学費が高い音楽大学に行っても意味がない5つの理由

学費が高い音楽大学に行っても意味がない5つの理由

今回は、Nathan James Larsenが解説する「音楽の学位は基本的に意味がない」をまとめました。

ネブラスカ大学の音楽学部(作曲&音楽理論)を卒業し、現在はプロの音楽プロデューサーとして活動しているNathanが「音大に行く意味がないと思う理由」を5つ解説します。

Music Degrees Are Basically USELESS

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はじめに

音大を卒業して得られる「音楽の学位」は、音楽業界で働く上では基本的に意味がありません。

役に立つことはあるのですが、費やした時間やお金を考えると役に立たない方が多いと思っています。

ここからは、音楽の学位が役に立つとそうでないときの実例や、なぜ僕がこのように考えるのか、その理由を5つお伝えします。

音大に行く意味がない理由1.学位が必要な職業は限られているから

音大に行く意味がない理由1つ目は「学位が必要な職業は限られているから」です。

音楽の学位を必要とする職業と言えば「学校の音楽の先生」が挙げられます。

このうち、まず学校には「国立・公立学校」と「私立学校」の2種類に分けられ、さらに「声楽」「オーケストラ」「バンド」の3種類の専攻・科目に分けられます。
※Nathanの出身のアメリカの場合

これらのタイプの学校や科目では、基本的に音楽の学位(音楽関係の大卒資格)が求められます。

僕(Nathan)は教員免許を持っているわけでもなく、教員として必要な能力を持っているわけでもなく、音楽の学位を持っているだけなので、このような学校で先生になることはできません。

そのため、僕はオンラインでレッスンをしています。

音楽系の学科でも専攻によってレベルが異なる

音楽の先生になることを考えると、「音楽教育系の学科」の方が有利であると言えます。

一方で、音楽教育系の学科にいる学生でもトップミュージシャンになれるレベルの素晴らしい才能を持った人もいます。

どの学部にいたからと言って「この職業にしかなれない」ということはありません。

実際に僕がいた学校で音楽教育学科にいた学生は、ミュージシャンとしても素晴らしい才能を持っていた人でした。

補足:日本で音楽の先生になるには?

日本の公立学校では、大学や短大で教員免許状を取得し、公立学校の採用試験を通過する必要があります。
※高校教諭の教員免許状は4年生大学を卒業する必要があり、短大では取得できません。

私立学校では公立学校の教員採用試験を受ける必要はありませんが、その学校の試験を通過しなければならず、おおよそ同等の能力が求められます。

教員採用試験における専門教養(音楽に関する内容)では、ソルフェージュ、声楽、器楽、音楽理論など、実技も含めた内容が問われます。

個人で教室を開く場合は、学位や免許などは特に必要ありません。

また、大手音楽教室における講師の募集要項は以下のようになっています。
※2025年2月時点での情報です

ヤマハ音楽教室
YAMAHA MUSIC SCHOOL 講師として指導ができ、ピアノまたはエレクトーン演奏グレード5級および指導グレード5級以上相当の音楽力を有する方(新卒・既卒、性別は問いません)
※ヤマハグレードを取得されていなくても応募いただけます。
・新卒の方:2025 年 3 月 高校・ 大学・短期大学・大学院を卒業見込みの方
・既卒の方:生年月日が 2005 年 4 月 30 日以前で高校卒業以上の方
(2025 年 4 月時点で大学・短期大学に在学中の方は応募不可、大学院に在学中の方は応募可能です)
カワイ音楽教室
1.音楽大学・同短期大学、または大学・短期大学で音楽系の専攻を卒業見込および卒業の方
2.保育・幼児教育・初等教育系の大学・短期大学を卒業見込および卒業の方
3.上記「1」「2」に該当されない方で、上記と同程度の実力を有している方
(カワイ音楽教育システムによるレッスンができる能力を有する方)

いずれも、音楽系の学部・専攻を卒業するか、それ相当のレベルが必要となります。

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音大に行く意味がない理由2.超ハイレベルなクラシック音楽でしか通用しないから

音大に行く意味がない理由2つ目は「超ハイレベルなクラシック音楽でしか通用しないから」です。

「プロのミュージシャンになる」と聞いて思い浮かべるのは「オーケストラの団員になること」「バンドで有名になること」「レベルの高いアンサンブルの一員として音楽業界で活躍すること(スタジオミュージシャンなど)」などが挙げられます。

これらの現場で活躍している人の中には、音大を卒業していない人がたくさんいます。

それどころか、音大に入学する年齢(19歳)でブロードウェイのオーディションに合格してプロになる人もいます。

またポップスやダンスミュージック、ヒップホップなどのメインストリームの音楽に関しては、音大ではあまり学べないジャンルでもあり、音大の学位も必要としていないジャンルです。

一方で「クラシック音楽のオーケストラ」と聞いて思い浮かべるようなハイレベルの団体に関しては、音楽の学位や博士を持っている人の方が多いです。

20世紀のクラシック音楽を極めたい人にとっては音大はとてもいい場所かもしれませんが、そうでない人にとっては自分が極めたいジャンルのスキルアップは見込めませんし、就職に有利になることも少ないです。

音大に行く意味がない理由3.音楽業界では誰も学歴を気にしないから

音大に行く意味がない理由3つ目は「音楽業界では誰も学歴を気にしないから」です。

僕はプロのプロデューサーとして音楽業界で何年も働いていますが、音大を卒業したかどうかを気にされたことは一度もありません。

この業界で気にするのは、みなさんが持っている学歴ではなくスキルです。

「あなたは何が持ち味なのですか?」と聞かれて「学歴です」としか答えられないようでは、誰もあなたを雇ってくれないでしょう。

僕はこれまで音大を卒業した人ともそうでない人とも仕事をしてきましたが、皮肉なことに、僕が素晴らしいと感じた人はみんな音大を卒業していない人でした。

この業界にいる人は、バークリー卒なのかジュリアード卒なのかなんて気にしないのです。
※バークリー音楽大学とジュリアード音楽院は、世界でも有名な音楽大学です。この2大学の卒業生・現役生の体験談は記事の最後にまとめてご紹介します。

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音大に行く意味がない理由4.実用的なビジネススキルを学べないから

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音大に行く意味がない理由4つ目は「実用的なビジネススキルを学べないから」です。

多くの音大では、「音楽でどうお金を稼ぐか」という実用的なビジネススキルではなく「音楽理論」「音楽史」「楽器演奏」にばかりフォーカスしがちです。

4年間という貴重で大きな時間と多額の学費を費やしているのにも関わらず、現実的に音楽で稼ぐ方法は学べないのです。

例えば音楽の歴史を学ぶときに出てくる「グレゴリオ聖歌」を学んでも、音楽プロデューサーやソングライターとしてのスキルが上がるわけではありませんし、このようなYouTubeチャンネルを成長させていくこともできません。

とても複雑な音楽理論も、僕がやっている音楽ジャンルでは全然使いません。

しかし、音大ではこのようなことも学ばなくてはいけません。

多くの音大では学位のために理論的なことを学びますが、プロになるために必要な「実用的なこと」は学べません。

これは学校という機関としてとても問題があると思います。

音大はお金を奪うだけで音楽で稼ぐ方法は教えてくれない

例えば、僕はとある音楽ビジネスの授業で作曲家の先生が言ったことを忘れられません。

その先生は「音楽でお金を稼ぐことは大変だ。音楽で稼ぎたいなら大学で頑張って学位を取って、音楽の先生になった方がいい。そうでなければ貧乏になる。」と言ったのです。

音大生を勇気づける話だとでも思ったのでしょうか…

僕は現在音楽プロデューサーやYouTubeチャンネル、音楽ビジネスのオーナーとしてお金を稼ぐことができていますが、これは自分で考えてようやくわかったやり方です。

一方で、音大はただ僕から学費を取っているだけのように思えます。

音楽の才能がある人もない人も、音楽でお金を稼ぐ方法を教えてくれなければ音楽で食っていくのは難しいです。

「音楽の仕事を得る方法」も「音楽の仕事を自分で創る・見つける方法」も教えてくれないので、音大に行っただけでは誰もプロになれないのです。

「音大卒の学歴が必要」は時代遅れ

プロになるには音大卒という学歴が必要だという考え方は、もはや時代遅れです。

音楽業界では誰も学歴なんて気にしませんし、音大に行かずにプロになっている人の方が多いです。

もちろん音大で教えている先生方を否定するつもりはないのですが、一つ気になるのは「音大で教えている先生のうち、いま現在の音楽業界に深く関わり、事情を知っている人はどれだけいるか?」ということです。

例えば「音楽プロデューサーとして知名度を上げたり、アーティストとしてのブランドを育てていくためには、SNSをどう活用すればいいか?」ということを教えてくれる先生はいるでしょうか?

自分の音楽をネットでどう発信し、どのような形で印税をもらえば稼ぎやすいのか…なども教えてくれないでしょう。

音大に行く意味がない理由5.時間とお金のコスパが悪すぎるから

音大に行く意味がない理由5つ目は「時間とお金のコスパが悪すぎるから」です。

音楽大学や専門学校は、提供してくれる環境や教育内容に対して学費が高すぎると思います。

例えばアメリカでは、学部を問わず州立大学の年間の学費の相場は$20,000程度です。
※2025年時点、日本円で300万円ぐらい

この相場通りの値段で4年間通うと、$80,000程度になります。
※2025年時点、日本円で1200万円ぐらい

一方、有名私立大学ではもっと高額になり、例えばバークリー音楽大学だと年間約$50,000、4年間で約$200,000万円以上かかります。
※2025年時点、日本円で年間約700万円、4年間で約2800万円以上
日本の私立音楽大学の相場は4年間で800~1000万円程度

僕がビジネスマンなら、この学費という「投資」に対して将来的にどれぐらいの利益を得られそうか(ROI、投資収益率)を考えてみます。

音大進学は「コスパが悪すぎる投資」

ここで重要なのは「投資をした後にどうやってお金を回収するか」です。

お金を払い、そのお金を使って何をして、その利益としてどれぐらいお金が作れそうかを考える必要があります。

残念ながら、音大ではこの「どうやってお金を回収するか」の方法を教わることができません。

つまり、投資に対してリターンがないのです。

当たり前ですが、お金を払ったのにリターンがないと「悪い投資」になります。

何かを得るためにお金を払ったのに、何も得られないのです。

音大は時間も犠牲にする

音大に行くと、お金だけでなく時間を無駄にする可能性があります。

しかし、お金を無駄にするよりも時間を無駄にする方がかなりダメージが大きいです。

お金は1度失ってもまた作ることができますが、時間は絶対に戻ってこないからです。

学校に4年間通っても、4年間通ったからと言ってその後の人生に長期的な利益を与えてくれるわけではありません。

18歳から通い始めるなら、22歳までの貴重な4年間を無駄にしてしまうことになります。

18~22歳なら、まだ失敗してもやり直せるチャンスがありますし、家庭を持っている人も少ないので大きなリスクを背負う必要もないでしょう。

それなら、この年齢から自分で考えてYouTubeやSNSを始めてみたり、プロの元でインターン生になったり、オンラインでより安くレッスンを受けた方がいいのではないでしょうか。

年齢を重ねてからリスクを負うのはハードルが高い

僕はとある時期に、音楽ビジネスでリスクを負わなければいけなくなったことがありました。

しかしすでに家庭を持っていたので、家庭を持っていなかったときよりも10倍大変でした。

失うものが何もないときにやっていればもっとスムーズにできたのに、と思うこともあります。

この経験からも、まだ若い人は音大には行かず、自分のお金と時間を大切にしてほしいです。

音大に行っても、投資した時間とお金に対して得られるものが少なすぎます。

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音大に行けなかったからと言って落ち込まないで

僕の友達や妻は音大に行けなかったことを悔やんでいて、「あのとき音大に行っていれば、もっと違う道があったのかな」と言うことがあります。

しかし、音楽業界で働いているとわかりますが、音大に行っていないことを恥ずかしがったり、落ち込む必要は全くありません。

音楽業界で活躍している素晴らしい人たちの大半は、音大に行っていません。

音大に行かなくても、音楽業界で活躍することはできます。


以上が「音楽大学に行くのは基本的に意味がない5つの理由」でした。

解説者・Nathanがおすすめしていた「オンラインレッスン」に関しては、こちらの記事でおすすめの音楽教室をまとめていますのでぜひ参考にしてください↓

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また、当サイトでは他にもバークリー音大やジュリアード音楽院の現役生・卒業生による体験談をまとめていますので、ぜひこちらも参考にしてください。
(音大進学に関しては肯定的な意見から否定的な意見までさまざまありますので、ぜひいろいろな意見を見てみてください)

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