音楽ジャンル解説

【音楽ジャンル】R&B(リズムアンドブルース)とは?【1950年代中盤・ロックとの関係】

今回は英語版wikipediaの「R&B」についてまとめました。

この記事ではPart4として、1950年代中盤のR&Bとロックンロールとの関係について解説していきます。

アフリカ系アメリカ人だけが買っていたR&B

R&B初期~1950年代中盤までは、実はアフリカ系アメリカ人だけがR&Bのレコードを買っていました。

Atlantic Records社のJerry Wexlerは、R&Bはアフリカ系アメリカ人の市場にしかなく、白人に聞かれることもなければ、白人系のラジオで流されることもなかったといいます。

1950年代前半になると、ようやく白人のティーンエイジャーたちがR&Bに興味を持ち、レコードも買い始めるようになります。

そしてだんだんと、白人のティーンエイジャーたちは白人系音楽であるカントリーから、黒人音楽のR&Bへと興味を移していきます。

1950年代のヒット曲

この頃数多くヒット曲を出したプロデューサー・アーティストには、Johnny OtisやThe Cloversなどが挙げられます。

Otisは1951年にチャート1位に入る曲をいくつもリリースし、The Cloversはブルースとゴスペルを融合させた、今までにないスタイルで活躍していました。

Johnny Otis Quintette and Little Esther-Double Crossing Blues
'Johnny Otis - MISTRUSTIN'' BLUES'
'Johnny Otis - CUPID''S BOOGIE'
Don't You Know I Love You - Clovers

アップテンポでファンキーなR&B = ロックンロール

1951年になると、Little Richard PennimanはRCA Records社で、1940年代に活躍したRoy BrownやBilly Wrightのジャンプブルーススタイルの楽曲をリリースします。

このスタイルは1955年に有名になり、人々はアップテンポでファンキーなR&Bな彼の音楽…ロックンロールのサウンドに興味を持ちました。

Little Richard - Tutti Frutti

R&Bで成功した音楽には「Tutti Frutti」や「Long Tall Sally」などがあり、これらの楽曲はJames BrownやElvis Presley、Otis Reddingなど、のちのアーティストたちに影響を与えました。

そのため、Richardは「ロックンロールのパイオニア」とも呼ばれています。

Little Richard - Long Tall Sally

その他活躍したアーティストたち

ここでは、その他活躍したアーティストをご紹介します。

Ruth Brown

Ruth Brownは1951年から1954年の間、毎年その年のトップ5を飾る楽曲をリリースし続けます。

Ruth Brownは女性R&Bアーティストの中でも特に卓越しており、アフリカ系アメリカ人の伝統をしっかり受け継いだボーカルで人気を集めました。

Ruth brown - - - - - Teardrops From My Eyes
Ruth Brown, 5,10,15 hours
Ruth Brown - Hey Mama, He Treats Your Daughter Mean (Live)
Ruth Brown--Oh What A Dream

Fats Domino

Fats Dominoは、1952年と1953年のポップチャートにおいてトップ30を獲得し、「Ain't That a Shame」ではトップ10を獲得しました。

FATS DOMINO - AIN'T THAT A SHAME 1955

Ray Charles

Ray Charlesは1955年の「I Got a Woman」で、アメリカ中の人気を集めます。

Ray Charles - I got a woman

the Chords

1954年にリリースされたthe Chordsによる「Sh-Boom」はドゥーワップ(音楽ジャンル)の楽曲で、R&Bチャートからクロスオーバーしてこの年のTOP10に入ります。

The Chords - Sh-Boom

同年後半から1955年にかけては、the Charmsの「Hearts of Stone」がTOP20に入ります。

Otis Williams and The Charms - Hearts Of Stone

Bo Diddley

1955年春にリリースされたBo Diddleyのデビューレコード「Bo Diddley」「I’m a Man」はR&BチャートでTOP2に入り、Bo Diddleyオリジナルのリズムスタイルや、ブルースのクラーベをベースとしたジャズの即興的な伴奏(のちにロックンロールの基本となります)の普及に大きく貢献しました。

Bo Diddley - Bo Diddley [stereo]
I'm a Man

Chuck Berry

Chuck Berryは、「Ida Red」という、カントリーのフィドルチューンをリリースします。

Ida Red - Bob Wills & His Texas Playboys

1955年にリリースした「Maybellene」はR&Bチャートで3位になっただけでなく、ポップチャートでもTOP30にランクインするほどの人気楽曲でした。

Alan Freedは1954年により大きな市場であるニューヨークシティに移住し、白人のティーンエイジャーにもこの楽曲を普及させるよう貢献します。
Alanは「ロックンロールの父」と呼ばれています

Chuck Berry - Maybellene

↓つづき「Part5」はこちら


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