作曲全般

リズムやメロディー、コード進行のマンネリ化を防ぐ方法【音楽と数学】

今回は、Morgan Hendryが解説する「音楽で順列を活用する方法」をまとめました。

「数学」と聞くと少し難しそうに思えるかもしれませんが、実は誰でも簡単に、音楽でリズムやコード進行のマンネリ化を防ぐために活用できます。

今回は、「そもそも順列とは何か」からおさらいし、実際に音楽制作ではどのように活用していくかをご紹介します。

Permutations: Permutations in Music (Part 4 of 8)

数学の「順列」とは?

「順列」は、みなさんが数学の授業で習った「並び順のパターンを決める方法」です。

例えば「5人の中から1人を学級委員長に、もう1人を副委員長に選ぶとき、何通りのパターンが考えられるか?」「10人の中から、5人のリレー選手とその走順を決めたい」というときに使えます。

この順列を音楽に応用すると、リズムやメロディー、コード進行の並び順や組み合わせも決めることができるので、自分では思いつかないパターンを数学が導いてくれます。

問題1:AとBの並び方は何パターンある?

それでは、図を使って簡単な順列の問題を解いてみましょう。

リズムやメロディー、コード進行のマンネリ化を防ぐ方法

https://youtu.be/oX9HovSOSwc?si=YjtRALZGw_wA0T96

ここに、AとBがあります。

「1度に2つ選べる」「2回連続同じアルファベットを選ぶことはできない」という条件があったとしたら、一体何パターンの並びが考えられるでしょうか?

リズムやメロディー、コード進行のマンネリ化を防ぐ方法【音楽と数学】

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正解は「2パターン」です。

同じアルファベットを連続で選ぶことはできないので「AとA」「BとB」は除外され、「AとB」「BとA」の2パターンが考えられます。
※順列では「順番」を考慮するので、どちらを先に選ぶか・後に選ぶかで「違うパターン」とみなされます

問題2:AとBの並び方は何パターンある?(重複アリ)

リズムやメロディー、コード進行のマンネリ化を防ぐ方法【音楽と数学】

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それでは、「AとBの2種類ある」「同じアルファベットを連続で選んでもOK」「1度に2つのアルファベットを選べる」という条件だったら、何パターンの並び方が考えられるでしょうか?

「重複アリ」という条件があるので、先ほどよりもパターンは増えるでしょう…

リズムやメロディー、コード進行のマンネリ化を防ぐ方法【音楽と数学】

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正解は「4パターン」です。

先ほどの「AとB」「BとA」に加え、重複OKなので「AとA」「BとB」も追加されます。

順列の公式は「nのr乗」

これまでのパターンはすべて「nのr乗」という数式で解くことができます。

リズムやメロディー、コード進行のマンネリ化を防ぐ方法【音楽と数学】

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n:全部で何個の要素から選べるのか?
r:1度に選べる要素の個数

例えば先ほどの「AとBの2種類から、1度に2つのアルファベットを選ぶことができる」という問題の場合は、「2種類の中から1度に2つ選べる=2の2乗=4パターン」となります。

数学の順列を音楽に応用する方法

それでは、数学の順列を音楽に応用するにはどうしたらよいのでしょうか?

まずは、ドラムを使った簡単な例を見てみましょう。

リズムやメロディー、コード進行のマンネリ化を防ぐ方法【音楽と数学】

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例えばAを「ドラムで音を鳴らすとき」、Bを「休符」とします。

そして先ほど問題で解いたAとBの4パターンの並びに当てはめて、楽譜に表すとこのようになります。

リズムやメロディー、コード進行のマンネリ化を防ぐ方法【音楽と数学】

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「音符・休符」「休符・音符」「音符・音符」「休符・休符」の4パターンがあり、それぞれのペアの順番を自習に入れ替えて楽譜に並べました。

2種類の音を使って、同時に3つの音を選べる場合(三連符の例)

順列は、三連符をベースにするときも使えます。

例えば「音符」と「休符」の2種類があり、1拍につき3連符1つ=1度に3つ選べるので、「2の3乗=8パターン」が使えます。

リズムやメロディー、コード進行のマンネリ化を防ぐ方法【音楽と数学】

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8パターンあるので、三連符1個につき1拍にすると、ちょうど2小節分の長さになります。

ドラムで4096通りのパターンを考える方法

これまでの順列の方法をドラムセットに応用すると、「右手」「左手」「右足」「左足」に対し、それぞれのパターンを当てはめることができます。

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例えば先ほどの三連符の例を使うと、手足の片方につき8パターンありますので、8の4乗=4096通りのパターンが考えられます。

リズムやメロディー、コード進行のマンネリ化を防ぐ方法【音楽と数学】

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16分音符単位だと65536通りのパターンが作れる

ベースにする音符の長さを変更すると、それだけ作れるパターンの数も変わります。

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例えば8分音符の場合は全部で4通りですので、4の4乗=256通りとなります。

8分音符の三連符の場合は4096通り、16分音符の場合は65536通りになりますので、マンネリ化を簡単に防ぐことができます。

加えて、1小節の長さでこのパターン数ですから、例えば「2小節ごとの組み合わせ」になれば、さらに数は増えます。

全パターンを使用したときにかかる時間は?

ちなみに、BPM120の曲でこれらのパターンを全て使ったときにかかる時間は、次のようになります。

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256パターン使う:2分
4096パターン使う:34分
65536パターン使う:9.1時間

全く同じパターンの小節をゼロにした場合でも、2分の楽曲が作れることになります。

極端な例ではありますが、音楽の可能性を無限大に感じる数字です。

おすすめの順列計算サイト

こちらのサイト「mathsisfun.com」では、順列のパターン数を計算するだけではなく、実際の組み合わせを文字で表示してくれます。

例えば「a,b,c,dの4要素の中から、1度に4つ選べる場合」の結果はこのように表示されます。

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文字は任意で選べますので、例えば「♪」「♫」「♬」「r(休符)」にすると、このように表示されます。

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このようなサイトも、ぜひご活用ください。

リズムやメロディー、コード進行のマンネリ化を防ぐ方法まとめ

今回は、数学の「順列」を使ってリズムやメロディー、コード進行のマンネリ化を防ぐ方法をご紹介しました。

・順列は「nのr乗」
n:全部で何個の要素から選べるのか?
r:1度に選べる要素の個数
・「音符」と「休符」の2要素に分け、音符の長さを変える
1度に2つ選べる=8分音符
1度に3つ選べる=8分音符の3連符
1度に4つ選べる=16分音符

自分では思い浮かばないような斬新なアイデアが欲しい方は、ぜひご活用ください。

当サイトでは、他にも作曲のマンネリ化を防ぐ方法をご紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください↓


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