【DTM・シンセ】Sample & Hold(s&h)とは?仕組みと使い方を解説!
- 2024.08.01
- 2024.11.27
- 用語解説
今回は、Scott Amplefordが解説する「Sample & Holdとは?」をまとめました。
シンセサイザーでよく見られる「Sample & Hold(s&h)」ですが、どのような機能があり、どんなときに使えばいいのかわからない方も多いでしょう。
この記事では「そもそもSample & Holdとは何か」「Sample & Holdでできること」「Sample & Holdを使えばいいのか」について解説します。
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Sample & Holdとは?
Sample & Holdとは、ソース(Input)によってパラメーターを変更できるモジュールのことです。
ピッチを変えることもできれば、フィルターの動きを変えることもできるため、Sample & Holdだけで多様なサウンドを作ることができます。
これだけだとわかりにくいので、図を使って簡単に解説をしていきます。
Sample & Holdの仕組みはどうなっている?
Sample & Holdの仕組みをかんたんに説明すると、次の画像のように表せます。
中心にSample & Holdモジュール、その下にクロック(Clock)、左にInput(ソース)、右にOutput(実際に出る音)があります。
まず、Inputからソースにする信号が送られます(この図ではサイン波の音)。
このとき、中心下にあるクロックで一定時間を計測すると「いまの情報を記録してね」と指令が送られます。
クロックから指令が出ると、Inputから受け取った信号の波形(電圧)を読み取り、「いま波形のどの部分を鳴らしているか」「どれぐらいの電圧が出ているところなのか」を分析して、記録しておきます。
これは例えば「波形のちょうどてっぺんの+3dBのところ」だったり「ど真ん中のプラスマイナスゼロのところ」だったりします。
すると、この「計測された電圧(波形の位置)」の情報を、Output(実際に出る音)にも適用します。
しかし、Outputではあくまでも点と点をざっくり繋いでいるような形になるので、たとえInputの信号がサイン波のようになめらかな曲線であったとしても、Outputでは階段状にカクカクになります。
この「カクカク」は、実際の音ではビットクラッシャーを使ったような音になるので、少しヴィンテージ感のある、ザラつきのある音にすることもできます。
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Sample & Holdの仕組みを具体的に画像で解説
1.Sample & Holdモジュール(S+H)に、Inputからソースの信号が送られる(緑のサイン波)
2.クロック(青い時計)に合わせて、一定時間が経過するとInputの電圧を読み取る(サイン波にマークをつけておく)
3.読み取ったInputの電圧の情報を、Output(右側)にも記録しておく
4.クロックに合わせて、これを何度も繰り返し行う
5.Outputのマークを線でつなぎ、音を出す(階段状にカクカクになる)
Sample & HoldのInputをノイズにするとこうなる
Sample & HoldのInputをノイズにすると、Outputがランダム化されます。
Sample & HoldのInputもOutputも自由に変えられる
Sample & Holdは、InputもOutputも自由に変えることができます。
何をもとにして音を作るのか(Input)によっても、何の音にSample & Holdを適用するのか(Output)によっても音が変わるので、自分だけのオリジナルサウンドを作ることができます。
このSample & Holdを使ってピッチを変えてみたり、フィルターの動きを変えてみるとおもしろいでしょう。
Sample & HoldのInput(ソース)を変える例
Inputをサイン波にした場合(0:59~1:05)
Inputをノイズにした場合(1:12~1:17)
Sample & HoldのOutput(適用するパラメーター)を変える例
例えばSample & HoldのOutputをフィルターのCutoffにすると、このようなサウンドができます(1:45~1:53)↓
オシレーターのWave Shapeも変えることができます↓(1:53~1:59)
もちろん、ディレイのDelay Timeも変えることができます↓(2:03~2:12)
カクカクにならないSample & Holdもある
Outputの音がカクカクにならないSample & Holdもあり、例えばこの動画で使っているbehringer社「Neutron」はなめらかなSample & Holdの効果を得ることができます(1:26~1:31)
Sample & HoldのClockは上書きできる
Sample & Holdは内蔵Clock(もともと入っているClock)が使われることが多いですが、このClockの動きを上書きして電圧の記録を取るタイミングを変えることができます。
例えば、LFOの動きに沿うように変更したり、MIDIキーボードを押すことで変えられることがあります(2:27~2:45)
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Sample & Holdはどのようなときに使える?
Sample & Holdは、InputとOutputの組み合わせで予想もしないサウンドを作ることができます。
そのため、音にランダムな動きをさせたいとき、複雑な動きを作りたいときなどに使うとよいでしょう。
Sample & Holdが使えるシンセサイザープラグイン
最後に、今回ご紹介したSample & Holdが使えるシンセサイザープラグインをご紹介します。
Sample & Holdを使って音作りをしてみたい方、オリジナリティのあるサウンドを作りたい方、複雑なサウンドメイキングに挑戦してみたい方はぜひGETしてください!↓
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(単体で買うと数万円するため、以下に掲載している他の音源も付いているバンドル「Komplete」を買うか、「Komplete Select」が無料で付いてくる1~2万円のMIDIキーボードを買った方が圧倒的にお得です)
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