リバーブ(Reverb)をもっと上手に使えるようになりたい!
世界的に有名なプロからテクニックを学びたい!
今回はこのようなご要望にお答えする内容です。
数々のプラグイン・サンプルを販売する「Splice」が監修「Lesson of KSHMR」をまとめました。
今回はそのうち「リバーブに関するテクニック」の後半部分をご紹介します。
DTMerのためのリバーブ講座
KSHMRは世界的に有名なDJ・音楽プロデューサーなので、このシリーズでお伝えするテクニックはまさに「プロ直伝」。
音楽制作で必ず使える情報が満載ですので、ぜひ最後までご覧ください!
テクニック3:リバース・リバーブでまとまりを作る
3つ目のリバーブテクニックは「リバーブをリバース(逆再生)させて、音にまとまりを出す」です。
やり方はかんたんで、まずはまとまりを出したい音をオーディオ化(バウンス)します。
画像:動画より
次は音ごとにリージョンを切り刻み、リバースさせたい部分だけ残します。
画像:動画より
あとは、これらをリバースさせましょう。
そのままだと音の始まりにノイズが入ってしまったり、リバースの加減が合わなかったりするので、フェードインで調整するのがおすすめです。
画像:動画より
それでは、実際の音のBefore/Afterを聞いてみましょう。
リバースが入った方が、音がほどよくつながっている感じや、盛り上がっている感じがします。
新しいサウンドを取り入れる時に使えるリバースの活用方法
他にも、リバースを使ったテクニックがあります。
こちらは新しく入ってくるサウンドを自然に取り入れることができるテクニックで、特にボーカルに使えます。
KSHMR「Wild Card」の例
それでは、実際に僕(KSHMR)の曲「Wild Card」での使用例を見ていきましょう。
まずは、ボーカルの始まり部分をコピーし、新しいトラックを作ります。
画像:動画より
そして、このリージョンをそのままリバースさせます。
リバーブを追加し、Wetが多めの設定にします。
高音域を削るような設定やエフェクトはOFFにしましょう。
そして、一旦フリーズして(リバーブありの状態でバウンス)して、もう一度リバースさせます。
つまり、リバースありの状態で最初と同じように再生(逆再生ではない)されるようになります。
(ここでもう一度リバースさせないと、メロディーやコード進行が反転したままになってしまうため)
さらにまとまりを出すために…
これでも十分いいのですが、さらによくするためにディレイを足していきます。
ディレイはPing Pongディレイで、ちょうどいい具合にフェードアウトするように設定します。
画像:動画より
テクニック4:低音楽器に、高音のリバーブ成分を足す
最後のテクニックは「低音楽器に対して、高音成分を足すためにリバーブを使う」というテクニックです。
チェロの例を見てみましょう。
このチェロのトラックをそのまま複製して、ピッチを1オクターブ上げます。
次に、この1オクターブ上のトラックに対してハース効果を出すプラグインを入れます(ステレオディレイやサンプルディレイなど)。
これにより「右の成分」「左の成分」に分けることができ、左右の音を数ミリ秒ズラすことで、よりワイドに聞かせることができます。
そして、EQで低音域をカットします。
それでは、この2つを同時に聞いてみましょう。
2オクターブ上を重ねてもOK
もちろん、2オクターブ上の音を重ねてもOKです。
リバーブのおかげで、強制的に2オクターブピッチを上げても、そこまで音の劣化が目立ちません。
テクニック4:KSHMR「Strange Lands」で使われている例
次は、僕の楽曲「Strange Lands」で使われている例を見てみましょう。
どんな順番で、どのプラグインがどんな用途で使われているのかを解説していきます。
リバーブに使うEQ
ここで使われているリバーブには、まずEQが使われており、ローカットしています。
画像:動画より
使っているリバーブプラグインは、Valhalla DSP社「VALHALLA ROOM」です。
Decayは短め、少しだけハイカットしています。
画像:動画より
また、先ほどの「リバーブスイッチ」とゲインもオートメーションで書いています。

画像:動画より
また、リバーブのあとにはもう一度EQを使っています。

画像:動画より
こちらはローカットだけでなく、高音をならすために少し高音域を削っています。
リバーブを使っている対象がSuper Saw系のサウンドなので、リバーブによって高音がうるさくなりすぎないようにしています。
空白を埋めるためのリバーブ
また、空白を埋めるために、あえてリバーブ音をクレッシェンドさせている部分も作っています。
画像:動画より
音を左右に広げる
次に使っているのは、iZotope社の「Ozone Imager」です。
こちらは、中音域〜高音域を広げるために使います。
画像:動画より
「Ozone Imager」はOzoneのバンドルの中で最も安い「Elements」にも、多くのプロが使っている「Standard」「Advanced」にも入っています。
(初心者の方には「Elements」、中級者の方には「Standard」、上級者の方には「Advanced」がおすすめです)

コンプでダッキング(サイドチェーン)
次はコンプレッサーです。
前回の「テクニック1」でご紹介した通り、このコンプレッサーは「メロディーが鳴ったらリバーブの音量を減らす」=ダッキング(サイドチェーン)のために使います。
単純に、リバーブ音にサイドチェーンをかければOKです。
それでは、完成形を見てみましょう。
以上でDTMerのためのリバーブ講座は終了です。
このシリーズでは他にも打ち込みや音楽理論についてたくさん解説されていますので、ぜひ合わせてマスターしてください!
Spliceプレゼンツ・KSHMRのDTM講座シリーズ
【KSHMR解説】DTMerのための音楽理論基礎講座 Part1 – ディグリーネーム・スケール・コード-
【KSHMR解説】DTMerのための打ち込みストリングス・エスニックサウンド講座 Part1
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【KSHMR解説】DTMerのための「アコースティックギター打ち込みのコツ」