音楽ジャンル解説

【音楽ジャンル】ビバップ(Bebop)とは?【概要編】

今回は英語版wikipediaの「ビバップ」をまとめました。

この記事ではPart1として、ビバップの概要をざっくり解説していきます。

音楽ジャンル「ビバップ」とは?

ビバップは、1940年代中盤にアメリカで発展した、ジャズのスタイルのことです。

若いジャズミュージシャンによって発展したビバップは、人気だけでなくジャズにおけるクリエイティビティを広げようとして作られました。

それまではビッグバンドなどのダンス志向で大衆にもわかりやすい音楽である「スイング」が流行っていましたが、ビバップはダンサブルな音楽ではなく、注意深く聞かないといけないような音楽でした。

Be Bop
John Coltrane - Giant Steps (2020 Remaster) [Official Audio]
Blue 'n' Boogie

このようなビバップの楽曲を聞いてみると、確かに小難しそうで気軽にダンスができるような音楽ではありません。

どちらかと言うと、プレイヤーの超絶技巧やクリエイティビティを楽しむような音楽に聞こえるでしょう。

ビバップの音楽的な特徴

音楽用語を使うと、ビバップの特徴はこのように挙げられます。

・速いテンポ
・すぐにコードが変わる複雑なコード進行
・キーチェンジの多さ
・それぞれの楽器による高度なテクニックの使用
・ハーモニーの組み合わせをベースとした即興
・スケールの使用
・メロディーの「引用」

ビバップはダンス音楽ではない?

ビバップはダンス音楽として作られたわけではないので、ミュージシャンたちは速いテンポで演奏することができました。

ビバップミュージシャンは、より高度なハーモニー、複雑なシンコペーション、コードの変化、エクステンデッドコードの使用、代理コードの使用、アシンメトリーなフレージング、複雑なメロディーを追求していたのです。

「ビバップ」という名前の由来

「ビバップ(bebop)」という言葉は、スキャット(歌唱法)で使われる「意味のない音節」から来ています。
「リバップ(rebop)」という呼び方もあります

この「ビバップ」が最初に使われたのは、1928年リリースの McKinney's Cotton Pickersの「Four or Five Times」という楽曲です。

楽曲を聴くとお分かりの通り、ボーカルは特に意味のない言葉で「ドゥーララン」などのようにして歌っています。

Four Or Five Times

この後には、Jack Teagardenの1936年リリースの楽曲「I'se a Muggin」で使われています。

Django Reinhardt - I'se A Muggin' (1936)

しかしこの意味での「ビバップ」という言葉はあまり使われず、1940年代中盤には、現代で使われる意味=音楽ジャンルを意味する言葉として使われるようになりました。

一方、ビバップという手法自体は、1945年までにはR&Bにも使われるようになっています。

Lionel Hampton - Hey! Ba-Ba-Re-Bop (Remastered)

ビバップの楽器編成の特徴

ビバップのグループは、リズムセクションの役割を拡大して使っています。

スイング時代の主要アンサンブルは最大14人で構成されていましたが、クラシック・ビバップではサックス(アルトかテナー)、トランペット、ピアノ、ギター、ダブルベース(ウッドベース、コントラバス)、ドラムといった小さい編成が主要で、アンサンブルは主にソリストをサポートする役割を担っていました。

楽曲構成の特徴

ビバップは「アレンジされた音楽を演奏する」というよりも、セクションごとにパフォーマーたちがソロで即興をし、その後「元から作曲されているメロディーセクション(「ヘッド」と呼ばれる)」を演奏するというのが一般的です。

Charlie Parker - Bebop

たとえば、こちらの曲は、ざっくり分けるとこのような構成になっています。

ヘッド→アルトサックスソロ→ピアノソロ→トランペットソロ→ヘッド

ヘッドでは全員が演奏し、間に各楽器のソロを挟んでいます。

ビバップで有名なアーティスト

ここでは、ビバップで有名なアーティストをご紹介します。

アルトサックス奏者

Charlie Parker

Charlie Parker - Bebop

テナーサックス奏者

Dexter Gordon

Dexter Gordon - Body and Soul (4K 60 FPS Colorized & Restored Audio)

Sonny Rollins

Sonny Rollins - Strode Rode (1956)

James Moody

Be Bop Tune No. 1

クラリネット奏者

Buddy DeFranco

The King Of The Clarinet [1952] - Buddy DeFranco

トランペット奏者

Fats Navarro

Be Bop Romp by Fats Navarro

Clifford Brown

Cherokee (Remastered)

Miles Davis

Miles Davis - The Last Bebop Session 50
Miles Davis - The Doo Bop Song

Dizzy Fillespie

Dizzy Gillespie - Bebop

ピアニスト

Bud Powell

Bud Powell-Be Bop

Mary Lou Williams

Pale Blue

Thelonious Monk

Straight No Chaser

エレキギタリスト

Charlie Christian

SWING TO BOP (1941) by Charlie Christian

Joe Pass

Django

ドラマー

Kenny Clarke

Kenny Clarke Bebop

Max Roach

Donna Lee

Art Blakey

Art Blakey - Cranky Spanky

↓つづき「ビバップの歴史(初期〜1940年ごろ)」


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