音楽ジャンル解説

【音楽ジャンル】ファンク(Funk)とは?どんな音楽?【ベース編】

今回は英語版wikipediaの「ファンクミュージック」をまとめました。

この記事ではPart3として、ファンクにおけるベースの特徴について解説します。

ファンクは音楽的にも歴史的にもとてもおもしろいため、このシリーズは長編になっていますが、読み進めれば必ずどこかで面白さがわかってきます!

ファンクにおけるベースの基本的な特徴

強めのギターリフとベースライン(エレキベース)を使うことによって、ファンクでは強烈なグルーヴ感を生み出しています。

ファンクの楽曲では、ベースは曲の中心として使われており、「フック(Hook)」も担当しているため「最もベースラインが目立つスタイル」とも呼ばれているほどです。

初期のファンクの特徴

ファンクとは?

初期のファンクのベースラインはシンコペーション(8分音符のシンコペーション)が使われていますが、ニューオリンズファンクよりも「より前に行くような感覚」があり、ルート音に対する長3度の音に加え、ブルーススケールの音が使われていました。
(ブルーススケールは「1 b3 4 b5 5 b7」ですので、これにメジャー3rdを足して「1 b3 3 4 b5 5 b7」となります。)

以降のファンクでは、16分音符のシンコペーション、ブルーススケール、繰り返しのパターン(オクターブの移動やより広いインターバルを利用したものが多い)がよく使われています。

ファンクのベースラインは、「繰り返しのパターン」「変わらないグルーヴ感」「休みなく続けて演奏」「スラップベース・ポッピングベース」が強調されています。

ファンクにおけるスラップベース・ポッピングベース

スラップは親指で弦を強く叩く奏法で、親指を意味する”サム(Thumb)”と呼ばれています。

ポッピングは指に弦をひっかけ、そのまま引っ張ることで弦をフレットに叩きつける奏法で、「プラック(Plucked)」とも言います。

Slap & Pop Bass - Bad vs Good Technique (Beginner/Intermediate)

スラップでは主に低い音を鳴らし、ポップでは高い音を鳴らすことが多いです。

この2つの奏法を組み合わせることで、ドラムのようなリズミカルな演奏ができるのです。

そしてこれが、ファンクの中でも最も特徴的な要素となります。

「ファンクらしさ」を使わないアーティストもいる

スラップや「ファンキーなサウンド」がファンクにおいて重要である一方、Rocco Prestia(Tower of Powerのメンバー)などのファンクのベーシストの中には、このアプローチを使わない人もいました。

彼らは代わりに、James Jamersonの「Motownプレイングスタイル」をベースとした、フィンガースタイルメソッドを使っていたのです。

Rocco Prestia of Tower of Power: Oakland Stroke

奏法の例(1:56~)

The James Jamerson Motown Bass Sound | Reverb Bass Tricks

ファンクベースは、粗く、パーカッシブな感じのサウンドが特徴的です。

ミュート奏法を使うことでゴーストノート(デッドノート)を取り入れているのも、この要因の一つです。

ファンクのベースに使われるエフェクト

ファンクベーシストの中には、エフェクト類を使ってサウンドに変化を加えることもあります。

たとえば「エンベロープフィルター(Envelope Filter)」を使い、オートワウ(Auto Wah)でベタベタとした感じの音にしたり、ベースの音でキーボードシンセの音を模倣したりすることがあります(Mutron エンベロープフィルター)。

Mu-Tron Micro-Tron III Envelope Filter Demo
The Original Funk box Mu Tron III
Bootsy Collins & Envelope Filter - Sirvandez

また、オーバードライブファズ(Overdriven fuzz)のエフェクトを使い、「オールドスクールスタイルのファンクのサウンド」のようにしたりすることもあります。

Voodoo Child (FRETLESS FUZZ BASS)

他にも、フランジャーやコーラスなどが使われます。

ファンクベーシストとして有名なBoosty Collins(後述)は、Mutron Octave Dividerを使っていました。

これはジミ・ヘンドリクスによって名前が知られた「オクタヴィアペダル(Octavia Pedal)」のようなオクターブペダルで、1オクターブ上下の音を2倍にし、未来感があり、低音がより厚みを増す音にできるエフェクトです。

Mu-Tron Octave Divider Flashback Review | MikesGigTV

有名なファンクのベーシスト

ファンキーベースで有名なベーシストには、こちらのアーティストが挙げられます。
(みなさんもよくご存知の楽曲にも参加していますので、ぜひ一度聞いてみてください)

Bernard Edwards(”Chick”のメンバー)

Chic - Good Times (Atlantic Records 1979)
Chic / Everybody Dance

Robert "Kool" Bell(Kool & The Gangの元メンバー)

Kool & The Gang - Celebration
Jungle Boogie - Kool & the Gang | The Midnight Special

Mark Adams (Slaveのメンバー)

Slave - Slide (1977)

Johnny Flippin(Fatbackのメンバー)

Fatback - Backstrokin' (Official Audio)
Fatback Band - I Found Lovin' (12" Version)

Boosty Collins

Bootsy Collins - I'd Rather Be With You
Bootsy Collins - Bootzilla (1978)

以上で今回の解説は終了です。

↓つづき「ファンクにおけるドラムの特徴」


人気記事

1

今回は、The Cosmic Academyが解説する「DTMで音を広げる6つの方法」をまとめました。 真ん中から聞こえる音を左右から聞こえるようにしたい 音を完全に左右に広げたいけど、音が変になる…このようなお悩みを解決できる内容になっていますので、ぜひお試しください。

2

ローファイミュージック(Lo-Fi Music)って何?DTMをやってるんだけど、どうやったら作れる?今回はこのような疑問にお答えする内容です。ローファイミュージックとは何か、どんな歴史があるのか、どんな特徴があるのかを解説していきます。

3

ベース音源「Trilian」ってどうやって使えばいいの?操作方法がいまいちよくわかってない…今回はこのようなお悩みにお答えする内容です!こちらの解説を読めば、「とりあえずプリセットを選んでいるだけ」から「自分好みの音作りができるようになる」までレベルアップできます!

4

今回は、BigZが解説する「世界的ヒット曲のようにボーカルをミックス(MIX)する方法」をまとめました。この解説では、Dua Lipaのヒット曲「Don’t Start Now」を参考に、ボーカルをどのようにすればプロっぽく仕上げることができるのかをじっくり解説していきます。

5

当サイトのnoteアカウントにて「楽曲のサビ・Aメロ・Bメロ・Cメロ・ポストコーラス・イントロ&アウトロの作り方」をそれぞれアップしました。 「曲を作るときに何から始めたらいいかわからない」「 ...

6

今回は、vvndertoneが解説する「ドラムミックスでヴィンテージサウンドを作る方法」をまとめました。ローファイ・ヒップホップ(Lofi Hip hop)のように、昔っぽいヴィンテージサウンドを作る方法を8つご紹介します。ヴィンテージ感を出すために使えるプラグインやテクニックを多数ご紹介しますので、ぜひ自分に合った方法やお気に入りのプラグインを見つけてみてください。

7

今回は、音楽で使うスピーカーに付いている「謎の穴」について解説します。いろいろなスピーカーを見てみると、前面下側に細長く穴が空いていたり、側面に丸い穴が空いてあったり、中には背面に穴が空いていることがあります。この謎の穴は、いったいどのような役割があるのでしょうか?

8

世界的にヒットしている曲の構成はどうなってる?ヒット曲の公式はある?今回はこのような疑問にお答えします。「曲を作るときはこれを使え!」と言うほど、多くの世界的ヒット曲に使われている楽曲構成をご紹介します。主に洋楽に使われている構成ですので、特に「世界中で自分の曲を聞いてもらいたい」という方はぜひ実践してみてください。

9

この記事では、世界中の作曲家・音楽プロデューサーが使っているおすすめのブラス(金管楽器)音源をご紹介します。同じ楽器でも音源によって音色が少し異なりますので、複数持っていると使い分けることができるほか、レイヤーしたときもリアルさと壮大さを増すことができます。

10

今回は、Alex Romeが解説する「10個のコードパターンで10種類の違う感情を表現!」をまとめました。 自分の表現したいものを、コード進行でうまく表現できない…そんな方に必見の内容です!

-音楽ジャンル解説
-