【DTM】マスタリング入門 Part3【マスタリングEQの基本】

【DTM】マスタリング入門 Part3【マスタリングEQの基本】
マスタリングって何?どんなことをするの?

 

今回はこのような疑問にお答えする内容です。

 

Mastering 101: Compression

 

DTMerおなじみ、サンプルやプラグインを販売するSpliceが解説する「マスタリング101」をかんたんにまとめてみました。

 

今回はPart3として「マスタリングEQの基本」を解説していきます。

 

「マスタリングEQって、ミキシングのEQとどう違うんだろう?」と疑問に思っている方はぜひ最後までご覧ください!

 

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マスタリングにおすすめのEQプラグイン

 

EQ(イコライザー)は、楽曲における周波数帯域のバランスを取るために使われ、音をよりクリアに、はっきりと聞かせることができます。

 

マスタリングでもEQを使うことが好まれますが、もし可能であれば、iZotope社のOzone9を使ってみてください。

よいマスタリングをするためのハイグレードな機能が備わっています。

 

別のプラグインなら、FabFilter社のPro-QDMG Audio社の Equilibriumもよいでしょう。

 

マスタリングEQの心得

 

マスタリングEQの詳しい解説に入る前に、まずマスタリングをする上で覚えて欲しいことを2つご紹介します。

 

1. 3dB以上ブーストしない・カットしない

 

ある周波数帯域を3dB以上カットしたりブースト(上げる)するということは、そもそもミキシングに問題があると言えます。

この場合は、ミキシングエンジニア(ミックスした人)に調節してもらえないか聞いてみるのがベストです。

 

これに対処するよい方法としては、「EQで表示するのは多くても±9dBにする」です。

こちらの画像を見ていただくとわかりやすいですが、最大6dBの範囲を表示させる場合と、18dBの範囲で表示させる場合では、随分見えかたが変わってきます。

 

画像:元記事より。±6dBの範囲を表示したもの

 

画像:元記事より。±18dBの範囲を表示したもの

同じ量をカット・ブーストしていたとしても、表示する範囲が異なると見え方がかなり変わります。

 

もちろん目だけではなく耳を使うことが大事ですが、自分の考えをよりよい範囲に収めることができるよう視覚的情報をコントロールすることは、とてもよいアイデアと言えます。

「マスタリング中は3dB以上カット・ブーストしてはいけない」ということを考えると、EQで表示する範囲を調整するのは有効です。

 

2. 広いQ幅で使う

 

より広いQ幅を使うと、狭いQ幅で使ったときよりもより音楽的に聞かせることができます。

そのため、マスタリングでは広いQ幅でEQを行い、狭いQ幅で特定の周波数だけカット・ブーストすることはしないようにしましょう。

 

画像:元記事より

 

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異なるEQのタイプ

 

EQをする前に、EQにはいろいろなタイプがあり、それぞれメリット・デメリットがあることを知っておきましょう。

これを知っておくと、より適切なEQができるようになります。

 

1. ミニマムフェーズEQ(IIR)

 

典型的なアナログモデルのEQです。

 

メリット

 

・基本的にEQにおいてラグが少なく、CPUに不可をかけることもありません。

・親しみやすいサウンド、アナログモデルのEQで、抵抗とコンデンサで構築されている。アンプやアナログミキサー卓、アウトボードなどから出る音を聞ける。

・低音をコントロールしやすい。EQをすることで音がにごるといったことが少なく、最小限のEQで低域をカット・ブーストできる。

 

デメリット

 

・カット・ブーストいずれにおいても、位相のシフトが起きてしまう。これにより、極端にカット・ブーストすると、特に広域において時間軸にズレが生じたり、音がにじんだりする。クリアな状態が影響を受けやすく、歪みが起きることも。この時に起こった歪みによって音が明るくなったりもするので、クリエイティブな用途で使われることもある。

 

2. リニアフェーズEQ(FIR)

 

リニアフェーズEQは、位相のズレを最小限に抑えるために開発されたEQです。

 

メリット

 

・全ての周波数において起こるレイテンシーや位相のズレが同じ。そのため、音波(波形)を離さずに極端にカット・ブーストできる。

・高音域がすごくなめらかでクリア。

 

デメリット

 

・レイテンシーが起こりやすく、CPUの負荷が大きい。

・音が遅延して聞こえやすい。ほとんどのDAWでは、この遅延補正が必要になる。

・低域に使うと、ナチュラルなサウンドに聞こえにくい。

 

プロのEQノウハウ

 

さてここからは、マスタリングEQにおけるプロのノウハウをご紹介してきます。

 

1. 0.25dBずつ動かす

 

マスタリングはすべてにおいて「ちょっと手を加える程度」にしましょう。

 

またQ幅は広く使い、変更を加えるときは0.25dBずつ動かしていくことが大事です。

そのため、変化が聞き取れなかったり、感じ取れなかったりすることもあります。

 

2. 周波数について知ろう

 

どの周波数帯域をカット・ブーストするべきかどうか理解することは、マスタリングにおいて非常に重要な要素です。

 

もし音がにごっていたら、中低域(250~400hzぐらい)をカットしましょう。

高域を加えると、中低域をカットしなくてもより明るく聞こえるようになることもあります。

 

変化を1つ加えると、他にも影響が出ることは心に留めておいてくださいね。

 

3. リニアEQとミニマムフェーズEQを上手に使い分けよう

 

リニアEQとミニマムフェーズEQのそれぞれの長所については、先ほどご説明しました。

筆者は、ミニマムフェーズEQは低域と中低域に使い、リニアフェーズEQは中域・中高域・高域をいじるときに使っています。

このように、それぞれが持つ長所を上手に使い分けることで、ベストなサウンドを手にいれることができます。

 

4. MS処理を使おう

 

MS処理(Mid/Side)は、EQを正しく使う上でとても強力なツールになります。

これまでご紹介した方法は、プラグインでMS処理を行う時にも活用できます。

 

たとえば、ボーカルのEQのMidに使うとしましょう。

ボーカルをよりクリアにしたいなら、リニアフェーズEQでMidを2~4kHzを持ち上げ、より明るいサウンドにします。

 

Sideに対しては、よりステレオ感・広がりのあるリバーブを加えるためのEQを使います。

筆者は8kHz以上に対して、High ShelfのQを使ってSideをブーストします。

こうすると、より広がりのあるサウンドにできます。

 

5. 加工しすぎない

 

「加工しすぎない・やりすぎない」ということは、もう何度言ってもいい足りないぐらい重要です。

マスタリングをすると、マスタリングに熱中したりEQをしすぎたりしがちです。

 

マスタリングの時は、しっかり休憩をとりましょう。

自分が何をしているのかよくわからなくなったら、別の曲に着手して、あとでその曲に戻って来れば大丈夫です。

 

僕の意見だと、1曲につき30分以上のマスタリングは控えるべきだと考えています。

これ以上時間を使っている場合は、何かをやりすぎてしまっている可能性が高くなります。

 

最後に、マスタリングをしたものとしていないものを比較しましょう。

A/B比較を使い、マスタリングがよいものとなっているか、曲を壊すようなことをしていないかどうかを確認しましょう。


 

Part4「マスタリングコンプレッションの基本」はコチラ↓

 

https://www.mizonote-m.com/what-is-mastering-101-splice-4/