【DTM】ヘッドルーム(Headroom)って何?【ミックス・マスタリング】
- 2020.02.06
- 2020.02.11
- ミキシング・マスタリング
このような疑問にお答えする内容です。
特にミキシングやマスタリング段階において重要な用語ですので、ぜひ覚えておきましょう。
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ヘッドルーム(Headroom)とは
画像:「SET THE PROPER “HEADROOM” BEFORE MASTERING」より
ざっくり言うと、「0dBの音量〜音割れしない部分までの間の範囲」のことです。
つまり、基本はヘッドルームの範囲内に音量レベルを収める必要があり、ヘッドルームが全くなくなってしまう=音割れする危険性大、ということになります。
ヘッドルームがあると、何がいいの?
後述の詳しい解説より、「ヘッドルームを設ける意味」についての記述を抜粋します。
そしてよりナチュラルな、いいサウンドが作れるようになります。
さてここからは、ヘッドルームに関するより詳しい内容を解説していきます。
2つの「リミット」
アナログ・デジタルのオーディオ処理において、ここには2つの「リミット」が存在します。
「最小音量」のリミット
1つは「最小音量」のリミット。
本来は無音のはずなのに、機材や環境が出すノイズなどで無音にならないことがあります。
このノイズを「ノイズフロア」といいます。
一定音量でコンスタントに流れ続けるこのノイズは、通常はこれらの音が聞こえなくなるまで信号レベルを下げることができます。
「最大音量」のリミット
2つ目は「最大音量」のリミット。
音量が大きすぎると、クリッピングして音が割れたり歪んだりします。
無音(ノイズ)以上、クリッピング未満
基本的には、これら2つのリミットの間に音量レベルをそろえる必要があります。
つまり、ノイズフロアとして扱われる音量以上・クリッピングする音量未満になるようにしなければいけません。
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アナログとVUメーター
画像:wikipedia「VU Meter」より(https://en.wikipedia.org/wiki/VU_meter)
アナログの場合は、名目上OKとされる音量レベルを定め、適切な方法でメーターをスケーリングすることでその音量になるようにしています。
たとえば、VUメーターは0VUが+4dBUと同じになるようにスケールされます。
プロ仕様のアナログ機材の場合は+24dBUがクリッピングするレベルになるため、VUメーターに表示される音量レベルよりもおよそ20dB以上高くなることになります。
20dB分のダイナミクスレンジ(ざっくり言う「音量」)の余白がある…
このスペースを「ヘッドルーム」と呼びます。
ヘッドルームマージンと言うこともあります。
ヘッドルームの意味
ヘッドルームがあれば、クリッピングするリスクなしに、予期せぬトランジェントや大きな音をおさめることができます。
ちなみに、アナログ機器のメーターはヘッドルーマージンを表示しないので気をつけて下さい。
むしろ、そこには見過ごしたり当たり前だと思いやすい「見えない安全地帯」があります。
多くのデジタル機器では、メーターはすべてのヘッドルームマージンを表示するようになっています。
これは、メーターがクリッピングポイントである0dBFSから下にスケールしているからです。
デジタルスケールにおける上位20dB部分は、アナログシステムでは基本的に見ることができなかったヘッドルームマージンです。
その結果、実際には音量が大きすぎるままレコーディングされていたりトランジェントが歪むリスクが高いにも関わらず、ユーザーは信号がスケール全体でピークに達しないときは「過度にレコーディングされていない」と感じてしまうようになりました。
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機材の電圧とヘッドルーム
インターフェースなどが外部電源で動く場合にヘッドルームが大きく取られているのは、PSU(電源ユニット)がUSBバスパワーで稼働するときよりもより高い電圧を供給するからです。
「より高い電圧を供給する」というのは、「大きな電圧信号がおさめられる」ということになります。
この場合、2倍の大きさ、つまり6dB以上のヘッドルームマージンになります。
より多くのヘッドルームを持つということは、クリッピングして歪んでしまったり、トランジェントがピークに達してしまうなどの心配をあまりせずに済むのです。
そしてよりナチュラルな、いいサウンドが作れるようになります。
どれぐらいのヘッドルームマージンが必要?
マスタリングのとき(ミキシング終わり)でどれぐらいのヘッドルームマージンが必要なのかは、こちらの記事で解説しています。
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