プロになる方法・音大進学

世界一の音楽大学に行って大変だったこととは?【体験談】

Is Berklee College of Music Worth It? 11 years later...

今回は、Ravi Lambが解説する「バークリー音楽大学は行くべきか?卒業から11年後…」をまとめました。

2012年にバークリー音楽大学(ギター専攻)を卒業したRaviが、自身の経験をもとに「音大生活で大変だったこと」「音大で学んだこと」を語ります。

バークリー音大に入学したときはどんなスキルがあった?

僕(Ravi)がバークリー音大に入学したときは、まだしっかりとした音楽教育も受けておらず、音楽理論もわからず、ジャズバンドに参加したことがある程度でした。

プロのミュージシャンになるには音大に行くことが大きな一歩になると思っていたので、親元を離れて音大に進学したことは、僕にとってはとても大きなことでした。

バークリー音大に入学して嫌だったことは?

僕はバークリー音大での生活を楽しんだ一方で、とても嫌だったなと思うこともあります。

僕と違って、既に小さい頃からしっかりとした音楽教育を受けている人たちがたくさんいましたが、その中でもエゴが強すぎる人たちがたくさんいました。

残念ながら、学生だけでなく教授たちにもそのような人がたくさんいました。

僕のようにあまり音楽教育を受けてこなかった人にも熱心に教えるような我慢強さがなく、「そんな学生には付き合ってられない」という姿勢の教授もいました。

正直、最初の頃は教授たちのそのような態度がキツかったのですが、自分でこの状況をなんとか克服しようと努力し、音楽に熱意も持ち続けました。

そしてもちろん、今も音楽に熱意を持っています。

世界の一流大学に入学する大変さとは?

バークリー音大はボストンにありますが、家賃が高いため大学の近くに住むのは困難でした。

そのため、僕は大学から遠い場所に住むことにしました。

加えて僕はバイトもしなければいけなかったので、キャンパスで過ごす時間は少なく、友達もかなり少なかったです。

音大に行けばたくさんのすごい才能を持った人たちと会えて、友達になれて、毎日一緒に練習して、一緒に高め合える…と思っている人もいるかもしれませんが、現実としてこのような問題があります。

※補足
バークリー音大はアメリカのボストンにありますが、ボストンはアメリカ国内でも有数の「家賃が高い地域」として知られています。
ボストンにはハーバード大学やマサチューセッツ工科大学、有名な研究機関などがあり、世界有数の学術都市です。
人がたくさん集まる場所でアパート等の空室率が低いため、部屋を借りるのも一苦労の地域です。
家賃で言えば、東京23区の2~3倍以上は必要だと言われています。

バークリー音大に行ってどんなスキルや知識が身についた?

正直、バークリー音大に入学したときと卒業したときで大きな差はないと感じています。

今YouTube動画や本で学べるようなことが身についている…ぐらいのレベルで、人生が変わるような知識やスキルが身についたわけではありませんでした。

強いて言うなら独学の力がついたので、必要なスキルを自分で身につける力は身についたと思います。

大学在学中は、自分のウェブサイトを開設したり、ギターの個人教室を開いたりしたので、そこからプロとしてのキャリアをスタートさせました。

バークリー音大に行ってよかったことは?

先ほど「大学では友達があまりできなかった」とお話した通り、音大でいいネットワーク(人脈)が作れたわけではありませんでした。

しかし、やはり「バークリー音大」というネームバリューが僕にたくさんのチャンスを与えてくれたのは間違いありません。

例えば卒業して数年後にあるボランティアに参加したとき、バークリー音大卒であることを伝えたところ、芸術系の大学(Oakland School for the Arts)に掛け合ってくれた人がいて、新しいネットワークを築くことができました。

他にも大学のネームバリューのおかげで、実際の仕事につながるようなさまざまな出会いもありました。

もちろん、音大を毛嫌いする人もいるので「バークリーなんてどうせクソだろ」のように考える人もいます。

しかし、実際にはこの学歴のおかげで助けられているところもあります。

「音大卒」の学歴は自信につながる?

同じスキルを持っていても「音大卒という学歴がある自分」と「何の学歴もない自分」では、やはり前者の方が自信を持ちやすいかもしれません。

たとえ自分のスキルに自信がなくても「それでも、僕はしっかり音大を卒業した人間なんだからきっと大丈夫」と自信を持てることもあります。

そして実際に、その学歴のおかげで人からも期待を持たれ、信頼され、掴めるチャンスもあります。

バークリー音大卒という事実が自信につながることは確かにあると思います。

プロになりたいなら音大に行くべきか?

バークリー音大は行く価値があったかと聞かれると...回答は少し難しいです。

大学を卒業して11年経過した今、もう35歳になりますが、お金持ちになった友達がいる一方で、僕はすごいお金持ちになっているわけではありません。

しかし、この音大での生活は間違いなく僕の人生の一部であり、経験になっています。

一つ言うとすれば、大学自体には価値があると思いますが、学費のことを考えるとそうとは言えません。

特に今は、僕が在学していた10年前とは比べ物にならないほど学費が上がっています。
(2025年現在、4年間通うと日本円で3000万円程度の学費)

経済的に安心できないことを考えると、バークリー音大のように学費も生活費も高くて奨学金返済に悩まされるような大学ではなく、物価が安い地域で音楽を学ぶことも選択肢の1つとして考えてもいいと思います。

※ちなみにこの動画のコメント欄には「自分はローンの上限額に達してしまい学費が払えず、泣く泣く中退した」というコメントがありました。「バークリー音大に行っていた」ということで音楽の先生として雇ってもらえたそうですが、大学を卒業できなかったこと=学位を取得できなかったことを後悔しているそうです。


以上で「世界一の音楽大学に行って大変だったこととは?」は終了です。

当サイトでは他のバークリー音大やジュリアード音楽院出身者の経験談をまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓


人気記事

1

今回は、DTMでおすすめの民族楽器系音源・プラグインをまとめました。通常のポップスやオーケストラではあまり使われない楽器や、非常にニッチな国・地域特有の楽器が使える製品もまとめています。インド・中国・北欧・ケルト系・アラブ・ガムラン系など幅広くご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。

ディザリングとは? 2

今回はDTMにおける「ディザリング」についてまとめました。ディザリングは、DTMでは特にマスタリングをするときに重要な工程です。この記事では、ディザリングとは何なのか、そしてマスタリングをするときに気をつけるべきことについてご紹介していきます。

3

今回は、DTMプラグインの中で最も有名な製品の1つであるSpectrasonics社「Omnisphere 3」の新機能と使い方をまとめました。2025年10月に発表された今作ですが、前作の「Omnisphere 2」と何が変わったのか、新機能とその使い方を解説していきます。

4

今回は「カリッとしたボーカルにするためのMIXテクニック」をまとめました。全部で9個あり、組み合わせて使うことで非常に魅力的な音にすることもできます。初心者の方から上級者の方までお試しいただける内容ですので、ぜひご覧ください。

5

今回は、Chris Selimが解説する「マスタリング前に行うミックスの準備方法」をまとめました。マスタリングは楽曲を配信・リリースするための最終段階で、ミックスの後に行われる作業です。 ご自身でミックスとマスタリングを両方行う方も、マスタリングだけ他の人に頼む方も、ミックスの段階でやっておくべきことがわかりますのでぜひ参考にしてください。

6

今回はWaves社のリミッター「Lシリーズ」の違いをまとめました。Waves社はDTMerなら誰もが知っているメーカーですが、同社の人気リミッターのうち、頭に「L」がついた「L1」「L2」「L3」「L4」のリミッターはそれぞれどのような特徴があり、どのように使い分ければよいのでしょうか?

7

今回は「VUメーターの使い方とゲインステージングのやり方」をまとめました。 ミキシングやマスタリングでは「VUメーター」を使うことがありますが、そもそもVUメーターとは何か、なぜVUメーターを使うことが大切なのか、VUメーターの効果的な使い方について解説していきます。

8

今回は「音楽・オーディオにおける真空管(Vacuum Tubes)とは何か?」をまとめました。音楽やオーディオ関連の機材について調べていると「これは真空管だから音がいい」など、「真空管=何だかいいモノ」のような会話を耳にすることもあるでしょう。そこで今回は真空管(チューブ)とは何か、なぜ真空管らしい温かみのある音が出るのかを解説します。

9

今回は、How To Write Songsが解説する「ヒット曲を作るソングライターがやっている7つの習慣」をまとめました。テイラー・スウィフト、エド・シーラン、レディーガガ、ジョン・メイヤー、スティング、ビートルズが実践する習慣もありますので、音楽のプロを目指す方はぜひ参考にしてください。

10

今回は、Waves社のリミッタープラグイン「L4 Ultramaximizer」の新機能と基本的な使い方をまとめました。最新作「L4 Ultramaximizer」は、これまでLシリーズを使ってきた方にもそうでない方にも非常におすすめできるプラグインですので、ぜひチェックしてみてください。

-プロになる方法・音大進学