今回は、さまざまなジャズのジャンル・種類をまとめました。
「ジャズ」と言ってもいろいろなスタイルがあり、それぞれ特徴が異なります。
この記事では18種類のジャズスタイルをご紹介しますので、ぜひお気に入りのスタイルを見つけてみてください。
そもそも「ジャズ」とは?

ジャズは、非常に長い歴史を持った音楽ジャンルです。
19世紀の後期から「ジャズ」と呼ばれるスタイルが確立し始め、現在まで世界中で演奏されています。
特に演奏者のソロ・即興がよく使われ、高度な技術を必要とすることが多いです。
また「タンタ・タンタ」という跳ねるように聞こえる「スイング」や「シャッフル」などのリズム、文字通り思わずブルーな気分になる「ブルーノート」、他の楽器と掛け合いをするような「コールアンドレスポンス」などがよく使われます。
ジャズの祖先はどんなジャンル?
ジャズに大きな影響を与えたジャンルとして、ブルースとラグタイムが挙げられます。
ブルース(Blues)は19世紀後期から20世紀初期に人気のあったジャンルで、アメリカ南部の黒人のコミュニティで誕生しました。
ブルースについてはこちらの記事で詳しく解説しています🔻
ラグタイム(Ragtime)は1890年代に人気を集めたジャンルです。
ラグタイムについてはこちらの記事で詳しく解説しています🔻
ジャズの種類・ジャンル1.ディキシーランドジャズ(ニューオリンズジャズ)
ディキシーランドジャズ(Dixieland Jazz)は、活気のあるブラス(金管楽器)とキャッチーなフレーズが特徴的です。
(ニューオリンズジャズとも呼ばれます)
基本的に1つの楽器がメロディーを担当し、その他は即興演奏を行います。
ディキシーランドジャズについてはこちらの記事で詳しく解説しています🔻
ジャズの種類・ジャンル2.スウィング(ビッグバンド)
スウィング(Swing)は、1914年から1926年ごろに誕生したスタイルです。
特徴的なのは大編成でのアンサンブル=ビッグバンドで、最低でも10~16人程度の人数で演奏されることが多いです。
リズム楽器としてピアノ、パーカッション、ギター、ベース、ブラス(金管楽器)としてトランペットとトロンボーン、木管楽器としてクラリネットとサックス、そしてボーカルが使われます。
また、一般聴衆にも比較的わかりやすくノリやすいフレーズが多いのも特徴的です。
実際に大きく流行した期間は1930年代から1940年代までの10年程度で短いですが、その短期間で絶大に人気のあるダンスミュージックになりました。
大衆向けで親しみやすく、大編成のアンサンブルによるとてもエネルギッシュで迫力のあるサウンドが特徴です。
ディキシーランドジャズについてはこちらの記事で詳しく解説しています🔻
ジャズの種類・ジャンル3.ビバップ
ビバップ(Bebop)は、1940年代に誕生したスタイルです。
とても速く、大きく、思わず気分が高揚するような音楽が特徴です。
大衆向けだった前述のスイングにとても大きく影響を受けているスタイルですが、大きく異なるのは演奏者が技術力を存分に発揮しやすいジャンルであることです。
そのため、スウィングよりも非常に複雑で技術力が必要とされるフレーズが多用される傾向にあります。
それ故に、大衆向けのスウィングが好きだった人々からは嫌厭されることもありました。
ビバップについてはこちらの記事で詳しく解説しています🔻
ジャズの種類・ジャンル4.ハードバップ
ハードバップ(Hard Bop)は、ダークな雰囲気が好きなリスナーに人気の高いスタイルです。
特にドラムの演奏が強調され、強烈でアツいスタイルでありながら、ゴスペルのようなコード進行と、ブルースのような少し切なさと大人っぽさを感じるメロディーが特徴です。
前述のビバップの延長線で、1950年代から1960年代に人気が高まりました。
ジャズ、ゴスペル、ソウル、R&Bを合体させたようなサウンドが特徴です。
ジャズの種類・ジャンル5.クールジャズ
クールジャズ(Cool Jazz)は、1940年から50年代に人気が高まったスタイルです。
メロウな雰囲気が特徴的で、ゆっくりなテンポに和やかなフレーズが演奏されます。
クールジャズはアメリカのカリフォルニアが発祥ですが、まさにその地域のカジュアルな雰囲気が現れています。
ジャズの種類・ジャンル6.モーダルジャズ
モーダルジャズ(Modal Jazz)は、モードを使ってコード進行が変わるスタイルです。
基本的に、少し長い間1つのコードに集中して演奏されます。
多くのジャズではコードチェンジが頻繁に行われ、即興演奏をする人はそのコードに沿って演奏するのが一般的です。
一方でモーダルジャズはコードの変化がそこまで多くないため、より演奏者の感情が滲み出やすいジャンルです。
また、モーダルジャズのベースはメロディアスになる傾向にあります。
ジャズの種類・ジャンル7.フリージャズ
フリージャズ(Free Jazz)は、1960年代初期にニューヨークで生まれたスタイルです。
フリージャズが生まれるまでのジャズは、基本的にルール(型)が決まっていることが多く、ジャズの演奏者たちは「もっと自由に演奏したい」と感じる人もいました。
そこで生まれたのがフリージャズで、とにかく演奏者が心ゆくままに演奏する点が特徴です。
決まったルールがないので、ある意味「決まった特徴がないのが特徴」と言えます。
ジャズの種類・ジャンル8.ジプシージャズ
ジプシージャズ(Gypsy Jazz)は、ロマ(北インド・ロマ族)のスタイルで演奏されます。
(「ジプシー」は差別的な言葉のため「ロマ」と言い換えます)
とても素早いアコースティックの演奏と、スウィングのリズム、ギターやバイオリンで演奏される即興演奏が特徴的です。
基本的には小編成で演奏されます。
ジャズの種類・ジャンル9.アバンギャルドジャズ
アバンギャルドジャズ(Avant-Garde Jazz)は、即興演奏とアトーナリティが特徴のスタイルです。
アトーナリティ:調(キー)のように、特定の音が中心だと感じにくい音楽
ハーモニーも革新的で、とても奇抜な印象があります。
1950年代に誕生し、一気に注目を集めました。
ジャズの種類・ジャンル10.ジャズフュージョン
ジャズフュージョン(Jazz Fusion)は、ジャズとロック、ファンク、R&Bが融合したスタイルです。
(プログレッシブジャズとも呼ばれます)
1960年代から1970年にかけて人気を集めていましたが、1960年代はロックが大流行したこともあり、競争は厳しいものでした。
基本的にはロックのリズムを用いながらも、ジャズでよく見られる即興演奏やコード進行、シンコペーションなどが多用されています。
また昔ながらのジャズとは違い、エレキギターやエレキベース、ハモンドオルガン、シンセサイザーなど、現代的な楽器が使われるのも特徴です。
ジャズの種類・ジャンル11.スムーズジャズ
スムーズジャズ(Smooth Jazz)は、1980年代から1990年代に人気を集めたスタイルです。
(アダルトコンテンポラリーとも呼ばれます)
ジャズ、ポップス、ローファイ、R&Bなど、さまざまなジャンルを融合させています。
ゆったりしたリズムと、メロディックな楽器もしくはボーカルが使われます。
特にボーカルとサックスがソロ(メロディー)を担当することが多いです。
ジャズの中でもとても聴きやすいスタイルであったため、すでにポップスやR&Bが人気だった1990年代にも注目されました。
スムーズジャズではドラム、エレキベース、サックス、シンセサイザーなど、さまざまな楽器が使われます。
とても繊細でメロディックなグルーヴが特徴的です。
ジャズの種類・ジャンル12.ポストバップ
ポストバップ(Post Bop)は、ビバップ、ハードバップ、モーダルジャズ、そしてフリージャズの要素を組み合わせたようなスタイルです。
これらのジャズとは言い切れないものの、ポップスやロックにはあまり用いられないスウィングのリズムや長めのハーモニーが使われています。
ジャズの種類・ジャンル13.ファンク
ファンク(Funk)は、電子楽器による強いグルーヴ感のあるサウンドが特徴的です。
今ではジャズと完全に別ジャンルとして扱われることが多いですが、ジャズの要素を数多く取り入れているジャンルです。
ファンクについてはこちらの記事で詳しくまとめています🔻
ジャズの種類・ジャンル14.アシッドジャズ
アシッドジャズ(Acid Jazz)は、ジャズフュージョン、ファンク、ヒップホップ、アーバンダンスミュージックを融合させたスタイルです。
即興とパーカッションの存在感はジャズと共通していますが、基本的なビートはファンクやヒップホップ、アーバンダンスミュージックの影響を受けています。
ジャズの種類・ジャンル15.ニュージャズ
ニュージャズ(Nu Jazz)は、ジャズの要素と現代的なジャンル・技法を組み合わせたスタイルです。
1990年代に誕生しましたが、ターンテーブルを使ったヒップホップや、サンプルを使用したビートメイキングのテクニックなどが取り入れられています。
ジャズの種類・ジャンル16.ラテンジャズ
ラテンジャズ(Latin Jazz)は、名前の通りラテン音楽の要素を取り入れたジャズです。
主にアフロキューバンジャズ(Afro-Cuban Jazz)とアブロブラジリアンジャズ(Afro-Brazillian Jazz)が人気のサブジャンルで、1960年代~1970年代に人気を集めました。
ティンバレスやクラーベなどを用いたラテンのリズムが使われ、ボサノヴァやサンバのベースラインも見られます。
シンコペーションが多用される点は他のジャズスタイルと共通していますが、他のジャズと異なるのは、リズムがスウィングしていない点です。
クラーベのリズムついてはこちらの記事で詳しくまとめています🔻
ラテン音楽についてはこちらの記事で詳しくまとめています🔻
ジャズの種類・ジャンル17.エチオジャズ
エチオジャズ(Ethio Jazz)は、エチオピアの音楽とジャズを融合させたスタイルです。
ジャズの種類・ジャンル18.インドジャズ
インドジャズ(Indo Jazz)は、インドの音楽とジャズが融合したスタイルです。
インドの音楽についてはこちらの記事で詳しくまとめています🔻
あなたのお気に入りのジャズスタイルはどれ?
最後に、今回の内容をまとめてご紹介します。
エネルギッシュなサウンドが楽しめる
ディキシーランドジャズ、スウィング(ビッグバンド)
クールだけどアツい演奏が楽しめる
ハードバップ
ゆったりした雰囲気を楽しめる
クールジャズ、モーダルジャズ、スムーズジャズ
演奏者のテクニックや表現が楽しめる
ビバップ、フリージャズ、アバンギャルドジャズ、ポストバップ
特定の地域特有の雰囲気を味わえる
ラテンジャズ、ジプシージャズ、エチオジャズ、インドジャズ
現代的なサウンドとの融合を楽しめる
ジャズフュージョン、ニュージャズ、アシッドジャズ、ファンク
あなたのお気に入りのスタイルはありましたか?
ジャズを聴くときは、ぜひこのようなスタイルに注目しながらお楽しみください。
当サイトでは他にもジャズの演奏テクニックやジャンル解説をまとめていますので、ぜひこちらもお楽しみください。
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