【DTM】「ゲインステージ」のやり方【MIX・音圧を上げるコツ】
- 2020.07.20
- 2020.12.29
- ミキシング・マスタリング
- ミキシング・マスタリング

ミックスをしているけど、いまいち曲が大きな音で聞こえない…
レコーディング・作曲してる時って、どれぐらいの音量で作業を進めればいいの?
今回はこのような疑問にお答えする内容です。
「ゲインステージとは?」など基本的なところから、DTMにおいて具体的にどう設定するべきかまでまとめています。
特にDTMをやっている方・ミキシングをする方には必ず役立つ情報ですので、ぜひ最後までご覧ください!
スポンサードサーチ
はじめに
ミキシングをしている方にとって、最も難しい工程の一つは「曲をより大きく聞かせること」でしょう。
いわゆる「目標の音圧」に至るまで、曲のバランスをとりながらこれを行うのは難しいですよね。
実は、ここで重要なのは「ゲインステージ」についてしっかり考え、注意を向けることなのです。
ゲインステージについてしっかり考えることができれば、ミキシングをした後、スピーカー・イヤホンから聞こえる音をより大きくすることができます。
ここからは、その方法についてまとめていきます。
基礎知識から確認しよう
まずは、ゲインステージに関わる基礎知識について確認していきましょう。
おそらくDTMをしている方の中には「ヘッドルーム」「クリッピング」「ゲインステージ」という3つの言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。
まずは、こちらの用語をそれぞれ解説してきます。
画像:記事より
ヘッドルーム(Headroom)
使っているDAWや機材で鳴らせるMAXの音量と今の曲の音量レベルの差のことです。
言い換えると、「音割れするまでの音量と今の曲の音量の差」になります。
クリッピング(Clipping)
アウトプットのメーターが赤に変わること・限界に到達することを指す言葉です。
クリッピングする=音割れし、本来あってほしくない音になってしまいます。
デジタルの世界では、これは致命的です。
一方、アナログ機材を使う場合は、逆により温かみを加えることになることもあります。
ゲインステージ(Gain Staging)
ノイズを最小限に抑えるために、オーディオがすべての機材・プラグインを通した後、適切な音量になるようにすることを指します。
スポンサードサーチ
適切なゲインステージにする方法
それではここからは、具体的に「どのようにすれば適切なゲインステージを維持できるのか」について解説していきます。
作曲中・レコーディング中に確認すること
実は、この段階でゲインステージを適切にするのは非常に重要なこと。
なぜなら、この段階ではクリッピングが起きやすいからです。
最近ではiZotope社の「RX」など、オーディオをキレイにするツールも出てきていますが、やはり元からクリッピングしていては、ベストな音作りは不可能です。
適切なゲインステージをするために、まずは作った音・録音した音が機材・プラグインを通るときの過程を一つ一つ確認していきます。
この時は、インプットとアウトプットのゲイン両方とも確認しましょう。
ボーカルの例
たとえばボーカルでよくあるのは、「マイクから入った音がプリアンプに入ったとき、プリアンプのアウトプットがクリッピングする」というパターン。
同時に、ノイズが入らない適切な音量であるかどうかも確認しましょう。
ちなみに筆者(Splice)は、メーターの60~70%ぐらいになるようにしています。
コンプを使っている場合
もしプリアンプにコンプレッサーを使っている場合は、インプットとアウトプットレベルが基本的にマッチしているようにしましょう。
多くのコンプレッサーには「Gain」や「Makeup Gain」のツマミがありますが、これはコンプレッションした時に音量が失われないようにするためのツマミです。
レコーダーやDAWのメーターもチェック
そして最後に、レコーダーやDAWがクリッピングしていないかも確認しましょう。
ここでも、メーターに対して60~70%ぐらいになっているのがちょうど良いでしょう。
これぐらいになるようにすれば、仮に一時的に音量が上がったとしてもクリッピングせずに済みます。
ミックス中に確認すること
ミキシングの段階でゲインステージを適切にするのは、先ほどよりはかんたんです。
たとえばBusのメーターがクリッピングしていれば、シンプルにそれを下げればいいからですね。
ヘッドルームが重要
この段階で最も重要なのは、「ヘッドルームを確保すること」です。
これをすれば、ミックスをよりクリアに、そしてより大きく聞かせることができるようになるからです。
もしこうしないと、音が小さく聞こえたり、息が詰まったように聞こえてしまうようになります。
空きスペース(Room)がないということは、最も重要な要素…「ダイナミクスがない」ということになるからです。
ダイナミクスの重要性
ダイナミクスとは「曲中における音量の差」のことで、曲をよりよく聞かせるための重要な要素です。
ダイナミクスがあれば、曲自体がよりおもしろく聞こえるようになります。
たとえばキックはより強く聞こえるようになりますし、ボーカルはより空気感・空間を感じる音になります。
各トラックのフェーダーを確認しよう
Masterのフェーダーがクリッピングしていないかを調べる前に、まずは各トラックやプラグインのフェーダーを確認しましょう。
この確認を怠ると、ノイズが発生する原因になります。
違いを確認しよう
さて、ここまででゲインステージのセットは完了です。
最後は、本当にゲインステージができているかを確認しましょう。
確認するには、スピーカー(もしくはヘッドホン・イヤホン)の音量と、Masterフェーダー(DAWの音量)を調整することで行います。
まず、Masterフェーダーをクリッピングするレベルまで上げてみましょう。
もちろん音は割れ、ダイナミクスもないように聞こえます。
それでは一旦Masterフェーダーを元に戻し、次はそのクリッピングしたレベルと同じぐらいの音量になるまで、スピーカーの音量を上げてみましょう。
Masterフェーダーはそのまま(ヘッドルームを十分確保した状態)で、スピーカーの音を上げます。
Masterフェーダーで聞いた時と同じ音量に聞こえる場合でも、音は割れませんね。
これはシンプルにゲインステージの重要性を示す方法ですので、ぜひ製作中はメーターに目を向けながら、制作を楽しんでください!
ちなみに他にもミキシングのコツがありますので、こちらもチェックするとよりよいミキシングができるようになります↓
【DTM】ミックス(MIX)はスピーカーとヘッドホン、どっちでやるべき?【ヘッドホン編】
【DTM】ミックスの効率をアップさせる21のコツ【Part1】
【MIX】生演奏・生バンドのミキシングのコツ9選【Part1】
-
前の記事
【作曲のコツ】DTMerが作曲でやりがちな3つの間違い【ボーカル編】 2020.07.20
-
次の記事
【作曲のコツ】カンタン&使えるコード進行の作り方5選 2020.07.21