コード進行

【ジャズ音楽理論】アッパーストラクチャートライアドとは?【基礎編 Part1】

今回は、PianoGrooveが解説する「ジャズピアノのためのアッパーストラクチャー」をまとめました。

この記事ではそのうち「基礎編 Part1」として、

そもそもアッパーストラクチャーとは何か?
アッパーストラクチャーはどのようにできているのか?
アッパーストラクチャーを使うメリットは何か?

これらについて、基礎からじっくり解説していきます!

Upper Structure Triads For Jazz Piano

アッパーストラクチャートライアドとは?

アッパーストラクチャートライアド(Upper Structure Triad)とは、一言で言うと「複雑なオルタードドミナントセブンスコード」です。

ジャズにおけるソロピアノ・即興でよく使われるのですが、この説明だけでは少し難しいと思うので、もう少しわかりやすく解説していきます。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

上の画像は、「II - V - I」のコード進行を使ったフレーズです。

基本的には「Gm - C7 - F」というコード進行ですが、2小節目のC7の部分は、アッパーストラクチャートライアドを使っていくつかコードを変えています。

それでは、このフレーズをピアノで弾いてみましょう。

0:29~0:37

Upper Structure Triads For Jazz Piano

2小節目はコードがさまざま変化しますが、最後はしっかり落ち着いて終わっています。

それでは、特に気になる2小節目について、具体的に解説をしていきます。

アッパーストラクチャートライアドのサウンドを感じてみよう

まずはアッパーストラクチャートライアドのサウンドを感じてみるため、先ほどご紹介したC7のアッパーストラクチャートライアド4種類を、一つずつ見ていきます。

シャープ(#)やフラット(b)がいくつもついていて難しく見えるかもしれませんが、まずここでは「こんな響きがする」という感覚を掴めればOKです。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

C7のアッパーストラクチャートライアド1:C13(#11)

まずは、一番最初のC13(#11)です。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

下から順に「C,E,Bb,D,F#,A」というボイシングです。

このC13(#11)からトニックのFに移動すると、このようなコード進行になります。

0:49~1:18

Upper Structure Triads For Jazz Piano

C7のアッパーストラクチャートライアド2:C7(#9,#5)

次は、C7(#9,#5)です。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

下から順に「C,E,Bb,Eb,Ab,C」というというボイシングです。

このC7(#9,#5)からトニックのFに移動すると、このようなコード進行になります。

0:55~1:01

Upper Structure Triads For Jazz Piano

C7のアッパーストラクチャートライアド3:C13(b9)

次は、C13(b9)です。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

下から順に「C,E,Bb,E,Ab,Cb」というというボイシングです。

このC13(b9)からトニックのFに移動すると、このようなコード進行になります。

1:04~1:10

Upper Structure Triads For Jazz Piano

C7のアッパーストラクチャートライアド4:C7(#11,b9)

最後は、C7(#11,b9)です。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

下から順に「C,E,Bb,Db,Gb,Bb」というというボイシングです。

このC7(#11,b9)からトニックのFに移動すると、このようなコード進行になります。

1:14~1:19

Upper Structure Triads For Jazz Piano

アッパーストラクチャートライアドのしくみを見てみよう

次は、アッパーストラクチャートライアドのしくみについて具体的に解説します。

先ほどお聞きいただいたように、アッパーストラクチャートライアドはとてもかっこいい響きがしますが、これは大きく分けて2つのパーツに分けることができます。

アッパーストラクチャー(Upper Structure):高い方のコード(ピアノなら右手で弾くコード)
ローワーストラクチャー(Lower Structure):低い方のコード(ピアノなら左手で弾くコード)

ローワーストラクチャーとは?

「ローワーストラクチャー」は、ピアノで言うと左手で弾くコードです。

基本的には、非常にベーシックなドミナントセブンスコードを弾きます。

例えばFメジャーキーの曲の場合、ドミナントセブンスコードは「C7(C,E,G,Bb)」のため、C7を弾くことが一般的です。

1:42~1:56

Upper Structure Triads For Jazz Piano

このとき、「C,E,G,Bb」の4音を全て弾かなければいけないということではなく、以下のように音を抜いたり、ボイシングを変えて弾くこともできます。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

どの音もすべて「C7」に含まれる音ですが、その組み合わせやボイシングによって、響きは大きく異なります。

それでは実際にピアノで弾いて、響きを確かめてみましょう。

1:42~2:23

Upper Structure Triads For Jazz Piano

アッパーストラクチャーとは?

「アッパーストラクチャー」は、ピアノで言うと右手で弾くコードです。

基本的にはメジャートライアドを弾きますが、楽曲のキーに関係なく、全てのメジャートライアドを使うことが可能です。

Cメジャーコード、Dbメジャーコード、Eメジャーコード、Ebメジャーコードなど、メジャーコードはたくさんありますので、メジャーコードはすべて弾けるようにしておくとよいでしょう。

2:41~2:50

Upper Structure Triads For Jazz Piano

アッパーストラクチャーで弾くコードは、転回形にして弾くこともできます。

2:51~2:54

Upper Structure Triads For Jazz Piano

アッパーストラクチャーではなぜ2パートに分かれる?

これまでの説明を聞いて、「アッパーストラクチャートライアドでは、なぜ2つのパートに分かれるの?」と疑問に思った方も多いでしょう。

この疑問に対する答えは、大きく分けて2つあります。

1.複雑なドミナントセブンスコードを、より覚えやすく、弾きやすくするため
2.同じコードで、さまざまなサウンドを得やすくするため

メリット1:複雑なドミナントセブンスコードを、より覚えやすく、弾きやすくするため

アッパーストラクチャーを2つのパーツに分けるメリットの1つ目は「複雑なドミナントセブンスコードを、より覚えやすく、弾きやすくするため」です。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

例えば、C13(#11)を弾こうと思った時を想像してみてください。

パッとボイシングが浮かばないこともあるかもしれません。

そんなとき、C13(#11)ではなく「D/C7」と考えてみるとどうでしょうか?

「C7の上に、Dを重ねる」というイメージになります。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

特に、上の画像のように右手(上段)と左手(下段)に楽譜が分かれていると、視覚的にもわかりやすいです。

C13(#11)という文字を見てパッと弾けるようになるまでは、このように「上と下」で分けて練習するとよいでしょう。

メリット2:同じコードで、さまざまなサウンドを得やすくするため

アッパーストラクチャーを2つのパーツに分けるメリットの2つ目は「同じコードで、さまざまなサウンドを得やすくするため」です。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

例えば同じ「C13(#11)」というコードでも、上の画像のように弾く音の組み合わせによって、全く異なるサウンドを作ることができます。

右手と左手の「手の形」も異なりますので、こちらにも注目してみてください。

3:51~4:19

Upper Structure Triads For Jazz Piano

基礎編 Part1の解説はここで終了です。

次はいよいよ、アッパーストラクチャーをどのように作っていけばよいのか、「アッパーストラクチャーの公式」を使いながら解説していきます↓

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