ゲーム・映像音楽 音楽理論

【音楽理論】エオリアンモードを使ったゲーム音楽を解説 Part3

The AEOLIAN Mode Feels Devastating

今回は、8-bit Music Theoryが解説する「エオリアンモードの使い方」をまとめました。

この記事では「Part3」として、

・エオリアンモードによくあるコード進行
・エオリアンモードを使って「大袈裟で荒々しい感じ」を演出する方法

これらについて解説していきます。

エオリアンモードを使ったゲーム音楽解説

ゼルダの伝説シリーズやロックマンシリーズをはじめ、ゲーム音楽にはエオリアンモードを使った楽曲が数多くあります。

「モードを使った作曲にチャレンジしたい!」という方には必見の内容です!

エオリアンモードのゲーム音楽の例:ストリートファイター2「ガイルのテーマ」

最初にご紹介するゲーム音楽は、「ストリートファイター2」の「ガイルのテーマ」です。

STREET FIGHTER2 GUILE STAGE MUSIC

この曲ではCナチュラルマイナーキーで使われている音しか使われておらず、メロディーもマイナースケールに合わせて駆け上がるフレーズが見られます。

しかし、コードは「i - bVI - bVII - v」など、前回のPart2でお話した「エオリアンモードによくあるコード進行」が使われています。

エオリアンモードを使ったゲーム音楽

それでは、楽譜を見ながら楽曲を聞いてみましょう。

8:38~8:54

The AEOLIAN Mode Feels Devastating

エオリアンモードらしい曲に仕上げるコツ①

「Gm7 - Cm」のような「v7 - i」の進行は、バッハの時代から使われている進行です。

もともとこのような「ドミナント→トニック」の進行は解決感や進行感が強いのですが、この曲の場合はより破壊的な、アグレッシブな感じを演出するのに役立っています。

Part2でご紹介した楽曲のように、「b7th→1st」の音の移動を取り入れるなど、エオリアンモードでは解決感が弱いパターンも作ることができます。

これもまた、エオリアンモードらしさに繋がる要素となります。

エオリアンモードらしい曲に仕上げるコツ②

エオリアンモードらしい曲に仕上げるコツとして、1つ目は「b7th→1st」の移動でしたが、もう一つは「b6th→5th」の移動です。

次は、このパターンを使った良い例をご紹介します。

エオリアンモードのゲーム音楽の例:「ダブルドラゴン」より「スラム街 ブラックウォリアーズ出現」

「ダブルドラゴン」の「スラム街 ブラックウォリアーズ出現」の曲では、エオリアンモードで「b6th→5th」の移動が使われています。

DOUBLE DRAGON ダブルドラゴン BGM 002 スラム街 ブラックウォリアーズ出現 (arcade game music)

基本的にはAマイナースケールですが、メロディーでは「b7→b6→5」の移動が多用され、最後は「b7→1」という移動が使われています。

エオリアンモードを使ったゲーム音楽

それでは、楽譜を見ながら曲を聞いてみましょう。

9:55~10:07

The AEOLIAN Mode Feels Devastating

ものすごくエネルギッシュな感じやモードらしさはありませんが、Aマイナーコードだけを使いながら、Aエオリアンモードを巧みに使っている良い例です。

エオリアンモードのゲーム音楽の例:ロックマン2「メタルマンのテーマ」

次にご紹介するのは、「ロックマン2」の「メタルマンのテーマ」です。

Rockman 2: Metalman Stage (Ext.)

「b7→1」のボイスリーディングの動きは「b6→5」の動きよりもよく使われるのですが、この曲でも「b7→1」の動きが使われています。

エオリアンモードを使ったゲーム音楽

この曲では、フレーズの終わりに「bVI - bVII - bVI - bVII」という進行があり、その後にトニックに戻ります。

それでは、楽譜を見ながら楽曲を聞いてみましょう。

10:38~10:52

The AEOLIAN Mode Feels Devastating

エオリアンモードのゲーム音楽の例:逆転裁判「異議あり!」

逆転裁判シリーズの「異議あり!」のテーマ曲では、「b6→b7→1」と、一段ずつ上がるような動きが使われています。

Phoenix Wright ~ Objection! 2001 - Phoenix Wright: Ace Attorney Music Extended (Properly Looped)
エオリアンモードを使ったゲーム音楽

コードも「iv - v - bVI - bVII - i」と、わかりやすく一音ずつ上がっています。

それでは、楽譜を見ながら聞いてみましょう。

11:03~11:20

The AEOLIAN Mode Feels Devastating

先ほどご紹介したストリートファイター2の「ガイルのテーマ」と同様に、この楽曲はたくさんの音とコードが使われています。

しかし感情が頻繁に大きく変わるような印象は少なく、楽曲のどの場面で止めても特に問題のないような楽曲です。

これもまた、エオリアンモードの特徴の一つです。

エオリアンモードでメランコリックな楽曲を演出する方法

前回のPart2では、悲しくメランコリックな感じ(憂鬱な感じ)のするエオリアンモードの曲をご紹介しました。

一方、今回のPart3では比較的アグレッシブな楽曲を多くご紹介しました。

このPart3でご紹介したアグレッシブな楽曲は、実はゆっくりなテンポにすることで、メランコリックな感じ(憂鬱な感じ)を演出することができます。

STREET FIGHTER2 GUILE STAGE MUSIC

例えば、先ほどご紹介したストリートファイター2「ガイルのテーマ」をゆっくりなテンポにしてみます。

リズムも、刻むのでなくできるだけ伸ばすようにし、サウンドも少し悲しい感じのピアノにしてみると、このようになります。

11:55~12:08

The AEOLIAN Mode Feels Devastating

「アグレッシブなエオリアン」と「メランコリックなエオリアン」を上手に使い分けよう

同じエオリアンモードの曲でも、リズムやサウンド、テンポなどを工夫すると、全く異なる印象の音楽に変えることができます。

エオリアンモードを使ったゲーム音楽

アグレッシブなエオリアン「アップテンポ」「エネルギッシュなリズム」がキーポイントとなります。

メランコリックなエオリアン「スローテンポ」「静かに泣けるようなコード進行」「徐々に変化していくハーモニー」などがキーポイントとなります。

どちらも全く正反対の要素ですが、両方を組み合わせることも可能です。

「すごく悲しい雰囲気なのに、エネルギッシュなリズムやテンポ」

のように、矛盾する要素を上手に組み合わせると、例えば「悲しい雰囲気のアクションシーン」などにピッタリの楽曲にできます。

エオリアンモードを使ったゲーム音楽の総まとめ

以上でエオリアンモードを使ったゲーム音楽の解説は終了です。

とても盛りだくさんの内容でしたが、エオリアンモードを使って楽曲にさまざまなバリエーションが加えられることをご理解いただけたかと思います。

・「bVI - bVII - i」進行や「v7 - i」進行
・「b7th→1st」「b6th→5th」「b7→1」の移動
・「アグレッシブなエオリアン」と「メランコリックなエオリアン」の使い分け

当サイトでは他にもモードに関する解説をまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓


人気記事

1

今回は、アメリカのプロデューサーNathan James Larsenが解説する「僕のお気に入りのボーカルチェイン」をまとめました。「どんな曲であっても、ミックスの83%はこのボーカルチェインを使っている」というぐらい汎用性が高い内容ですので、ぜひお試しください。

2

今回は、Doctor Mixが解説する「歴代のシンセサイザーTOP10」をご紹介します。みなさんがよく耳にする「あの音」は、実はこれらのシンセサイザーの音かも…!?「聞いたことある!」「あの音って、このシンセの音だったんだ!」と驚くこと間違いなしです!

3

今回は、これからDTMをはじめたいという方向けに「Amazonで買えるDTM初心者セット」を3つご紹介します。「これからDTMをはじめたいけど、何を買ったらいいかわからない」「とりあえずこれさえ買っておけばOKみたいなセットはない?」このような方のための記事ですので、ぜひ参考にしてください。

4

今回は、音楽で使うスピーカーに付いている「謎の穴」について解説します。いろいろなスピーカーを見てみると、前面下側に細長く穴が空いていたり、側面に丸い穴が空いてあったり、中には背面に穴が空いていることがあります。この謎の穴は、いったいどのような役割があるのでしょうか?

5

K-POPっぽい曲って、どうやったら作れる?K-POPの特徴って何?今回はこのような疑問にお答えします!海外プロデューサーが教える「K-POPの全体的な特徴」について徹底解説!これを前提に作曲していけば、よりK-POPっぽい曲が作れるようになります。

6

今回は、Big Zが解説する「SKRILLEX(スクリレックス)レベルでミックス・マスタリングする方法」をまとめました。SKRILLEXのように「音にパンチ・厚み・パワー」がありながら音圧を上げるには一体どのようにすればいいのでしょうか?DTMをしている全ての方、必見の内容です!

7

今回は、LANDRが解説する「DIベースとは?」をまとめました。音楽に親しんでいる方でも、「DIベース」とは何か、DIベースのレコーディングで使われる「DIボックス」とは何か、自分はDIボックスが必要なのかどうかが分からない方も多いでしょう。この記事では、これらについて詳しく解説していきます。

8

当サイトのnoteアカウントにて「楽曲のサビ・Aメロ・Bメロ・Cメロ・ポストコーラス・イントロ&アウトロの作り方」をそれぞれアップしました。 「曲を作るときに何から始めたらいいかわからない」「 ...

9

今回は、Audio Universityが解説する「音響心理学を活かしたミキシングテクニック」をまとめました。この記事ではそのうち、多くの人がミキシングで悩む「マスキング問題」とは何か?について解説しています。

10

今回は、さまざまなジャズのジャンル・種類をまとめました。「ジャズ」と言ってもいろいろなスタイルがあり、それぞれ特徴が異なります。この記事では18種類のジャズスタイルをご紹介しますので、ぜひお気に入りのスタイルを見つけてみてください。

-ゲーム・映像音楽, 音楽理論