【DTM】マスタリング入門 Part6(最終回)【配信の準備】

【DTM】マスタリング入門 Part6(最終回)【配信の準備】
マスタリングって何?どんなことをするの?

 

今回はこのような疑問にお答えする内容です。

 

Mastering 101: Preparation

 

DTMerおなじみ、サンプルやプラグインを販売するSpliceが解説する「マスタリング101」をかんたんにまとめてみました。

 

最終回となる今回は、Part6として「各プラットフォームに配信するための準備」について解説していきます。

 

「iTunesやSpotifyに配信したいけど、マスタリングはどう変えればいいの?」と疑問に思っている方はぜひ最後までご覧ください!

 

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はじめに

 

さて、ここまでの5回で、どのようにマスタリングをしていけばよいのかを解説してきました。

今回は最終回として、「各プラットフォームに配信するための準備のしかた」について解説していきます。

 

マスタリングエンジニアの仕事の1つに「クライアントから求められた適切なフォーマットで、曲をお届けする」というものがあります。

どこでどのように音楽が消費されるかによって変わってきますが、ここでは主要なプラットフォームにおける配信方法とフォーマットについて解説していきます。

 

1.オンラインストア・ストリーミングサービス(Spotify、iTunes Musicなど)

 

ファイルフォーマット: .wav
ビット深度: 16-bit
サンプルレート: 44.1 kHz

 

オンラインストアやストリーミングサービスに関しては、非常にシンプルです。

このフォーマットに従って音源を用意すればOK。

 

以下は、筆者がおすすめする方法です↓

 

1.再生ボタンを押したら正しく再生されるよう、曲の最初と終わりをしっかりトリミングする。

しかるべきタイミングで再生・終わるようにしましょう。

 

2.より高いサンプルレート・ビット深度で配信したい場合は、それに応じてコンバート(変換)・ディザリングする。

少なくとも、上記のビット深度になるようにしましょう。

ほとんどのDAWには、これをコントロールできる付属のコンバーターが付いています。

しかし、より精密に処理したい場合はコンバート専用のプラグインなどを使うことをおすすめします。

 

3.マスター音源にクリッピングが起きていないか確認する。

ストリーミングストアでは、楽曲はAACかmp3に変換されます。

そのため、エンコーディングした後にクリッピングが起きていないか、確認しましょう。

クリッピングが起きていないか確認するには、Sonnox社のCodec Toolboxや、iZotope社のOzone9 Advancedの「Coded Preview機能」がおすすめです。

 

4.マスタリングエンジニアとしてISRCコードやメタデータをアグリゲーターに提出します。

メタデータには、アーティスト情報、アルバムタイトル、曲名などが含まれます。

これに関してはかんたんに行う方法などはありませんが、間違いがないよう、3回はチェックしておきましょう。

もしインディーズであれば、TuneCoreやCD Babyなどのアグリゲーターがみなさんの楽曲にISRCコードを提供してくれます。

 

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2.iTunes(MFiT)

 

ファイルフォーマット: .wav
ビット深度: 24-bit
サンプルレート: 44.1 kHz – 192 kHz(プロジェクトによる)

 

iTunes用のマスタリングをかんたんに説明すると、こちらのようになります。

 

1.できる限り最も高い解像度でマスタリングし、提出すること。

DAWのプロジェクトが44.1kHz/24-bitであれば、サンプルレートをそれ以上高く設定しないようにしましょう。

無理やり変えても、何も違いは生まれません。

 

2.AppleのAACエンコーダを使ったとき、ビットストリーム超過が起こっていないか確認する。

もしこれがあると、楽曲がリジェクト(拒否)されます。

そのため、事前にこの問題がないかチェックしておくとよいでしょう。

 

3.Audio CD(DDPイメージ)

 

ファイルフォーマット: .wav
ビット深度: 16-bit
サンプルレート: 44.1 k

 

楽曲をCDとしてリリースするのであれば、DDP(Disc Description Protocol)イメージを使うことになります。

DDPイメージは、楽曲、メタデータ、CDテキスト、ISRCコードなど、楽曲のすべてのデータから構成されています。

 

DDPイメージを作る代わりに、DDPオーソライズソフトを使うこともできます。

筆者は、HOFA社の「CD-Burn & DDP」をおすすめしています。

 

シンプルでわかりやすく、数分でかんたんにDDPイメージを作ることができます。

楽曲を並べ、曲の始めと終わりをトリミングし、必要なメタデータを入力するだけでOKです。

 


 

今回ご紹介した「準備」の手順は、いずれも細心の注意が必要になる作業です。

アグリゲーターやレーベル、クライアントに渡す前に、3回はチェックしましょう。

この業界において、間違いは許されることではありません。

 

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まとめ

 

ここまで5回に渡り、マスタリングとは何か、マスタリングのやり方について解説していきました。

途中のパートでもお話しましたが、読むだけでは理解できなかったところがあるかもしれません。

そちらについては、実践で理解を深めたり、もう一度読み直すなどしてみることをおすすめします。

 

マスタリングをより深く学びたい方は、ぜひこちらの書籍をチェックしてみてください!