音楽ジャンル解説

【音楽ジャンル】ケルト音楽(Celtic Music)とは?Part1

今回は、ケルト音楽についてまとめました。

この記事ではPart1として、「ケルトという言葉の意味」「使われる楽器」「音楽的な特徴」「使われている奏法」について解説します。

Part2

ケルト音楽と言えば、「無印良品の店内で流れてそうな音楽」というざっくりとしたイメージを持った方が多いのではないでしょうか。

今回はそこからさらにステップアップして、「ケルトとは何か?」がわかるようになるための記事です。

ぜひ参考にしてください。

「ケルト音楽」とは?

Irish Music | Beautiful Celtic Music | Traditional Irish Folk Music

「ケルト音楽」とは、一言で言うと「ケルト人の民謡音楽から発展した音楽ジャンル」です。

代々伝わってきた音楽と、現代においてケルトをもとに作られた音楽の両方を「ケルト音楽」と広く呼んでいます。


画像:wikipediaより

ケルトは今で言う西ヨーロッパにあり、スコットランド・アイルランド・ウェールズ・コーンウォル・ガリシア(スペイン)・ブリタニー(フランス)周辺の地域です。

ここに住んでいるケルト人は、文字通りケルト語を話す民族です。

ケルト音楽=アイルランド・スコットランド音楽?

ケルト音楽(Celtic Music)とは?

「ケルト音楽」という用語は、アイルランド音楽・スコットランド音楽の両方に適用できます。

どちらの音楽も実際に共通性があり、影響し合っており、今では有名となった独自のスタイルを生み出しているからです。

Traditional Scotland Highland Folk Music | Scenic Scotland Travel Video

ケルト音楽の音楽的な特徴

・基本はアンサンブルで演奏される。メロディーはユニゾンかオクターブで演奏され、ハーモニーではない

同じフレーズが何度も繰り返される。そのため、奏者はリスナーを引き付けるために装飾音などをよく使っている。

・装飾音としては「カット」「ロール」「クラン」などが使われ(後述)、イリアンパイプ(後述)、フィドル、フルートなどの楽器で用いられる。

基本的に休み(休符)がない。そのため、管楽器奏者は音と音の間でいかにブレスをするかを考えなくてはならない。

・モードではミクロリディアンモードドリアンモードがよく使われ、スケールはペンタトニックがよく使われる。

1/4音(半音の半音)である微分音(Microtonal Bends)が使われる。(ブルースやアラブ音楽でも用いられる)

ケルト音楽で使われる奏法

前述のように、装飾音がよく用いられます。

画像:装飾音の例(https://thecelticroom.org/playing-irish-music/irish-music-ornamentation.html)

カット(Cut)

3:22~

"The Cut" Gracenote: Scottish Fiddle Technique Tutorial by Hanneke Cassel

クラン(Cran)

1:50~

Flute Lesson: Crans

ロール(Roll)

2:30~

The Roll Gracenote: Scottish Fiddle Technique Tutorial by Hanneke Cassel

ケルト音楽でよく使われる楽器

ここからは、ケルト音楽でよく使われる楽器をご紹介します。

Fiddle(フィドル)

ボーイング(弓を上下に動かす奏法)でリズムを刻む奏法が特徴。

いわゆる「バイオリン」だが、「バイオリン」という言葉は主にオーケストラにおける場合に使われ、「フィドル」という言葉はケルト音楽などの伝統音楽において使われる。

Irish Fiddle Jigs - Lannigans, Indian Point, Tenpenny Bit

Flute・Irish Flute(フルート)

もとは何千年も前から使われていた楽器。基本は木製。

今日に見られるタイプのフルートは1900年代にアイルランドで普及したもので、6つのホール(穴)+8つのキーでできている。

Matt Molloy : "The Parting Of Friends / Lomanach Cross* / Gorman's / Mrs. Crehan's"

Tin Whistle(ティン・ホイッスル)

シンプルな金属のチューブで、6つのホール(穴)とリコーダーのようなマウスピースでできている。

The London Lasses Reel on tin whistle and bodhrán

Bagpipe・Uilleann Pipe(バグパイプ・イリアンパイプ)

パイプ中に息を吹き込み、バッグ(bag)の中に息を入れ、腕でそのバッグを押すことで音を鳴らす。

アイルランドではイリーンパイプの方がポピュラーで、こちらはバグパイプよりも静か。

低い音で「ドローン」を担当し、高い音でメロディーを担当することが多い。
ドローン:ずっと同じ音を伸ばすこと

Dark Island - Bagpipe Master
Uilleann piping

Bombarde(ボンバード)

小さいオーボエのような楽器で、甲高い音が特徴。

Calennig : Bombarde

Banjo(バンジョー)

Double Banjo Celtic Medley

Mandolin(マンドリン)

Mandolin tunes. Monaghan (Irish jig)

Cittern(シターン)

Fingerstyle Cittern--Jig & Reel

Guitar(ギター)

Celtic Irish Music - The Green Island (Classical Guitar)

Bouzouki(ブズーキ)

Irish bouzouki - Toss the Feathers

ケルト音楽のメロディーの特徴

主和音(主コード)を上がり下がりするのがケルト音楽のメロディーの特徴です。

このようなスタイルになる理由は、主に2つあります。

理由1.さまざまなメロディーの変化を導入しやすいから(特にパイプやハープなど)

イリアンパイプスの例

Uilleann piping
Must hear!! Davy Spillane - Caoineadh Cu Chulainn Uilleann Pipes.flv

ハープの例

Celtic Harp Solo – A Trip to the Islands (Keltische Harfe, lever harp) // Nadia Birkenstock
"Morrison's Jig" - Irish Dance Tune on Celtic Harp (Keltische Harfe, Harpe Celtique)

理由2.次にメロディーがどう動くのか予測しやすいから

あらかじめ作曲されたメロディーであっても即興であっても、いずれにおいてもメロディーを作りやすいです。

即興のハーモニーには欠かせないクリシェしたカデンツも、よりかんたんに作ることができます。

クリシェ:コード中のある1つの音を順番に下げていくことで、コード自体を変えていく手法。
カデンツ:曲の最後や区切りの部分など、「終わる」部分でよく使われる和音の形態。終止形。


以上でPart1の解説は終了です。

Part2はこちら↓


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