プロになる方法・音大進学

プロのMIX師・エンジニアになるには音楽大学・専門学校に行くべきか?

Should You Go To School for Audio Engineering? (in 2023)

今回は、MyAudioAcademyのJordan Easlerが解説する「プロのオーディオエンジニアになるなら音楽学校に行くべきなのか?」をまとめました。

Jordanは現役のプロのオーディオエンジニアとして活動しており、プロ用の音楽スタジオも運営しています。

そんな彼は音楽学校に行かずにプロになりましたが、プロになるまでに13年かかったと言います。

ここでは「音楽大学・専門学校に行くメリットとデメリット」「プロになるための学習方法3つ」について解説します。

音楽大学の見学に行ったが、結局進学を諦めた話

僕(Jordan)は高校のとき、音楽大学に興味があったので実際に見学に行ったこともあります。

しかし、中には4年で$130,000の学費が必要だった学校もあり、進学アドバイザーの人には奨学金の話もされました。
(2025年時点、日本円で1800万円ぐらい)

あまりにも高額だと思ったので、僕は別のルートでプロの道を目指すことにしました。

しかし、最初の3~5年ぐらいはただただ不安でした。

音楽学校にも行かず、プロを目指しても大丈夫なのかと思ってしまったのです。

音楽大学・専門学校の学費の相場はいくら?

音楽大学・専門学校の学費は、合計でおよそ$12,000~$50,000です。
(2025年時点、日本円で180万円~780万円)

この金額は、トップレベルの有名私立大学などを除いた相場です。

世界でもトップレベルの有名私立大学でオーディオエンジニアリングを学ぼうとすると、合計で$80,000~$100,000ぐらいかかります。
2025年時点、日本円で1200万円~2000万円以上

そのため、学費は非常に高いと言えます。

音楽大学・専門学校に行くメリット2つ

音楽大学・専門学校は高い学費ばかりが注目されがちですが、もちろんメリットもあります。

音楽大学・専門学校に行くメリット1.洗練されたカリキュラムで1から学べる

音楽大学・専門学校に行くメリット1つ目は「洗練されたカリキュラムで1から学べること」です。

今ではYouTubeでたくさんのミックス講座の動画が出回っていますが、どれもあなたのためだけに作られた動画でもなければ、あなたのレベルに合った動画でもありません。

オーディオエンジニアリングを1から100までしっかり丁寧に教えてくれるコンテンツはないでしょう。

音楽大学や専門学校であれば、しっかりカリキュラムが組まれており、1から学ぶことができます。

わからなければその場で質問もできるので、「理解できなかった」で終わることもありません。

音楽大学・専門学校に行くメリット2.さまざまなプロや先生に出会える

音楽大学・専門学校に行くメリット2つ目は「さまざまなプロや先生に出会えること」です。

学校で教えてくれる先生方は、確かな知識と技術を持ったプロフェッショナルの方々ばかりです。

そのため、自分のメンターを見つけることができたり、異なるジャンルや技術に特化した先生と出会うことができます。

例えば「コンプレッサーを使うコツは何ですか?」という質問をしたら、それぞれの先生から違う答えが返ってくるでしょう。

つまり、さまざまな知識を一気に吸収しやすくなります。

音大なら現役のプロに教わることができる

これは音大に行ったことがある僕(Jordan)の友達から聞いた話なのですが、音楽大学や専門学校に行くと「現役のプロに直接質問ができる」というのが大きなメリットです。

誰もが知っている作品に携わったプロや、超有名な音楽スタジオで働くエンジニアなど、普通の生活では出会えないような人々から直接教わることができるチャンスがあります。

音楽大学・専門学校に行くデメリット3つ

ここからは、音楽大学・専門学校に行くデメリットを3つご紹介します。

音楽大学・専門学校に行くデメリット1.学費が高すぎる

音楽大学・専門学校に行くデメリット1つ目は「学費が高すぎること」です。

「コスパが悪い」ということなのですが、高い学費を払っている割に、音楽を仕事にできる確率は低いです。

高い学費を払ったからと言って、それを回収できるほどの職業に就く保証はどこにもありません。

実際に、僕と一緒に働いているエンジニアは音楽大学でオーディオエンジニアリングを学びましたが、アメリカのあらゆる音楽スタジオに履歴書を送っても、全く返事が返ってこなかったそうです。

仮に書類選考が通ったとしても、最初からお金をもらえるポジションには就けず、無償で働くインターン生として雇われる可能性が高いです。

音楽大学・専門学校に行くデメリット2.必要のない学習も強制的にする必要がある

音楽大学・専門学校に行くデメリット2つ目は「必要のない学習も強制的にしなければいけない可能性があること」です。

音大では非常にさまざまなことを学べる一方、実際に仕事をするときには使わないような知識も強制的に覚えなければいけないこともあります。

誰かにとっては役に立つのかもしれませんが、自分には一切役立たないこともあるでしょう。

その知識があったからと言って、もっと素晴らしい仕事ができるとは限らないこともあるでしょう。

しかし、学校なので単位を落とすわけにも行かず「覚えろと言われたから覚えた」ということもあります。

自分にとって不必要な情報がたくさん頭に入る可能性があるのは、音大のデメリットの1つです。

音楽大学・専門学校に行くデメリット3.卒業までに時間がかかる

音楽大学・専門学校に行くデメリット3つ目は「卒業までに時間がかかること」です。

大学や専門学校は、卒業までに2〜4年かかることが多いです。

そして音楽に限らず、何かを学ぶということには時間がかかります。

しかし人によっては(勉強する科目や目的によっては)、その2~4年間をもっと違うことに使っていた方が効率がいいこともあります。

例えばオーディオエンジニアリングなら、教室で机に向かって座学をするよりも、実際のプロの音楽スタジオにいた方が学べることが多いかもしれません。

他にも、仕事をもらうための交渉術や、ミーティングをスムーズに進めるためのビジネス的なテクニックを学んだ方がいいかもしれません。

「学校だから2~4年在籍するのはしょうがない」ではなく「自分の目標を達成するために、本当に2~4年その場所にいる必要があるのかどうか?」はよく考えた方がいいでしょう。

プロのMIX師・オーディオエンジニアになるための3つの方法

そもそも、プロのMIX師・オーディオエンジニアになるためにはどのような方法があるのでしょうか?

これには大きく分けて、3つあります。

プロになる方法

  • 音楽大学や専門学校に通う
  • オンラインで学ぶ(無料コンテンツ)
  • オンラインで学ぶ(有料コンテンツ)

①音楽大学や専門学校に通うについては、先ほどご説明した通りメリットやデメリットがあります。

②オンラインで学ぶ(無料コンテンツ)は、無料で閲覧できるYouTube動画を見るなどして学ぶパターンです。

③オンラインで学ぶ(有料コンテンツ)は、ZoomやSkypeでレッスンを受けたり、学習コンテンツを購入して学ぶパターンです。

プロのMIX師・オーディオエンジニアになるための3つの方法を比較する

この3つのうち、自分に合っている方法を選ぶためにメリットとデメリットを比較してみましょう。

①音楽大学や専門学校に通う

洗練されたカリキュラムがある
現役プロから直接学べる&質問もできる
プロレベルの機材や設備が整っている

学費が高い割に、職業にできる保証がない

②オンラインで学ぶ(無料コンテンツ)

お金が一切かからない
場所や時間を自由に選べる

カリキュラムがなく、知識や技術に偏りが出る可能性がある
内容がアップデートされないことが多い(特にYouTube動画)
直接話しながら教わることができない
間違った知識を学ぶ可能性がある
機材や設備は自分で用意する必要がある

③オンラインで学ぶ(有料コンテンツ)

学費は音大より圧倒的に安い
先生にビデオ通話やメッセージで相談できるレッスンもある
場所や時間を選べる
カリキュラムがしっかり整っていることが多い
(レベル別にコースを選ぶことも可能)

機材や設備は自分で用意する必要がある


ちなみにここでは紹介されていませんが、週1でも通える音楽教室に通う方法もあります。

こちらについては下記の記事で解説していますので、ぜひご覧ください↓

当サイトでは他にも音楽大学への進学やプロになる方法についてまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓


人気記事

1

今回は、ジャンル・シチュエーション別に2025年のブラックフライデーで買っておきたいプラグインと機材をまとめました。多くのメーカーや通販サイトで大規模なセールが開催されていますので、お持ちでない製品があればぜひこの機会にGETしてください!

2

今回は「絶対に買って損しない、おすすめDTM音源・プラグイン」をまとめました。特に多くの音楽プロデューサーに愛用され、世界中でベストセラーになり、買っても絶対に損しないと思えるプラグインはかなり絞られます。ここでは初心者からプロまで使えて「これさえ買っておけば問題なし」と断言できる「世界で愛用されているおすすめDTM音源・プラグイン」をご紹介します。

LA2Aコンプレッサー 3

今回は「LA-2Aコンプレッサーの使い方」をまとめました。「有名なコンプレッサー」としてよく名前が挙げられるのが、Teletronix社の「LA-2A」です。なぜこのコンプレッサーは世界中のDTMerに愛されているのか、その魅力と使い方を解説していきます。

4

今回は、DTMで伝説と言われているEQの1つ「Pultec EQ」の魅力と使い方ついてまとめました。なぜこのEQが世界中で使われているのか、Universal Audio社のプラグインを使いながらその魅力と使い方をご紹介します。

5

今回は、MIX師やMIX初心者の方が持っておくと便利なおすすめのプラグインを3つご紹介します。プリセットを選ぶだけでプロレベルのサウンドにできる、まさに「5秒でMIXが終わるプラグイン」をご紹介します。

6

今回は、DTMでおすすめのオーケストラ系楽器がすべて使える音源をまとめました。1つ購入するだけで弦楽器・金管楽器・木管楽器・打楽器すべてが揃うだけでなく、世界中のプロが愛用する高品質の製品ばかりですので、まだお持ちでない方はぜひチェックしてみてください。

7

今回は、DTMでおすすめの民族楽器系音源・プラグインをまとめました。通常のポップスやオーケストラではあまり使われない楽器や、非常にニッチな国・地域特有の楽器が使える製品もまとめています。インド・中国・北欧・ケルト系・アラブ・ガムラン系など幅広くご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。

8

今回は、DTMで使えるおすすめのボコーダープラグインを7つご紹介します。いずれもロボットのような声にできるのはもちろん、ハーモニー作成もできる万能プラグインで、アレンジでもミックスでも使えます。サウンドの質感やプリセット、操作方法がそれぞれ異なりますので、いくつか持っておくと理想のボーカルに仕上げやすくなります。

9

今回は、ユニークな音がすぐ作れるおすすめのマルチエフェクトプラグインを5つご紹介します。 いずれも1つのプラグインでさまざまなエフェクトが使えますので、1つ持っておくだけでもサウンドデザインの幅が広がります。 「何でもいいから何か変化を加えたい」というときにも効果的ですので、ぜひチェックしてみてください。

10

今回は「UAD社「Apollo Twin X」は高いけど買うべき10の理由」をまとめました。他社では2万円程度の製品がある中で、Apollo Twinは約10万~20万円です。この記事では、Apollo Twinは値段相応の価値があるのかについて解説します。

-プロになる方法・音大進学