シンセサイザー

【KSHMR解説】DTMerのためのシンセ講座 -Serumで作るリアルなサウンド-

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

今回は、数々のプラグイン・サンプルを販売する「Splice」が監修「Lesson of KSHMR」をまとめました。

この記事ではそのうち「Serumで作るシンフォニックサウンド」の部分をご紹介します。

KSHMRは世界的に有名なDJ・音楽プロデューサーなので、このシリーズでお伝えするテクニックはまさに「プロ直伝」。

音楽制作で必ず使える情報が満載ですので、ぜひ最後までご覧ください!

はじめに:高い音源がなくてもシンフォニーサウンドは作れる

オーケストラサウンドなど、リアルな音を作りたい時に一番最初にたどり着くのは、Native Instruments社の「Kontakt」になるでしょう。

弦楽器・管楽器・打楽器まで網羅できるのでとても便利ですが、一方で「高いな…」と購入を懸念する方もいるかもしれません。

そこで今回は、Kontaktではなく、人気のシンセ「Serum」でシンフォニーサウンドを作る方法をご紹介します!

まずは、僕(KSHMR)が作ったSerumのプリセットを使ったこちらのサウンドをお聞きください。

0:22~0:49

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

ここでは、「ギター」と「ベース」の2つのトラックを使っています。

ギターにしている工夫「LFOでトレモロのようなサウンドにする」

ギターの音はとてもベーシックなものですが、LFOをAmp(ボリューム)に対して使っているので、トレモロのようなサウンドに仕上げています。

0:55~1:08

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

また、このプリセットではベロシティーもしっかり反応するように作られているのですが、ボリュームだけでなく、ギターのトーンもこのベロシティーによって変わるようになっています。

例えば、弱いベロシティーの時(鍵盤をやさしく弾いた時)と強いベロシティーの時では、このようにサウンドに違いが出ます。

1:16~1:22

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

フィンガーベースにしている工夫「ベロシティーによって音のトーンを変える」

もう一つのサウンドは、フィンガーベースです。

1:23~1:28

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

こちらも先程のギターと同様、ベロシティーの感度をしっかり設定しているのはもちろん、ベロシティーによって音のトーンも変わるようにしています。

ギターもベースも、生演奏ではそれぞれの音が全く同じ音になることはありませんから、このような工夫をするとよりリアルな音に近づけられます。

ピッチベンドも使おう

また、ベロシティーだけでなくピッチベンドを調整するのも効果的です。

画像:動画より

1:42~1:50

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

サブベースを重ねよう

ベースパートには、サブベース(Sub Bass)を入れるのも重要です。

これは単純に1オクターブ下の音で、高音域を削ったローパスフィルターを使った音です。

画像:動画より

1:54~2:01

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

全部合わせて聞くと…

それでは、これらのパートを全部合わせて聞いてみましょう。

2:01~2:28

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

映画トレイラーのようなオーケストラサウンドを作ってみよう

次は、映画のトレイラーのような迫力のあるサウンドを作ってみましょう。

使うのは、同じくSerumのプリセットです。

イントロ(ピアノ・ギター・Riser系を使用)

まずはピアノから。

2:35~2:42

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

次はギターで「Guitar EZ」というプリセットを使います。

2:43~2:53

少し怪しい感じで、F・F#・Eあたりを行き来するようなフレーズです。

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

次は僕(KSHMR)もお気に入りのプリセットで、「Movie Horror Riser」というプリセットです。

オートメーションでピッチベンドをだんだん上げるようにします。

2:58~3:04

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

さて、これらを全部合わせて聞いてみましょう。

3:04~3:18

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

これらはイントロとして使います。

次のセクション(メロディックな部分)

イントロの次は、メロディックな部分にしてみます。

まずはトロンボーンのスタッカートのプリセットで、FmとAmを使ったフレーズを打ち込みます。

音楽理論的に言うと、パラレルFメジャースケールからスリーコード (主要三和音)を借りてきていて、より怖い雰囲気にさせています。

3:22~3:27

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum
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次はブラスのスタブ(Stab)です。

3:39~3:45

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

次は1つ目のドラム系サウンドとして、ティンパニを入れます。

3:48~3:52

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

次はハングドラム(Hang Drum)。

3:53~3:59

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

次は、メロディーパートとしてトロンボーンを入れます。

4:04~4:16

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

そして、音のスキマを埋めるために、チェロのスタッカートでアルペジオを入れます。

4:20~4:27

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

イントロからメロディックなセクションにスムーズに展開させる方法

イントロとメロディックな部分のつなぎ目をよりスムーズにするために、「War Brass」と呼ばれるサウンドを使います。

このプリセットのいいところは「チャンネルプレッシャー」に反応するところで、最初に鍵盤を軽く押すと、そこからだんだん音が強くなっていくところです。

こうすると、音がブワーっとだんだんと開かれるような感じになります。

4:42~4:45

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

それでは、ここまでのサウンドをまとめて聞いてみましょう。

4:46~5:12

Lessons of KSHMR: Creating a Symphony with Serum

以上が「Serumで作るリアルなサウンド」でした。

Kontaktのように、はじめから生音が出るプラグインを持っていなくても、このような工夫でリアルなサウンドに近づけることがお分かり頂けたかと思います。

ぜひお試しください。

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