Ed Sheeranのメロディーの作り方・作曲方法を解説します
- 2019.12.07
- 作曲・編曲

今回はこのような疑問にお答えする内容です。
作曲家・コーチのFriedemann Findeisen氏が解説する「Ed Sheeranの曲の作り方」をかんたんにまとめました。
Ed Sheeranといえば、”Shepe of You”が世界中で大ヒット。
YouTubeの再生回数は、驚異の「45億回」です(2019年現在)。
ポイントは意外とシンプルで、ざっくり分けるとたったの5つ。
しかしこの奥に、「アーティストとして成功するための大切なポイント」が隠されているのです。
今回はこちらもじっくり解説していきます。
アーティスト・作曲家志望の方は、ぜひ最後までご覧ください。
※文中の「僕」は、Friedemann本人を指します。
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Ed Sheeranのメロディーの特徴
ざっくりまとめると、Ed Sheeranのメロディーには、これら5つの特徴があります。
対照的な2つの要素
ルート音の多用
メジャー3rdの多用
1オクターブ上のハモリ
音楽的・技術的にはこの2つがポイントなのですが、実はもっと大切なこと「アーティストのイメージ」があります。
ここから先は、これら3つのポイントの具体的な解説と、「アーティストのイメージ」についての解説をしていきます。
リズミカルなメロディー
Ed Sheeranのメロディーは非常にリズミカルでグルーヴィーです。
この理由は、彼はラップから大きな影響を受けているからです。
ほとんどのシンガーソングライターはレガート系のメロディーを好んでいますので、Ed Sheeranのメロディースタイルは、フォーク音楽には珍しいといえます。
対照的な2つの要素
Ed Sheeranは「1本のギター+ペースの速いメロディー」という、「対照的なスタイル」を兼ね備えています。
このコントラストが、彼を魅力的に見せる理由の1つでしょう。
また、これには彼の「若い」「フレッシュ」「エネルギッシュ」というパーソナリティにも合っています。
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アーティストの「特徴」
次は技術的なお話です。
まずみなさんに気づいていただきたいのが、「多くのアーテイストが使っている技術は、意図的に使われているわけではない」ということです。
なんらかの理由や方法から、自分のパーソナリティに合ったものを自然に選んでいるのです。
アーティストは、ある特定のポイントでいつも同じ音を使ったり、別の場所でお気に入りの音を使ったりしています。
素晴らしいアーティストは、そういった一瞬で「あの人だ」と認知されるような作曲スタイル、あるいは声などの「特徴」でお金を得ています。
アーティストの「イメージ」
アーティストの「イメージ」とは、「そのアーティストを思い浮かべたとき、どんなことを考えるか?」ということを指します。
たとえばEd Sheeranについて考えたとき、「プライベートではパブにいる」という感じがします。
ではRihanna(リアーナ)はどうでしょう?「ビーチにいる」とか、そんな感じがします。
日本人アーティストなら「米津玄師はあまり外に出ず、暗い部屋でもくもくと曲を作っていそう」とか、「EXILEはイカつい服を常に着ていそう」とか、なんとなくそういったイメージがあります。
どうでしょうか?共感できた部分があるのではないでしょうか?
これは、アーティストが表向きに見せるイメージがはっきりとしているからです。
たとえば音楽の方向性、ステージで着る衣装、MV、インタビューでの話し方、ファンとの交流の仕方などですね。
マーケティング(アーティストをどう売り込むか)では、こういったことを徹底しているのです。
アーティストのメロディー比較
次はいよいよ、メロディーを分析してみます。
わかりやすいように、この3人のアーティストのメロディーを比較してみます。
The Weeknd
Ed Sheeran
Talor Swiftは、スタイリッシュ・モダン・あたたかいメロディーが特徴です。
ルート音をよく使っています。
The Weekndは、クール・ミステリアス・ダークなメロディーが特徴。
4thや5thの音をよく使っています。
では、Ed Sheeranは、どうでしょう?
僕には、魅力的・分別がある・チャーミング・ロマンティック・あたたかい・ノスタルジック・おもしろいイメージがあります。
Ed Sheeranのメロディーの作り方
それではこれらのイメージを、実際に使われているメロディー作曲法と紐づけてみましょう。
魅力的・分別がある・あたたかい:ルート音
チャーミング・ロマンティック・おもしろい:メジャー3rd
つまり、Ed Sheeranはルート音とメジャー3rdの音をよく使っているということです。
例を見てみましょう。
(動画では、4:16から実際の曲と、かんたんな楽譜が同時に見れます)
The Weekndの回でもお話しましたが、白人のアーティストやシンガーソングライターは、メジャースケールをフルで使う傾向にあります。
ペンタトニックスケール(5音階)よりもあたたかく、かわいらしいイメージになるからですね。
Ed Sheeranも、メジャースケールで曲を書いていることが多いです。
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「信頼感」のあるサウンドにするために
音楽における「信頼性」の大敵は、「安っぽい」「陳腐」「バカっぽい」の3つです。
これらを招く作曲でやりがちなことは、「メインメロディーの下で3度上or下でハモること」です。
僕自身も使うし、世界中のアーティストも使うテクニックで、確かにきれいに聞こえます。
しかし、これは大きな犠牲を伴います。
とりわけ真っ直ぐ・誠実な音楽には聞こえないのです。
Ed Sheeranのハモり方
では、Ed Sheeranはハモりをどうしているのでしょうか?
実は、彼はインパクトを与えるために、メインメロディーのオクターブ上のハモりを入れているのです。
代表曲「Shape of You」の場合、たとえば0:45からオクターブ上のハモりが入っているのがわかります。
これによりメロディーが突き進み、曲の頂点を作り出すことができるのです。
ここで、あることにお気付きの方がいるかもしれません。
※0:47~
この曲に関して、ここであるヒミツをお教えしましょう….
Justin Bieberは、この曲を書いていません。
では、誰がこの曲を書いたのでしょうか?
実はこの曲…Ed Sheeranが書いているんです!
これを聞くと、1オクターブ上のハモりが使われているのも納得できますね。
「イメージの確認」は重要な作業
もしあなたがパフォーマー系のアーティスト(ステージに立つ人など)なら、常に「自分のイメージ」を確認する必要があります。
「イメージ」がないなら、そこに「アーティスト」はいません。「シンガー」しかいないのです。
そのため、まずはアーティストと話しましょう。
彼らがどんなことを気にしているのか、音楽的にも個人的について話すのです。
彼らの頭の中ではどんな思いや考えがよぎっているのか、どんなものを見ているのか、音に対してどんな振る舞いをするのか…
これについて理解しましょう。
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どんなサウンドにしたいのか?
何かプロジェクトに参加したとして、そのときたくさん曲を書かなければならないこともあると思います。
それは、あなたがクリエイティブな自由を持っているということです。
しかし、「自分はどんなサウンドを作りたいのか?」を考え、それに集中することが大切です。
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