作曲全般

海外プロデューサーが思う「日本らしい音楽とは?」

日本らしい音楽とかJ-POPって、どうやったら作れる?

このような疑問にお答えする内容です。

質問サイト「reddit」に投稿された「日本らしいサウンドって、何?」をまとめました。

われわれ日本人は無意識に作っている「邦楽・J-POP」は、客観的に見るとどんな特徴があるのでしょうか?

これが分かれば、より日本人らしい音楽が作れるようになるだけでなく、洋楽っぽさを求められた時にも役立ちます。

Redditに投稿された質問

現代の日本音楽において、どういったサウンドが「日本音楽(J-POP)」らしさを作っているのでしょうか?

たとえば、きゃりーぱみゅぱみゅの「PON PON PON」や、坂本龍一の「Merry Christmas Mr. Lawrence」。

きゃりーぱみゅぱみゅ - PONPONPON , Kyary Pamyu Pamyu - PONPONPON
Merry Christmas, Mr. Lawrence (piano) - Ryuichi Sakamoto

言葉で表現するのは難しいのですが、これらを聞いたときに「日本の音楽だな」と思ったんです。

このように感じるのには、何か技術的な理由があるのでしょうか?

日本の伝統音楽が関係しているのでしょうか?

Redditでの回答:テクニックというより「共通認識」の違い

おそらく、音楽的なテクニックではなく「共通認識・常識の違い」から来ているのだと思います。

たとえば同じ西洋人でも、あなたが「安いっぽい」と感じる音が他の人にとっては許容範囲内の音だったりしますよね。

他にも、「普通」と感じるような音も、他の人にとっては「みにくい音」と感じる音になったりします。

そのため、「ペンタトニックを使ってジャズっぽい感じにすればいい」のように要約することは難しいです。

ここでは、個人的に考える「日本っぽい音にするためにやるべきこと・やらない方がいいこと」を解説していきます。

日本っぽいサウンドにするために「やるべきこと」

・「悲しい」「陽気」な音楽より「メランコリック」「ノスタルジック」な音楽にする
・その小節内で鳴らされるすべての音を合わせた時、日本っぽいサウンドになるように音を選ぶ
(この記事の最後に、こちらの詳細解説をします)
・カウンターメロディー(合いの手)を使う。
・主に太鼓などで、伝統的な「リズム」を使う

↓リズムの例

・スムーズな転調やリズムを強調するために、Sus4を使う
・キャッチーなメロディー
(もちろん、日本の音楽以外でも言えることです)
・主にサビで転調する。
bVIを使い、半音3つ分上がるのが一般的。
・聞いていて「キレイ」「かわいい」「かんたん」「よろこび」を感じるサウンド

日本っぽいサウンドにするために「やらない方がいいこと」

・重く、過度なシンコペーションを使う。

伴奏で中程度のシンコペーションを使うことはよくあります。

シンコペーションの効果的な使い方は、この動画がすごくわかりやすいです。

https://www.nicovideo.jp/watch/sm3582943

・「シャープな」コードを使う。

たとえば通常であればマイナーコードが来るであろう場所にメジャーコードを使うなど。(sus4を使ってやわらかいサウンドにしたり、よりキレイなセクション(サビなど)で意図的にコントラストをつけたい時はのぞく)

これはポピュラーな手法ではありませんし、加えて不快なサウンドになります。

フラットを使った手法はよく使われており、こちらの方が適切なサウンドになります。

・「攻撃的」「耳障り」なボーカルや楽器を使う。
・「非常にクロマティック」で「イレギュラーな周波数」を使った、「非常にテクニカル」な音楽。

・リディアンモードスケールを使う。

他のスケールは、西洋音楽と同様よく使われています。

(中でも、ドリアンやエオリアンは日本の音楽でよく使われています)

それに比べ、フリジアンは(ちょっとだけ)使われていません。

リディアンは他のモードに比べてシャープなイメージがあるからか、あまり使われていない印象です。

すべての音を合わせた時のサウンドがポイント

ここでは、この記事内に出てきた「日本っぽいサウンドになるように音を選ぶ」について解説します。

坂本龍一氏の「戦場のメリークリスマス」では、日本っぽいサウンドになるように音が選ばれています。

この曲はBbマイナーですが、2度と5度を抜いた5音でメロディー・コードを作ることで、日本っぽいサウンドになるのです。

なぜ日本っぽいサウンドになるの?

Bbマイナーキーの平行調はDbメジャーキーです。フラット・シャープの数が全く同じ)。

Dbメジャーキーだと、4度と7度を抜いていることになります。

この4度と7度を抜いた音階は、ヨナ抜き音階と呼ばれています。

ヨナ抜き音階は沖縄音楽などでよく使われる音階で、日本の伝統音楽っぽいサウンドになります。

この解説は、この動画で解説されています。

坂本龍一「戦場のメリークリスマス」解説

海外プロデューサーが思う「日本らしい音楽とは?」まとめ

今回はたくさんの手法をご紹介しました。

これらのテクニックを組み合わせたり曲に合わせて使い分けることで、思い通りに「日本っぽい曲」ができるようになるでしょう。

ぜひおためしください。

当サイトでは、他にも日本の音楽に関する記事をまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓


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