音楽ジャンル解説

【音楽ジャンル】ブギウギとは?どんな音楽?【他ジャンルに与えた影響・派生ジャンル編】

今回は英語版wikipediaの「ブギウギ」をまとめました。

この記事ではPart3として、ブギウギが他ジャンルに与えた影響・派生ジャンルについて解説していきます。

カントリーアーティストによるブギウギ

Johnny Barfieldが「Boogie Woogie」を発表した1939年になると、カントリー(音楽ジャンル)のアーティストたちがブギウギを演奏するようになります。

Johnny Barfield - Boogie Woogie

「Cow Cow Boogie」は1942年の映画「Ride ‘em Cowboy」のために作られましたが、結局映画では使用されませんでした。

この曲はBanny Carter、Gene DePaul、Don Rayeによって書かれたもので、ブギウギとウェスタン、カウボーイミュージックが融合した音楽です。

オリジナル版のElla Mae MorseとFreddie Slackによるレコードは100万枚の売り上げを出し、今でも多くのアーティストに演奏されている楽曲です。

Cow Cow Boogie by Ella Mae Morse
Cow-Cow Boogie - Don Raye - Claude Bolling

ヒルビリーブギ(Hillbilly Boogie)とオーキーブギ(Okie Boogie)

ヒルビリーブギ(Hillbilly Boogie)とオーキーブギ(Okie Boogie、のちに「カントリーブギ」という名前に変更)は、1945年後半に盛り上がりを見せました。

この中でも有名なカントリーブギは、Delmore Brothersによる「Freight Train Boogie」です。

これはカントリーミュージックとブルースを融合させたスタイルで、のちの「ロカビリー(Rocabilly)」へとつながります。

Freight train boogie - Doc Watson

1948年には、Arthur Smithが「Guitar Boogie」と「Banjo Boogie」をリリースし、アメリカのカントリーチャートでTOP10に入ります。

この楽曲で、エレキギターのポテンシャルを人々に知らしめることになります。

Arthur Smith - Guitar Boogie (1948)
"The Banjo Boogie" - Arthur Smith & His Crackerjacks (1959 MGM)

このヒルビリーブギの時代は、1950年代まで続きます。

20世紀終わりごろも「ブギビート」は使われる

カントリーミュージックにおける「ブギビート」は、20世紀の終わりまで使われ続けます。

The Charlie Daniels Bandは1988年に「Boogie Woogie Fiddle Country Blues」をリリースし、3年後の1991年にはBrooks & Dunnによる「Boot Scootin’ Boogie」が大ヒットしました。

Charlie Daniels - Boogie Woogie Fiddle Country Blues
Brooks & Dunn - Boot Scootin' Boogie (Official Video)

Part2で解説したカーネギーホールでのコンサートの動員数は、ブギプレイヤーたちの活動だけでなく、他の音楽にもブギウギの影響を受けさせるきっかけとなりました。

Tommy Dorseyのバンドは、Sy Oliverによるアレンジで「T.D.’s Boogie Woogie」というヒット曲を出します。

1950 Tommy Dorsey - T.D.’s Boogie Woogie (origin of “Jay-Dee’s Boogie Woogie”)

ビッグバンドの中で最も有名なのは、Boogie Woogie Bugle Boyでしょう。

Boogie Woogie Bugle Boy - The Andrews Sisters (lyrics in description)

ちなみにこの楽曲は、Christina Aguileraの楽曲「Candyman」でトリビュートされました。

Christina Aguilera - Candyman (Official Video)
Christina Aguilera + The Andrews Sisters : Boogie Woogie Candyman

ブルースに影響を及ぼしたブギウギ

シカゴブルースやウェストコーストブルースなど、ブルースの様々なスタイルにおいては、ピアニストやギタリストが初期のブギウギスタイルに影響を受けている様子をうかがうことができます。

最も初期かつ影響を及ぼしたのは、Big Maceo MerriweatherとSunnyland Slimです。

Big Maceo Merriweather - Worried Life Blues
Sunnyland Slim - Tin Pan Alley

Otis SpannとPinetop Perkinsの2人はブルースピアニストとして知られていますが、ブギウギの影響を強く受けており、Pinetop Perkinsはブギウギスタイルのブルースピアニスト、Pinetop Smithから名前を取ったほどです。

Otis Spann - T'Aint Nobody's Business If I Do
Pinetop Perkins -- How Long Blues

ブギウギのブームが去っても他ジャンルの発展に貢献

ブギウギの流行は1930年代後半から1950年代前半まで続き、ジャンプブルースやロックンロールの発展に大きく貢献します。

Fats Domino、Little Richard、Jerry Lee Levisなどは、この影響を受けているアーティストです。

Fats Domino - Boogie Woogie Baby - January 7, 1950
Little Richard's Boogie
Jerry Lee Lewis - Whole Lotta Shakin' Goin' On (Steve Allen Show - 1957)

Louis Jordanは、有名なジャンプブルースミュージシャンの一人です。

Caldonia / Louis Jordan

ブギウギは今でも北アメリカやヨーロッパのクラブや楽曲で使われています。

Big Joe Duskinは1979年にアルバム「Cincinnati Stomp」をリリース。

彼は1940年代のAlbert AmmonsやPete Johnsonから強く影響を受け、ピアノブルースとブギウギの指揮を執りました。

Big Joe Duskin - Cincinnati Stomp

西洋のクラシック音楽においては、作曲家のConlon Nancarrowがブギウギに強く影響を受けており、彼の初期の楽曲にはこの影響を受けた楽曲が多く見られます。

「A Wonderful Time Up There」は、ブギウギ・ゴスペルの楽曲です。

Gospel Boogie (A Wonderful Time Up There)

1943年にはMorton Gouldが「Boogie-Woogie Etude」をクラシックピアニストのJosé Iturbiのために作曲します。

Morton Gould - Boogie Woogie Etude (audio + sheet music)

Povel Ramelの1944年の最初のヒット曲は「Johanssons boogie-woogie-vals」ですが、こちらはワルツとブギウギを融合させたスタイルです。

Povel Ramel: Johanssons Boogie Woogie-vals

以上でブギウギの解説は終了です。

当サイトでは他にも音楽ジャンルについて解説していますので、ぜひこちらもご覧ください↓


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