【音楽史】ブルーグラス(Bluegrass)とは?【概要編】

【音楽史】ブルーグラス(Bluegrass)とは?【概要編】

 

ブルーグラス(Bluegrass)ってどういう音楽?

どういう特徴や歴史があるの?

 
今回はこのような疑問にお答えする内容です。
 
英語版wikipediaの「ブルーグラス」をかんたんにまとめてみました。
 

今回はPart1として、ブルーグラスのざっくりした説明や、よく使われる楽器・奏法について解説します!
 

Part1:概要編(ブルーグラスのざっくりした説明、使われる楽器、奏法)
Part2:歴史・定義編(ブルーグラスの生い立ち、具体的な言葉の定義、言葉の由来)
 
こちらシリーズを読むとさらに作曲の引き出しが増えますので、ぜひ最後までご覧ください!
 

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ブルーグラスとは?

 
ブルーグラスは、1940年代のアパラチア地域で発展した、アメリカをルーツにした音楽です。
 

 
この名前は「Bill Monroe and the Blue Grass Boys」というバンドが由来で、彼らは「スコティッシュバグパイプ」と「昔ながらのフィドル」が特徴的なバンドでした。
 
(以下「Monroe」)

 
ブルーグラスは伝統的なイングランド・スコットランド・アイルランドのバラッドやダンスの楽曲にルーツを持っており、伝統的なアフリカ系アメリカのブルースやジャズの音楽にもルーツがあります。
 
前述のMonroeと演奏したミュージシャンたちによって、大きく発展しました。
 

ブルーグラスはアコースティックの弦楽器をオフビートで強調して演奏するのが特徴です。
 
オフビートって何?という方はこちら
 
音はある程度予測できるパターンで、ブルーグラスの特徴でもある高いエネルギーを生み出す、拍の後ろに音が来る「レイドバックブルース」とは対照的です。
 
レイドバックブルース↓
 

 

ブレイクダウン(Breakdowns)

 
ブルーグラスでは、ジャズにも見られる、1つまたは複数の楽器が他の楽器が伴奏そしている間にそれぞれ順番にメロディーを演奏したり即興をする手法が見られます。
 
これは「ブレイクダウン(Breakdowns)」と呼ばれます。
 
 
北アメリカのフォークミュージックである「Old-Time-Music」とは対照的で、全てのパートがメロディーを演奏するか、他の楽器が伴奏をしている間にある一つの楽器がリード(メロディー等)を担当するというスタイルです。
 
ブレイクダウンは速いテンポで、巧み希な演奏技術を使いながら演奏し、時には複雑なコード進行で演奏されるのが特徴的です。
 

3種類のブルーグラス

 
ブルーグラスは、大きく分けて3種類に分けられます。
 

トラディショナルブルーグラス(Traditional Bluegrass)

 
フォークソング、伝統的なコード進行を使った楽曲、アコースティック楽器しか使わない、という特徴があります。
 
Bill Monroeが有名です。
 

 

プログレッシブブルーグラス(Progressive Bluegrass)

 
電子楽器を使ったり、他のジャンルの楽曲(特にロックンロール)の楽曲をブルーグラスで演奏するなどのスタイルが特徴的です。
 
Punch Brothers、Cadillac Sky、Bearfootが有名です。
 

 

 

 

ブルーグラスゴスペル(Bluegrass Gospel)

 
キリスト教に関する歌詞を使い、ソウルフルな3~4パートのハーモニーで歌い、楽器を使うこともあるのが特徴です。
 

 

新しいブルーグラス「ネオトラディショナルブルーグラス」

 
新しいブルーグラスの発展型として、「ネオトラディショナルブルーグラス」というサブジャンルもあります。
 
基本的には、1人のリードシンガーを伴う編成です。
 

 

 

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音楽的な特徴

 

楽器編成

 
ブルーグラスでは、フィドル、5弦バンジョー、ギター、マンドリン、ストリングベースが主に使われ、これにリゾネーターギター(ドブロとも呼ばれる)やハーモニカ、口琴が加わります。
 
この楽器編成は田舎のダンスバンドで作られたもので、最も初期のブルーグラスバンドが使っていた編成です。
 

リゾネーターギター(Resonator Guitar)・ドブロ(Dobro)

 
これはアコースティックギターの一種で、エレキギターが出る前、従来のアコースティックギターよりも音量を大きく出すために作られたギターです。
 
ブルーグラスだけでなく、ハワイアンミュージックなどにも使われます。
 
ちなみに「レゾネート(Resonate)」は「鳴り響く」「共鳴する」という意味で、
 

 

 

口琴(Jew’s Harp)

 
口琴は柔軟性のある金属や竹の板・リードをフレームにつけた楽器で、口にくわえ、あごや口を「共鳴器」として使って音を出します。
 
口琴に近い形の楽器が最初に見られたのは紀元前3世紀の中国の絵で描かれていたもので、紀元前1800年に使われていたとされる、中国の要塞で発見された湾曲した骨もこれに当てはまります。
 

 

フィドル

 
フィドルはイタリア人によって16世紀に作られたもので、最初にヨーロッパからアメリカに持ち込まれた楽器の一つです。
 
小さく万能な楽器のため、アメリカでも非常に人気の楽器となりました。
 
フィドルはカントリーやクラシック音楽、オールドタイムミュージックなどでも使われます。
 

 

バンジョー

 
バンジョーはアフリカから来た奴隷たちによってアメリカにもたらされた楽器です。
 
ミンストレルショー(黒人に扮した白人が、黒人の歌や踊りをパフォーマンスをするショー)でバンジョーが使われたところから、白人からも注目を浴びるようになりました。
 
「クローハンマー(Clawhammer)」や2本指で演奏するスタイルは、アメリカ市民戦争前に人気を集めました。
 
しかし現在では、バンジョー奏者のEarl Scruggsなどによって、3本指ピッキングスタイルの方が主流になっています。
 

クローハンマー

 

 
2本指での演奏スタイル
 

 
3本指での演奏スタイル
 

 

ギター

 
ギターは、ブルーグラスにおいて非常に重要な役割があります。
 
ギタリストは主にリズム要員で入り、時折休みを交えながら、他の楽器が休みの間にサウンドを途切らせないよう、常に動きを入れて演奏します。
 
ギターは18世紀の南ヨーロッパで誕生した楽器ですが、アメリカ人が作ったモデルはC.F. Martin Company(マーティン)が1830年代に製造を始めるまで、生産されていませんでした。
 
 
メインストリームにおけるカントリーミュージックとは異なり、ブルーグラスでは伝統的にアコースティックギターを使います。
 
現在はフラットピッキングなどを使って演奏するのが主流ですが、Lester Flattなどの初期のブルーグラスのギタリストは、サムピックやフィンガーピックを使って演奏していました。
 
サムピック
 

 
フラットピッキング
 
親指と人差し指で平らなピックを持ってギターをかき鳴らす奏法。
 

 

サムピック・フィンガーピック
 
親指と人差し指でピックを挟むのではなく、指輪のようにピックを親指やその他の指に付けて演奏する奏法。
 
ピックを付けないで弾く場合もある。
 

 

ピックを使う・使わないことによるメリットとデメリットなど、ギターやバンジョーにおけるピッキング・ピックの種類による違いはこちらで解説しています
 

ベース

 
基本的にピチカートで演奏し、時おりアクセントを加えるためにスラップ奏法で演奏することもあります。
 
ブルーグラスのベースラインは、基本的にはコードにおけるルート音と5thの音をリズミカルに行ったり来たりするようなフレーズで、ウォーキングベースが使われることもあります。
 

編成についての議論

 
伝統的なブルーグラスのパフォーマーたちは、Bill Monroeのバンド「Blue Grass Boys)で使われていた編成を「正しい」という見方をしています。
 
(ギター、マンドリン、フィドル、バンジョー、ベースの編成)
 
しかしドブロやアコーディオン、ハーモニカ、ピアノ、オートハープ、ドラム、エレキギター、他のブルーグラスでよく使われる楽器の電子楽器版を使うこともあり、この場合は「ニューグラス(New Grass)」と呼ばれています。
 
オートハープ(Auto Harp)
 

 

ボーカル

 
ブルーグラスでもとりわけ特徴的なのが、2~4パートで構成されるボーカルのハーモニーです。
 
多くは最高音を取り入れた不協和音やモーダルサウンドで歌われ、「高く、寂しいサウンド」と呼ばれています。
 

スタック(Stack)

 
ボーカルハーモニーを並べたりレイヤーすることを「スタック(Stack)」と呼びます。
 
スタンダードなスタックは、バリトンを一番下に置き、リードを真ん中(メインメロディー)に、テナーをトップに置くスタイルです。
 
 
このスタックは、特に女声が入る場合は少し変わってきます。
 
Alison Krauss and Union Stationは良い例で、バリトンとテナーを高いリード要員として使い、オクターブで女声で歌われるスタンダードのメロディーラインを歌います。
 
しかし、スタンダードなトリオボーカルのアレンジを採用することで、昔から存在するパターンに沿って演奏することができます。
 

ハイバリトン

 
The Stanley Brothersは、ハイバリトン使った作品を1950~1953年の間にリリースしています。
 

 
マンドリンプレイヤーのPee Wee Lambertは、Ralph Stanleyのテナーの上でハイバリトンで歌い、これらは両方ともCarter Stanleyのリードボーカルよりも高い音程で歌っています。
 
このトリオのボーカルアレンジは、他のグループにも使われています。
 
1960年代になると、Flatt and Scruggsがゴスペル楽曲の伝統的なカルテットのパートに5thの音を入れ、追加要素としてハイバリトンを入れるスタイルを採用します。
 

Osborne Brothers

 
下にテナーとバリトンを入れて高いリードを入れるスタイルは、1950年代後半にMGM Recordsで活動していたOsborne Brothersが採用していました。
 
このボーカルアレンジは、メンバーのBobbyの高くクリアな声をボーカルスタックのトップに置く「Osborneサウンド」の特徴となります。
 

 

歌詞のテーマ

 
ブルーグラスの楽曲では、その音楽を作った人の日常生活の物語を語るスタイルがよく使われます。
 
失恋や対人関係の緊張、地域で起こった望ましくない変化などの他に、アパラチアやその他財源のある農村地域で住むことの難しさなども歌詞に描かれます。
 


 
 
ちなみに、今回ご紹介した音楽的な特徴をしっかりマスターしたいという方には、このような教則本に書いてある楽譜を見ながら、実際に演奏したりDTMで打ち込んでみることをおすすめします↓
 


 

つづき:ブルーグラスの生い立ち、具体的な言葉の定義や由来↓
 

【音楽史】ブルーグラス(Bluegrass)とは?【歴史・定義編】