【DTM】アナログ-デジタル変換回路「ADC」って何?【A/Dコンバーター】

【DTM】アナログ-デジタル変換回路「ADC」って何?【A/Dコンバーター】
オーディオ関連の機材に「ADコンバータ」とか「DAコンバータ」とかついてるけど、そもそもこの「AD」「DA」とか「ADC」って何?

 
今回はこのような疑問にお答えします。
 

Analog-to-digital conversion (ADC): What it is and how it works


 

数々のプラグインを販売するSpliceが解説「アナログ to デジタルコンバージョン(ADC)」をかんたんにまとめてみました。

 
例えば以下のようなオーディオインターフェースの説明欄を見ると、「ハイパフォーマンス AD/DA コンバーター」など、「AD/DAコンバーター」という文字が見受けられます。
 


 
これは一体どんなはたらきをするものなのでしょうか?
 
早速解説していきます!
 

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サウンドづくりには欠かせないもの

 
アナログ-デジタル変換回路(AD/DAコンバータ、以下ADC)は、音楽を作る上では欠かせない存在です。
 
みなさんお手持ちのスマートフォンやノートパソコンに向かって話すと、物理的な音波が計測され、コンピュータが理解したりコンピューター上で編集できるよう、「バイナリデータ」に変換されます。
 
では、現代においてADCがどんなはたらきをするのか、見ていきましょう!
 

ADCのはじまり

 
「ADC」の概念は、電話やコンピュータの技術の発展とともに20世紀に現れました。
 
以降、人々はアナログや機械の技術ではなく、デジタル信号によるデータの保存や送受信に頼り始めていきます。
 
これが「情報時代」のはじまりですね。
 

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「アナログ」と「デジタル」の違いとは?

 
では、アナログとデジタルの違いは一体なんでしょうか?
 
「アナログ信号」とは、人間の声やバイオリン、ターンテーブル上で回るレコードのように「連続的なもの」。
 
これらの「信号」は、あるものが物理的に振動したり、電気回路によって作り出される信号です。
 
一方「デジタル信号」は独立的で「個別」なもので、ある特定の瞬間に表せるデータの値がとても限られています。
 

それぞれのメリット・デメリットは?

 
「連続的な」アナログ信号はとても「正確」といえますが、時間の経過とともに劣化してしまうことは避けられません。
 
実際に、レコードや蓄音機などは傷がついてしまえば音のクオリティも損なわれます。
 
対してデジタル信号は、アナログほどの正確性はありませんが、一度レコーディングすればクオリティが劣化することはありません。
 

デジタルテクノロジーの発展による最も大きな影響の一つは、ビニールレコードやカセットテープなどのアナログ再生形式から、CDなどレーザーを使用してデジタル信号を読み取る形式、そして最終的にmp3などのファイルへ移行したことでしょう。

 

ADCのはたらき

 
アナログの音波からデジタルオーディオデータに変換するときに最初に行うのは、「トランスデューサー(Transducer)」と呼ばれるアナログデバイスの一種です。
 
マイクにはこのトランスデューサーがついており、「ダイアフラム」と呼ばれるマイクのパーツを通して、あるエネルギーへと変換します。
 
このダイアフラムは、マイクに入ってきた音波の反応として、ダイアフラム自体が振動します。
 
マイクについているダイアフラムのはたらきについては、こちらの記事で解説しています
 
 
これにより、マイクの中で交流電流が発生します。
 
このAC電圧がそれ自身のアナログ信号になりますが、ここでADCを通過させることもできます。
 

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サンプリング

 
さて、ここからが面白くなってくるところです。
 
ADCは、時間と振幅(音量)の両方で連続的なアナログ信号を受け取り、それを特定のポイントにおいて最も正確に表せる一連の数値に変換します。
 
つまり、その瞬間ごとに「その時のアナログ信号のスナップショット」を撮り、それをとても細かい区切りで行い続けているわけですね。
 
 
これは「サンプリング」と呼ばれ、「どれぐらいの量のスナップショットを撮るか?」を決める値が「サンプルレート」です。
 
例えばサンプルレートが44.1kHzなら、入力信号(マイクに入ってきた音の信号)は毎秒44,000回サンプリングされていることになります。
 
1秒を44,000個に区切り、その毎回でスナップショットを撮っているわけですね。
 

正確ではない

 
各スナップショットがサンプルレートを元に撮られているように、振幅も「クオンタイゼーション」のプロセス内で交流電流が流れることによって測定され、保存されます。
 
DTMをしている方なら、ちょっとズレた音のタイミングを「クオンタイズ」することもあるでしょう。
 
クオンタイゼーションというのはこの場合のクオンタイズと同じで、ある目安に対して微妙にズレた値を、その目安にピッタリ合わせることを指します。
 
下の画像のように、元の音(Original signal)はとてもなめらかになっていますが、デジタル信号に変換された一番下の画像では、なめらかさは失われ、いわゆる「四捨五入」されてしまっています。
 

画像:元記事より

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クオンタイゼーションのエラー

 
デジタルなデータは連続的ではないので、この測定は正確ではありません。
 
 
ビット解像度(ビットデプス、ビット深度)は、デジタルの世界において、この振幅の値を表すもの。
 
ビット解像度が高いと、それだけクオンタイゼーションのエラーが少なくなります。
 
クオンタイゼーションのエラーというのは、アナログの振幅と、デジタルに変換された信号・音が一致しないことを指します。
 
8-bit解像度でレコーディングすると、本来の音よりも非常にうるさくなりますが、これもクオンタイゼーションエラーの一つです。
 
このようにして、サンプルレートとビット解像度はデジタル信号へ変換する際の正確さや全体のクオリティを決めているのです。
 

劣化とデジタル

 
こうしてサンプルされた振幅データは、バイナリーデータのまとまりにエンコードされ、アナログからデジタルへの変換は完了です!
 
デジタルへ変換すれば、コピーもできますし、クオリティを損なわずに何回でも送受信できます。
 
 
こういったデータは「圧縮」されておらず、wavファイルやaiffファイルの形式で扱われます。
 
これらは、クオリティを重視するオーディオ処理や音楽制作の場にぴったりのフォーマットです。
 

さまざまなデバイスに搭載

 
ADCは現代では多くのシーンで見ることができ、ノートパソコンやスマートフォンなど、みなさんの声を使うようなデバイスには備わっている機能です。
 
スタンドアローンのオーディオインターフェース機能にはハイクオリティのADCが付いており、複数のインプットも付いています。
 
そのため、プロフェッショナルな音楽制作の現場では大いに役立つ製品になります。
 
 
今はインターフェースのように持ち運びしやすい機材にも搭載されているため、現代における「音楽スタジオ」の概念を変えることにも役立っています。
 
アナログからデジタルにシフトすることは、ほとんど制限なくライブレコーディングができるようになることにも繋がっているのです。
 


 
以上で解説は終了です!
 
今回出てきたオーディオインターフェースに関しては、下記の記事でも詳しく比較・解説しています。
 
こちらも合わせて読むと、「いいオーディオインターフェース」を選べるようになったり、シーンに合わせた機材のチョイスができるようになります。
 

ぜひご覧ください↓
 

【DTM】プロ仕様vs最安のオーディオインターフェースを比較してみた