譜読みを早くする方法-5つのコツ-【ピアノ・吹奏楽・オーケストラ】
- 2024.08.09
- 2024.08.07
- ボーカル・楽器演奏
ピアノや吹奏楽、オーケストラなどで「譜読みが遅い」「楽譜を読むのが苦手」とお悩みの方はいませんか?
これからご紹介する5つのポイントを押さえれば、誰でも譜読みをもっと早くすることができます!
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はじめに:あなたの譜読みレベルはどれぐらい?
まずはじめに、下の画像をご覧ください。
これは譜読みレベルの推移をグラフにしたもので、赤い線が「よくある譜読みレベルの変化」を表しています。
真ん中:楽譜の読み方が分かる
一番上:カンタンに楽譜が読める
多くの方が、一番下の「全く楽譜が読めない状態」からスタートし、だんだん真ん中の「楽譜の読み方が分かる」の状態に近づいていきます。
しかし一番上の「カンタンに楽譜が読める」までたどり着かず、真ん中の黄色いラインで止まってしまう人も多いでしょう。
今回は、この「真ん中の黄色いラインで停滞してしまっている人」が一番上のラインまでたどりつくためにはどうしたらいいのか?を解説していきます。
※以下の基本的な音符が読めることが前提となります
譜読みを早くする方法(5つのコツ)
譜読みを早くする方法には、大きく分けて5つのコツがあります!
コツ2.インターバル(音の間隔)に着目する
コツ3.階層で分ける
コツ4.キー(調)を見分ける
コツ5.まとまりを作る
私(Nahre Sol)は現時点で25年以上の間楽譜を見てきていますが、最初は譜読みが本当に難しかったです。
そのため、何度も練習を重ね、楽譜を見た時にすぐ情報を解析し、より譜読みをカンタンにするための工夫を何度も行ってきました。
ここからは、長年のあいだ譜読み速度を上げるために行ってきた「5つのポイント」を具体的にご紹介します!
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譜読みを早くするコツ1.リズムで分ける
譜読みを早くする1つ目のコツは「リズムで分ける」です。
楽譜を開いたとき、まずは1小節ごとに目を向けます。
拍子やキー(調)などはもちろん重要な部分なのでそちらもチェックしながら、「各小節の強拍にあたる部分」に着目してみましょう。
以下の画像のように、1小節の中で「大きな区切り」になる部分で分割します。
このように分けると、残りの小さな細かい音の動きもわかりやすくなります。
上の画像の黄色い部分のように、パッと見てわかりやすい区切り・まとまりの部分を見つけ、
この上の画像の赤い部分のように、一旦区切ってみましょう。
また上の画像の水色のラインように、「各小節の真ん中の部分」にも注目するとよいでしょう。
プロによる譜読みの実例①
それでは試しに、私があまり親しみのない楽譜で「譜読みの実演」をしてみます。
私の場合はまず、一番最初に拍子を確認します。
この楽曲の場合は、2/4拍子になったり3/8拍子になったりするようです。
そして楽譜全体をザッと見てみます。
「ものすごく複雑」というわけではなく、ある程度はシンプルな楽曲に見えます。
ただし、左手(楽譜下段)に16音符の休符が散りばめられており、ここの部分はちょっと難しそうです。
このように楽譜をザッと見渡したら、次は先ほどの「リズムで分ける」をやってみます。
左手がわかりやすく8分音符で刻まれているので、ここを目印に4分音符ごとに縦に線を区切ってみます。
それでは、私が実際に頭の中で区切って楽譜を見ている様子を、赤線や黄色い四角を使って視覚化しながら演奏してみます。
譜読みを早くするコツ2.インターバル(音の間隔)に着目する
譜読みを早くする2つ目のコツは、「インターバル(音の間隔)に着目する」です。
五線譜に書かれている音符には、大きく分けて2つの音符があります。
ちょうど線の間に書かれている音符:SPACES
上の画像の「1」「3」「5」「7」という数字は、それぞれ音の間隔(インターバル)を表しています。
※「1」は「1度」、「3」は「3度」の間隔が開いている
上の画像は、この音の間隔(インターバル)が偶数であるパターンです。
…さて、ここまでを見てお気づきになったでしょうか?
「LINES同士」もしくは「SPACES同士」の場合は、インターバルが奇数になります。
「どちらかがLINESで、もう一方がSPACES」の場合は、インターバルが偶数になります。
この法則を理解しておくと、楽譜をパッと見ただけでインターバルがどれぐらいあるのかがすぐ分かるようになり、すぐ演奏できるようになります。
例えば上の楽譜のように音と音の間隔が常に異なるような場合でも、即譜読み→正しく演奏できるようになります。
五線譜の上下にある「加線」にもすぐ対応できる
この法則は、五線譜の上下に「加線」があるときにも役立ちます。
「加線」とは、音がとても高かったり低かったりするときに一時的に描かれる線のことです。
例えば上のような楽譜の場合、途中から高い音がいくつか続きます。
特に、少し低い音から高い音にジャンプするとき、どれぐらいの高さまで移動するのかがわかりにくいですね。
このような場合も、先ほどのSPACEとLINEの法則が使えます。
今回の場合、低い音は線の間にある「SPACE」で、高い音は線にまたがっている「LINE」の音です。
SPACEとLINEの組み合わせの時は「インターバルが偶数」ですので、この部分は「偶数個だけ離れている」ということがわかります。
あとは、楽譜をパッと見て「1オクターブ(8個)ぐらい離れているかな?」のように推測します。
※ちなみにこの場合は、下の音がE(ミ)で上の音が G(ソ)のため、10個分のインターバルがあります。
「ミ、ファ、ソ、ラ、シ…」と1個ずつ確認するのではなく、「偶数か奇数か」まで絞ることができれば、より早く譜読みをすることができます。
分かる音からたどっていくのもOK
音が非常に高く(もしくは低く)、加線が多くて譜読みしづらい場合は、「確実に分かる音から音をたどっていく」という方法もよいでしょう。
例えば上の画像のとき、私の場合は「一番上から3つ目の音がC#である」ということは確実に分かります。
このC#の音も、一番高い音も、線にまたがる「LINES」の音です。
・線が3本分=「1」「3」「5」=インターバルは5個分
つまり、C#から5個分のインターバルがある音=G(ソ)の音であることがわかります。
このように、「音符はSPACEとLINEのどちらか?」「どの音から数えるか?」「どの音なら確実に分かるか?」を考えると、より早く譜読みをすることができます。
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譜読みを早くするコツ3.階層で分ける
譜読みを早くする3つ目のコツは「階層で分ける」です。
以下の画像のように楽譜全体をいくつかの階層に分けてみると、とても譜読みがしやすくなります。
このように楽譜を階層に分けるときは、まず「リファレンスノート(参考・基準にする音)」を決めます。
例えば上のような楽譜の場合、とりあえずG(ソ)の音をリファレンスノートとして考えてみます。
そして、楽譜を読み進める時も常にG(ソ)の音を基準にしながら読み進めていきます。
G(ソ)の音を常に意識することで、「Gの音からどれぐらい離れているのか?」を基準に譜読みをすることができます。
F(ファ)の音が出てきたときは「Gの音から半音2個分下の音」と考えることができる
リファレンスノートを1つ決めるだけでも、それに近い音の譜読みがスムーズになります。
加えて、楽譜を階層に分けてみると、上の画像のようになります。
五線譜のうち上から2番目の線から上の部分を「黄色の階層」にしてみました。
こうすると、この楽譜上で黄色の階層にある音はE(ミ)とF(ファ)しかありません。
そのため、「黄色の階層に出てきた音は、EとFのどちらか」と、的を絞って譜読みをすることができるようになります。
インターバルではなく階層で考えてもOK
先ほどのコツ2では「インターバルを考えて譜読みをしよう」とお伝えしましたが、インターバルではなく階層で考えた方が楽な場合があります。
例えば上の楽譜のうち、赤い矢印の音に着目してみると…
次の音までのインターバルは、完全5度(半音7個分)です。
そして次のフレーズは、短6度(半音8個分)のインターバルがあります。
しかしこのように「インターバルがどれぐらいあるのか?」ではなく、楽譜に横線を弾いて階層に分けてみるとどうなるでしょうか?
と考えることができます。
またFとGの音は距離が近いので、インターバルが短2度(半音1個分)であることがすぐわかります。
言い換えると、
ではなく、
と考える方が、よりカンタンになるでしょう。
譜読みを早くするコツ4.キー(調)を見分ける
譜読みを早くする4つ目のコツは「キー(調)を見分ける」です。
キー(調)は、指定された範囲内にある「指定された音」は全てシャープ(#)もしくはフラット(♭)にするという意味があります。
しかし、「シャープが何個あるのは何キー(何調)だっけ?」と、シャープやフラットの数だけでキー(調)を見極めるのが難しいという方もいるでしょう。
そこで、シャープとフラットの数だけでキー(調)を見極める方法をそれぞれご紹介します。
シャープの数だけでキー(調)を見極める方法
シャープの場合は、楽譜に描かれている一番右のシャープを見つけ、この音の1つ上の音がルート音のキー(調)となります。
例えば下の楽譜を見てみましょう。
シャープが3つ付いていて、一番右のシャープはG(ソ)に書かれています。
Gの1つ上の音はA(ラ)ですので、この曲はAメジャーキー(イ長調)となります。
上の楽譜のように、一番右にシャープがついている音を「スケールのリーデイングトーン(最後の音)」と考え、赤い音符の部分のようにスケールを弾いてみるとわかりやすいです。
フラットの数だけでキー(調)を見極める方法
フラットの場合は、「最後から2番目にフラットが書かれている音のメジャーキー」が、その曲のキー(調)となります。
例えば上の画像の場合、最後から2番目に書かれているのはE(ミ)のフラットです。
つまり、この曲のキー(調)はEbメジャーキー(変ホ長調)となります。
それでは上の楽譜の場合はどうでしょうか?
シャープが4つあり、左から順にF,C,G,D(ファ、ド、ソ、レ)に付いています。
一番右が「D#」となりますので、その半音上のEがルート音、つまりEメジャーキーとなります。
ちなみに厳密に言うと、これらはキー(調)を表すのではなく、あくまで「調記号」となります。
そのため、「Eメジャーキー」と考えられるものは「C#マイナーキー」の可能性もあります。
曲を弾く前に、一度スケールを弾こう
実際に演奏をするときは、まずはじめにその曲のスケールを弾いてみるのがおすすめです。
手や耳でそのスケールの感覚を掴むことで、「この曲はFとCにシャープが付いて、黒鍵で弾くんだな」など、その曲の雰囲気や指の感覚を体で覚えることができます。
キー(調)を体に染み込ませでおくことで、譜読みと演奏をよりスムーズに行うことができます。
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譜読みを早くするコツ5.まとまりを作る
譜読みを早くする5つ目のコツは「まとまりを作る」です。
譜読みをするときは、より大きなまとまりでフレーズや情報を分けると、譜読みをしやすくなります。
分け方の基準1.スケール
下の画像のように、キレイにスケールになっている部分でまとまりを作ります。
分け方の基準2.インターバル
下の画像のように、同じインターバルが繰り返される部分でまとまりを作ります。
分け方の基準3.コード
下の画像のように、その小節のコードを弾いている部分でまとまりを作ります。
音楽理論がなくてもまとまりは作れる!
前述の「スケール」「インターバル」「コード」のような、音楽理論にもとづいた基準でまとまりを作らなくてもOKです。
例えば上の楽譜の場合、「だんだん下がっている」「右手と左手が同じ動きをする」など、ざっくりとした分け方でも構いません。
プロによる譜読みの実例②
それでは、下の楽譜を譜読みしてみましょう。
まず最初の数小節は、同じようなフレーズが繰り返されていることがわかります。
それでは、実際に弾いてみましょう。
そして次の部分は、コードを中心としたフレーズに切り替わるようです。
このコードが何コードなのかは、この時点ではまだわかりません。
しかし、なんとなく「こことここは同じ感じのコードだな」「同じ音が使われているな」などが分かればOKです。
それでは、このコードの部分を続けて弾いてみます。
少し先の小節を見ながら演奏できるとベター
人によっては、楽譜を先読みして「実際に演奏している小節よりも、1小節先を見ている」という人もいます。
そこまでできればもちろん良いのですが、現実的な目標として「1小節先」は難しいかもしれません。
そのため、まずは「ほんの少しだけでも楽譜を先読みしながら演奏する」を目標にしてみましょう。
より具体的に言うと、「今演奏している音と、次に弾く音」ぐらいの短い範囲ではなく、「今演奏している1小節の間」ぐらいの範囲を全体的に考えながら・見ながら演奏できるとよいでしょう。
譜読みを早くする方法「5つのコツ」まとめ
今回は、譜読みを早くする方法を5つのコツに分けてご紹介しました。
2.インターバル(音の間隔)に着目する
3.階層で分ける
4.キー(調)を見分ける
5.まとまりを作る
譜読みは、コツを掴んで練習すれば誰でも早く読めるようになります。
ぜひ今回ご紹介した方法を実践してみてください!
当サイトでは、他にも今回の解説者・Nahre Solが解説する「プロの音楽家にとって必要なスキル・マインド」についてまとめていますので、ぜひこちらも併せてご覧ください↓
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