ローファイ・ヒップホップのドラムの作り方とおすすめプラグイン
- 2024.08.07
- 2024.08.24
- アレンジ
今回は、vvndertoneが解説する「ドラムミックスでヴィンテージサウンドを作る方法」をまとめました。
ローファイ・ヒップホップ(Lofi Hip hop)のように、昔っぽいヴィンテージサウンドを作る方法を8つご紹介します。
また、ヴィンテージ感を出すために使えるプラグインも多数ご紹介しますので、ぜひ自分に合った方法やお気に入りのプラグインを見つけてみてください。
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- 1. はじめに:ドラムミックスのBefore/Afterを聞いてみよう
- 2. LoFiサウンドの作り方1.トランジェントシェイパーで余計な余韻を削除する
- 3. LoFiサウンドの作り方2.キックの濁りをEQで取り除く
- 4. LoFiサウンドの作り方3.サチュレーションをかける
- 5. LoFiサウンドの作り方4.スネアにサチュレーション・ディストーションを使う
- 6. LoFiサウンドの作り方5.EQでスネアの余計な倍音を取り除く
- 7. LoFiサウンドの作り方6.ドラム全体にコンプレッサーをかける
- 8. LoFiサウンドの作り方7.ドラム全体にテープエミュレーターを使う
- 9. ここまでのサウンドを確認
- 10. LoFiサウンドの作り方8.ドラムBusにSendでディストーションをかける
- 11. ローファイ・ヒップホップ(LoFi Hip hop)のドラムの作り方まとめ
- 12. ローファイ・ヒップホップ(LoFi Hip hop)におすすめのプラグインまとめ
はじめに:ドラムミックスのBefore/Afterを聞いてみよう
まずはじめに、ドラムミックスをする前と後の音を聞いてみましょう。
16:56~17:09
Afterの方が音がパキっと明るく、かつヴィンテージ感・LoFI感のあるサウンドになっています。
今回ミックスするドラムの音(Beforeの状態)は、ドラムセットにマイクを置いて自分でレコーディングしたものです。
1:25~1:55
それではここからは、このドラムにヴィンテージ感・LoFi感を加えるためのミックスのコツをご紹介していきます。
LoFiサウンドの作り方1.トランジェントシェイパーで余計な余韻を削除する
まずは、トランジェントシェイパーを使ってキックやスネアの余計な余韻を削除します。
自分でレコーディングした場合も、ネットでダウンロードしたドラムサンプルを使う場合も、特に生ドラムの場合は音の余韻が残っていることが多いです。
まずは余計な余韻を取り除くために、トランジェントシェイパーでサステイン(もしくはリリース)を減らします。
ドラムの余韻を取り除く例(2:38~2:52)
スネアの余韻を取り除く例(3:16~3:20)
特に、スネアはハイハットと距離が近いため、マイクで録ったときにハイハットの音も入ってしまっていることがあります。
そのため、トランジェントシェイパーを使ってサステイン(リリース)を削ることで、スネアだけの音を残すことができます。
今回使っているのはUAD社「SPL Transient Designer」ですが、もちろん他のプラグインでも構いません。
おすすめのトランジェントシェイパー
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LoFiサウンドの作り方2.キックの濁りをEQで取り除く
次は、EQでキックをスッキリとさせていきます。
ボヤボヤと濁った音がしているので、EQで400Hz付近の中音域を少し削っていきます。
4:50~5:14
また、超低音域も思い切ってカットします。
これは個人的な好みにもよりますが、今回はベースに超低音域を譲りたいので、キックから超低音域を取り除きます。
今回は37Hz付近から下をカットしました。
5:14~5:31
LoFiサウンドの作り方3.サチュレーションをかける
次は、キックにサチュレーションをかけて音を太くしていきます。
今回は3つのサチュレーション・ディストーション・テーププラグインを使っていきます。
サチュレーション1:Decapitator
はじめに使うのは、Soundtoys社のDecapitatorです。
(もちろん、他のサチュレーション・ディストーションプラグインを使っても構いません)
5:50〜6:40
サチュレーション2:Radiator
次に使うのは、Soundtoys社の「Radiator」です。
このプラグインを使うときのコツは「Inputを上げてOutputを下げること」です。
こうすることで、より多くのサチュレーション効果を得ることができます。
6:07~6:14
サチュレーション3:STUDER A800
次に使うのは、テープサチュレーションプラグインであるUAD社のSTUDER A800です。
高音域はあまり欲しくないので、「IPS」は「7.5」に設定します。
IPS:Inch Per Secondの略。数字が小さいほど暗い音になる
こちらも先程のRaditorと同様、Inputを上げてOutputを下げ、テープサチュレーションの効果をさらに引き出します。
6:36〜7:22
これまでのミックスをBefore/Afterで比較してみる
それでは、ここまでのミックスをBefore/Afterで比較してみましょう。
7:23〜7:37
Beforeは「ただ音がこもっているだけ」という感じでしたが、Afterではアタック感もしっかり残しつつ、ヴィンテージ感・LoFi特有のあたたかさや太さを感じられるサウンドになっています。
キックだけで10~15個のプラグインを使うこともありますが、1つ1つのプラグインの役割は小さくても、全て集まればこれだけ大きな違いを出すことができます。
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LoFiサウンドの作り方4.スネアにサチュレーション・ディストーションを使う
次はスネアのミックスに移ります。
スネアもキックと同様、サチュレーション・ディストーションをかけていきます。
サチュレーション1:Decapitator
Decapitatorを使って、スネアにパンチと太さを両方加えます。
7:48~8:10
サチュレーション2:Radiator
さらに、Radiatorを重ねます。
このプラグインでは「MIC」と「LINE」の設定で音のカラーが変わりますので、そちらも切り替えながらベストなサウンドを探っていきましょう。
8:14~8:35
サチュレーション・ディストーションプラグインを2つ使ったことで、さらにパンチと重みのあるサウンドになりました。
LoFiサウンドの作り方5.EQでスネアの余計な倍音を取り除く
次は、EQでスネアに含まれている余計な倍音を取り除きます。
スネアでは特定の周波数帯域が変に目立ってしまうことがあり、これをEQでピンポイントで削ると、非常にスッキリしたサウンドになることがあります。
まずはQ幅を少し広く&思い切ってブーストしてどの周波数帯域が原因となっているかを探り、そこからQ幅を縮めながら、ピンポイントで問題の周波数帯域を削ります。
8:53~9:18
変に大きく鳴っている周波数帯域を削ったことで、とてもフラットで聞きやすいスネアの音になりました。
オーバーヘッドの音も整える
もし自分でドラムの音をレコーディングするなどしてオーバーヘッドのオーディオデータがあるときは、こちらもミックスで余計な音を取り除きましょう。
オーバーヘッドは部屋鳴り・空間を感じさせることができれば十分なので、過剰に出過ぎている周波数帯域・楽器の音は思い切って削ってしまいましょう。
9:19〜10:05
それでは、キック・スネア・オーバーヘッドを合わせて聞いてみましょう。
すべてのプラグインをOFFにしたときと比べると、非常にスッキリしながらもLoFi感・ヴィンテージ感はしっかり加えられていることがわかります。
10:11~10:29
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LoFiサウンドの作り方6.ドラム全体にコンプレッサーをかける
次は、ドラム全体に対してミックスをします。
動画中ではドラム全体を録ったマイク(モノラル録音)に対してミックスをしていますが、ドラムBus(ドラムのグループトラック)に対して使ってもよいでしょう。
今回はEventude社「Omnipressor」を使って音をタイトにします。
11:06~11:33
LoFiサウンドの作り方7.ドラム全体にテープエミュレーターを使う
次は、テープエミューレーターやサチュレーションを使ってヴィンテージ感を加えます。
テープエミュレーター1:Ampex ATR-102
はじめに使うのはUAD社「Ampex ATR-102」です。
このプラグインのいいところは、IPSを3.75まで下げられることです。
多くのテープエミューレートプラグインは7.5~30程度であることが多く、数値が高いほど高クオリティになるため、高い数値で使われることも多いです。
しかし数値が低いほどダークでヴィンテージ感を足せるので、ローファイヒップホップを作るなら3.5にしてもよいでしょう。
12:40~12:46
テープエミュレーター2:Tape MELLO-FI
FILTERを使って少しだけ高音域を削ってみたり、DRIVEで音をグシャっとさせてみたり、FLUTTERやWOWで音を揺らがせてみたりなど、LoFi感を出せるパラメーターがたくさん備わっています。
12:55~13:57
サチュレーション1:UAD社「Vertigo VSM-3」
次は、UAD社「Vertigo VSM-3」を使ってサチュレーションを加えます。
プリセットが豊富なので、プリセットを変えながらちょうどいいサウンドを探します。
14:03~14:15
テープエミュレーター3:Waves社「Reel ADT」
次はWaves社「Reel ADT」で「Fake Stereo」というプリセットを使います。
このプリセットにすると、音が一気に左右に広がってステレオ感が出ます。
17:36〜17:50
このステレオ感のある音をうまく混ぜることで、ほどよい広がりとLoFi感を両立させることができます。
Reel ADTは単体でも購入可能ですが、バンドル「Abbey Road Collection」で購入した方がお得です。
エンハンサー:Sonnox社「Inflator」
次はSonnox社「Inflator」を使って、スネアの音抜けがよくなるようにします。
フェーダーを少し調整するだけのシンプルなプラグインですが、サウンドは大きく変わります。
14:34~14:42
サチュレーション2:Eventude社「Sheen Machine」

次は、Eventude社「Sheen Machine」を使ってスネアに明るさを加えます。
14:47~15:04
ここまでのサウンドを確認
それでは、ここまで作ったサウンドを一通り確認します。
全て同時に聞いてみて、違和感のあるところは調整します。
15:08~15:29
LoFiサウンドの作り方8.ドラムBusにSendでディストーションをかける
最後の仕上げとして、ドラムBus(ドラム全体)にディストーションをかけます。
こちらはパラレル処理(Send)をして、元の音とエフェクトをかけた音の割合を上手く変えながら調整するのがおすすめです。
今回はARTURIA社「DIST TUBE-CULTURE」を使います。
スネアの音がちょうどいい具合にパキっと明るくなるところまでSendの量(エフェクトをかけた音)を上げます。
15:46~16:42
最後は、マスター(Stereo Out)にcradle社「The God Particle」をかけて音を明るくします。
16:50~16:56
ローファイ・ヒップホップ(LoFi Hip hop)のドラムの作り方まとめ
以上が「ローファイ・ヒップホップ(LoFi Hip hop)のドラムの作り方」でした。
さまざまなプラグインを重ねて使っていくと、今回のようなローファイ・ヴィンテージサウンドを作ることができます。
ローファイ・ヒップホップ(LoFi Hip hop)におすすめのプラグインまとめ
最後にこの記事でご紹介したプラグインを一覧にまとめますので、気になるプラグインがあればぜひGETしてみてください↓
サチュレーション・ディストーション・テーププラグイン
WAVES / Abbey Road Collection
Waves社「Reel ADT」は単体でも購入可能ですが、バンドル「Abbey Road Collection」で購入した方がお得です)
トランジェントシェイパー
コンプレッサー
エンハンサー
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