポイントの1つが、ボーカルミックスのクオリティです。この記事では、どのようにすればプロのようなボーカルMIXができるのかを解説していきます。

8

今回は、音楽好きの方や音楽家・DTMerにおすすめのふるさと納税返礼品をまとめてご紹介します。楽器本体、楽器関連機器、パソコン関連機器、音楽関係のチケット、音楽関係の雑貨など、音楽に関係する返礼品は非常にたくさんあります。気になる返礼品があれば、ぜひチェックしてみてください!

9

今回は、「Sonarworks SoundID Referenceの使い方」をまとめました。

DTMをするなら絶対に持っておきたいこの製品について、なぜこの製品がおすすめなのか、どの種類を買うべきなのか、具体的な使い方と測定方法をご紹介します。

-音楽ジャンル解説
-