音楽ジャンル解説

【音楽ジャンル】ヒルビリーブギ(Hillbilly Boogie)とは?

今回は、ヒルビリーブギについてまとめました。

この記事では、ヒルビリーという言葉の意味や音楽的な特徴、著名なアーティストや、このジャンルの生い立ちについて解説しています。

名前が似ている「ヒルビリーミュージック」についてはこちらの記事で解説しています↓

そもそも「ブギウギ」とは?

ブギウギ(Boogie-Woogie)とは、20世紀初期に流行したピアノスタイルの音楽のことです。

もともとは、1870年代に北テキサスのアフリカ系アメリカ人のコミュニティーによって作られたジャンルでした。

Gene Rodgers - Boogie-Woogie (1944)
Boogie Woogie Stomp - Original
Boogie Woogie

1930年代になるころまでには、ブギウギはポップ・ミュージックとして大流行しました。

そして時が経つにつれて、だんだんピアノデュオ、ピアノトリオ、ギター、ビッグバンド、カントリー&ウェスタン、ゴスペルなど、さまざまなスタイルに広がってきました。

「ロックンロールの先駆け」と呼ばれるぐらい、音楽史においては重要なジャンルなのですが、この点がよく見過ごされているのが残念なところです。

「ヒルビリーブギ」はどういう意味?

「ヒルビリー」とは、アメリカ南部にあるアパラチア山脈やオザーク高原付近に住む人たちを指す言葉です。

日本語で言うと「田舎者」「田舎っぺ」のように、少し差別的な意味合いがあります。

アパラチアは、地図で言うとアメリカの右下の山脈付近にあります。

ブギウギは1980年代に北テキサスで始まったものでしたが、1940年代ごろからこのヒルビリーの人たちもブギウギを演奏するようになり、これらを「ヒルビリーブギ」と呼びます。

ちなみに北テキサスとヒルビリー(アパラチア山脈付近)は、これぐらいの距離があります。

ヒルビリーブギの音楽的な特徴は?

ヒルビリーブギの特徴として、以下の5つが挙げられます。

・アップビート(ドンチャ・ドンチャ)
・アップテンポ(速いテンポ)
・スチールギター、アコギ、エレキが使われる
・ジャズのように、リード楽器のためにスペースが空けられている
・パーカッション系は目立たず、重めのベースが前に出る

実際にヒルビリーブギの楽曲を聞くと、これらの特徴がよく見られます。

Boots Faye & Idaho Call - Grinnin Like A Possum (1951)
Hillbilly Boogie
Hillbilly Guitar Boogie

ヒルビリーブギの歴史

音楽制作で重要な4つのTips ~プロダクション編 Part2~

ここからは、ヒルビリーブギの歴史について解説していきます。

ヒルビリーブギの先駆者は誰?

このジャンルの先駆者と言われるのは、Arthur Smithです。

1945年ごろ、Smithによって「Guitar Boogie」が作られます。

レコーディングセッションで時間が残ったその間に、この曲を作ったといいます。

Arthur Smith - Guitar Boogie (1948)

ストレートアヘッド(スタンダードな4ビートのジャズ)のブギウギをギターで演奏するというスタイルが特徴的です。

Straight ahead jazz (Dave Weckl) by orazio delvecchio

これはのちに彼の人生における大ヒットとなります。
(ちなみにSmithは自身のアーティスト名を「Arthur "Guitar Boogie" Smith」にしています)

Merle Travisの活躍

アメリカのケンタッキー出身、Merle Travisも、このジャンルで有名なアーティストの1人です。

彼はソロパフォーマーとしてだけではなく、スタジオミュージシャンとしても活躍していました。

Delmore Brothers - Mobile Boogie - Remastered - Country Music Experience

Travisは、バンジョープレイヤーのGrandpa Jonesと共に、当時同じく人気のあった「Delmore Brothers」の「Mobile Boogie」という曲に参加します。
(Delmore Brothersは、数多くのブギウギの曲をリリースしていました)

Travisピッキング」

Travisが行なっていた「メロディーをピッキングしている間、別の指でベースを弾く」という奏法は「Travisピッキング」と呼ばれ、アメリカのギタープレイに革命を起こします。

The LEGENDARY picking pattern - 'Travis Picking'

1940年代の終わりには、Travisはハリウッドに移り、西海岸で才能のあるアーティストたちが集まっていた大きなレーベルに所属します。

そしてブギウギの流行は最高潮になります。

Tennessee Ernie Ford - Shotgun Boogie

Travisも参加したTennessee Ernrie Forによる楽曲「Shot-Gun Boogie」は、1950年代に終わりにNo.1のヒットを記録します。

ヒルビリーブギで有名なアーティスト

ヒルビリーブギで有名なアーティストを3組ご紹介します。

Arthur Smith

Arthur Smith - Guitar Boogie

Delmore Brothers

HILLBILLY BOOGIE - DELMORE BROTHERS

Merle Travis

Merle's Boogie Woogie - Merle Travis

以上でヒルビリーブギの解説は終了です。

当サイトでは他にもヒルビリーブギに関連するジャンルについてまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓


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