ミキシングのコツ

【DTM】プロが解説「もっと早く知りたかったミックスのコツ」13選 Part2

13 mixing tips I wish I knew sooner.

今回は、Mastering.comが教える「もっと早く知りたかったミックスのコツ13選」をまとめました。

この記事・Part2では「4~6個目のミックスのコツ」をご紹介します。

もっと早く知りたかったミックスのコツ

解説者本人が「何で誰も教えてくれなかったの?」「これを知っていれば、ものすごく時間を節約できたのに…」と思うほど重要なTipsがたくさんありますので、みなさんもぜひマスターしてください!

ミックスのコツ4.文脈(コンテキスト)に沿って制作する

ミックスのコツ

4つ目のミックスのコツは「文脈(コンテキスト)に沿って制作する」です。

今では、YouTube上にたくさんのDTM関連動画があり、多くのプロからテクニックを学ぶことができます。

しかし、人によって正反対のことを言っていることも多く、視聴者である皆さんは混乱してしまうこともあるでしょう。

そんなときに、この「文脈」について考えることが非常に重要なのです。

YouTubeのDTMテクニック動画の落とし穴

ミックスのコツ

YouTubeにアップされているテクニック動画では、どんなプロでも、前回のPart1で解説した「主観的な要素」に集中して解説をしています。

「客観的要素」とは、「ウェーブフォームがどんな状態であるか」「このプラグインのパラメーターはこういう動きをする」など、科学的なことや数字で表せること、事実に基づく要素です。

「主観的要素」は、人によって解釈が異なるような感情的・直感的な要素で、「いいボーカルサウンドを作るためのEQの使い方」などがこれに当てはまります。

「いいボーカル」の基準は、人それぞれだからです。

しかし、実際には「いいボーカルにするためのテクニック」「いい音を作るためのTIps」などの動画がたくさんあり、どの動画でも意見が分かれる内容があります。

DTMではなぜこんなに意見が分かれるのか?

ミックスのコツ

DTM関連動画の中でなぜこんなに意見が分かれるのか、理由は大きく分けて2つあります。

理由1:得意としているジャンルが違うから

1つ目の理由は、一人一人が得意としているジャンルが違うから

クラシックやジャズを専門としているミキシングエンジニアと、メタルやハードロックを専門としているミキシングエンジニア、エレクトロニックダンスミュージックを専門としているミキシングエンジニアでは、大きく異なる見解を持ち、同じ曲でも全く違うミックスをすることになるでしょう。

そのため、曲を聞くときや動画を見るときには

「なぜこういう音にしたのだろう?」
「なぜこういう意見を持っているのだろう?」

と疑問を持ち、

「この人はこのジャンルに特化したエンジニアだから、きっとこういう音作りが好きなのだろう」

など、その人の発言や音に対して文脈を考えるようにすることが大切です。

理由2:解説者のスキルレベルがそれぞれ違うから

2つ目の理由は、解説者のスキルレベルがそれぞれ違うから

初心者、中級者、上級者、アマチュア、プロ…

世の中には、いろいろなスキルレベルや経験を持つ人たちがいます。

そのため、発言の内容も動画で扱うトピックもそれぞれ異なるのです。

解説者がアマチュアだったらダメなのか?

ミックスのコツ

信頼できる情報を得たいなら、やはり経験豊富なプロから学びたいと思うでしょう。

しかし、必ずしもプロの解説が今のあなたに役に立つとは限りません。

学校の先生も生徒のレベルに合わせて授業をしている

例えば僕(Mastering.com)が学生の頃、ある学生が物理の先生に対して「これは、僕らが数年前に教わった内容と全然違うじゃないですか!」と言ったことがありました。

これに対しての先生の回答は

「そうですね。でも、もし当時12歳のみなさんにとても理解が難しい物理の真髄について教えたら、きっとみなさんは圧倒されて、理解することもできないでしょう」

というものでした。

つまり、彼らがまだ12歳だったときに教わった物理の内容は初心者向けの説明で、それから数年後に教わった内容は中〜上級者向けの説明だったのです。

教わる側のレベルに合わせた解説をする・聞くのが大切

ミックスのコツ

この先生が言ったことは、もっともでしょう。

まだ初心者の人に「こんな例外もあります」「実はこの機能には他にもこういう使い方もあって…」など、厳密で細かく、専門的な説明をしても、情報量が多すぎたり内容が細かすぎて、教わる側は追いついていけないでしょう

そのため、初心者向けの説明をするときは「本当はこの理論は100%正しいわけではないけど、厳密な説明をしても内容が難しくなってしまうから、それについての説明は省いておこう」など、教える側が調整する必要が出てきます。

しかし、教わる側はそれを知りませんから、ある程度レベルが上がった時に「前に教わったことと違う!」「この理論は100%正しいと思っていたのに、例外もあるの?そんなの聞いてない!」となってしまうわけです。

解説者は「どこまで伝えるか?」を調整している

ミックスのコツ

特に、本当に正しいことほど内容が難しく、理解するのに必要な知識が多くなってしまいます。

そのため、DTMテクニック動画を作っている多くの人たちも、ターゲット層や動画のテーマに合わせて「どこまで解説するか?」を調整しています。

先ほどの物理の先生の例のように「ここでは厳密に言わず、あいまいな表現にしておこう」「こういう例もあるけど、今回は紹介しないでおこう」などを考えて動画を作っているでしょう。

その結果、「いや、これは間違っている!100%こうとは限らないはずだ!」「厳密に言えば、これはこうだろう!」という反対意見が出ることになってしまうこともあります。

これが、DTMテクニック動画の中もいろいろな意見が出る一つの理由と言えます。

教える側と教わる側のレベルを合わせる

ミックスのコツ

そのため、「教える側は教わる側のレベルに沿って説明をし、教わる側のレベルが上がったら教える内容のレベルも上げる」というプロセスを繰り返していくのがよいでしょう。

DTM動画を見て独学で勉強をしている人なら、自分のレベルに合わせた解説を探し、そこから徐々に見る動画のレベルも上げていくことをおすすめします。

ミックスのコツ5.耳を鍛えよう

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5つ目のミックスのコツは「耳を鍛えよう」です。

スケールを覚えたり、楽器の練習をするのと同じように、ミックスにおいても耳のトレーニングを日々行うことが大切です。

おすすめは「SoundGym」で、毎日実践すれば必ず成果が出ますので、ぜひお試しください。

このような地道なトレーニングは多少つまらないと思うこともあるかもしれませんが、次のコツ6につながる重要なプロセスになります。

ミックスのコツ6.クリティカルリスニングをする

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6つ目のミックスのコツは「クリティカルリスニングをする」です。

これは先ほどのコツ5「耳を鍛えよう」を実践していれば、より成果が出るTipsです。

耳をしっかり鍛えると精密に音を分析できるようになり、Part1でご紹介した「主観と客観」で言うと「客観」の要素についてより深く・正しく分析できるようになります。

この「クリティカルリスニング」では、もう一方の「主観」の要素について分析できるようにするためのトレーニングを行います。

クリティカルリスニングをする方法

「自分は今、何を聞いているのか?」

この質問を常に投げかけながら、音を聞いてみましょう。

耳を鍛えたことで音を分析できるようになったので、この質問を投げかけることにより「この要素に対して、自分はどう感じるか?」「自分はこのような音が好きか?」など、主観の要素まで音を分析できるようになります。

あとは、この分析から得た情報からミックスを進めて改善していきましょう。

クリティカルリスニングはミックス以外にも役立つ

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クリティカルリスニングをしていくと、ミックスだけでなく、作曲や編曲、耳コピ・完コピなど、あらゆる音楽制作のシーンで役立つスキルが身につきます。

例えば、プラグインや音源のパラメーターを変えた時の変化にも気づきやすくなるため、ツールの使い方もレベルアップし、より自分の理想の音作りをしやすくなります。

また、曲全体のダイナミクスをどう変化させていくか、曲のこの部分は音を明るくするか暗くするか…など、楽曲構成やテーマに沿った曲作りもできるようになります。

さらに、同じ「中音域」でも「この曲の中音域はこう聞こえるけど、自分の曲の中音域はこう聞こえる」など、周波数帯域ごとのキャラクターの違いにも気づきやすくなります。

ミックスのみならず、音楽制作全体において非常に重要なスキルが身につきますので、ぜひお試しください。


Part3・7~10個目のミックスのコツはコチラ↓


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