Clean Banditの楽曲「Rockabye」は、YouTubeの再生回数が30億回近くにのぼるメガヒット曲です。
今回は、そのClean BanditのメンバーJack Pattersonが語る「Rockabye」制作のインタビュー動画をまとめました。
楽曲制作の流れはもちろん、音作りのウラ話、今日から使えるテクニックもありますので、読んだ後はぜひ実践してみましょう!
はじめに:Clean Banditと「Rockabye」の制作メンバーについて

Clean Banditはイギリスの3人組グループで、メンバーはチェロ奏者のGrace Chatto、メインソングライターのJack Patterson、ドラマーのLuke Pattersonです。
「Rockabye」では、ボーカルは歌手のAnne-MarieとDJ・ラッパーのSean Paulが担当しています。
プロデューサーはClean BanditのJackに加え、Mark RalphとSteve Macが担当しています。
作詞はIna Wroldsenが担当しました。
「Rockabye」は日本で言う子守唄のことで、この曲では子供のために奮闘するシングルマザーについて歌っています。
ヒット曲の作り方 -制作の流れ・制作秘話-

Clean Banditのヒット曲「Rockabye」は、以下の順番で製作が進められました。
- ベースパターン作り
- ベースパターンをアレンジ
- Ina Wroldsenの作詞
- Sean Paulのラップを追加
- ストリングスのカルテットを追加
- Pushを使った制作
- Polysixのようなシンセサウンドを追加
- サビに出てくるカウンターメロディーの作成
- ポストコーラスの作成
- Anne-Marieのボーカル追加
- タムの追加
- カモメの鳴き声を追加
- Graceのチェロを追加
それでは、これらの手順の具体内容と製作秘話をご紹介します。
1. ベースパターン作り
・はじめにJackがベースとなるパターンを作る。
・基本的にビートと簡単なコードパターンのみのインスト版を作った。
2. ベースパターンをアレンジ
・プロデューサーのSteve MacとAmar Malikと共に、このベースパターンをアレンジした。
Steve MacはEd Sheeranと大ヒット曲「Shape of You」をコライトしている人物。
・SteveはJackが作ったパターンに装飾を加えていった。
・Mellotronで、ピチカートのようなサウンドに仕上げた。
・この時、高揚感のあるビートと共に、少しメランコリックなメロディーと軽やかなテーマのあるバージョンを作っていた。
3. Ina Wroldsenの作詞
・このバージョンをIna Wroldsenに聞いてもらい、作詞してもらった。
・彼女が歌詞を書いていた時は、「母親」の感情的な気持ちに入り込んだという。
Ina Wroldsenは、Steve Macと共にヒット曲「Alarm」を制作したアーティスト
4. Sean Paulのラップを追加
・Sean Paulが制作に加わり、ラップを加えてよりダイレクトな感じにしてくれた。
5. ストリングスのカルテットを追加
・このストリングスは、Paul Epwordのスタジオで行われた。
(このスタジオは、Adeleの多くの楽曲がレコーディングされた場所でもある)
・しかし、まだSeanに対する旋律としていいものではなかった。
・そこで、Jackお気に入りの「Valhalla Reverb」を使い、より壮大なサウンドにした。
・このリバーブをかけると、70年代〜80年代だけでなく、今っぽいサウンドにもできる。今回は70年代っぽくした。
・これらの処理のおかげで、「Seanがすべてのシングルマザーに向かって叫んでいるボーカル」に適したストリングスに仕上がった。
6. Pushを使った制作
・ライブで使っている「Push」を制作にも利用した。
・1パッドに1音追加できるので便利。
・コードプラグインを使い、それぞれの音にマイナーサードの音を追加するようセッティング。
・スケールプラグインを使って、MIDIが強制的にAマイナーキーになるようにした。
7. Polysixのシンセサウンド
・コードを鳴らしているパートは、KORG「Polysix」のプラグイン版を使用。
Polysix: 1981年発売のKORGのアナログシンセ
・開くとデフォルトのサウンドのように聞こえるが、カットオフのフィルターを使うといい感じのサウンドになる。
・このとき、やわらかいサウンドにするため、ポリフォニックにした。
8. サビに出てくるカウンターメロディーを追加
・高音のマリンバのような音を使って、サビにカウンターメロディーのようなフレーズを追加した。
・少しだけ終わりにピッチのモジュレーションをかけるLFOをかけている。少しワブルサウンドのようになる。
・Soundtoys社「Crystalizer」も使い、リバースディレイのようなサウンドも作った。
9. ポストコーラス(サビの次に出てくる、もう一つのサビのような部分)
・「Ace of Base」のようなサウンドにした。
Ace of Base: 90年代のスウェーデン出身のポップグループ。ダンスとレゲエを混ぜ合わせたようなサウンドが特徴。
・このサウンドを採用するかどうかについては、ものすごく話し合った。
彼らが少し神経質に思っていたCod Raggaeを押し下げてしまうのではないかという懸念があったからである。
Cod Raggae:カリブ系出身でない人が作ったレゲエのこと
・しかし実際聞いてみて、やっぱりこれでいいと思った。
・そして、オフビートにコードのサウンドを入れてCod Raggaeのようにした。
10. Anne Marrieのボーカル追加
・優秀なプロデューサー・ミキシングエンジニアのMark Ralphのメインスタジオ「Club Ralph」でAnne-Marieと出会い、レコーディング。
・ボーカルにはNEVEのプリアンプを使用。
・マイクはNEUMANN U87を使用。
・音量レベルをキープするためにTeletronicsのLA-2A(コンプレッサー)を使用
・MarkはPro Tools付属のコンプレッサー「Smack!」を使うのが好きだが、これでボーカルを破壊したようなサウンドにすることができる。
・Smack!を薄くかければ、よりよいサウンドに仕上がる。
・Smack!はGraceのチェロにも使用している
11. タムの追加
・はじめにPhil Collinsが作ったGateTomのサウンドが頭から離れなかった。
・これがのちに、Rockabyeにおける「最高のフィルイン」となる。
・Liveにサンプリングしたタムを使い、オートメーションでピッチを下げて使用。
・ゲートプラグインを使って、タムの余韻を少しカットした。
・リバーブ→ゲート→コンプレッサーの順にエフェクトをかけた。
12. カモメの鳴き声を追加
・Verse1(1番Aメロ)に、カモメの鳴き声が入っている
・このカモメの声をちらつかせることで、港の海の雰囲気を出している
・リバーブをかけて少し音に広がりを出した。
13. Grace(Clean Banditのメンバー)のチェロを追加
・ボーカルにも使ったPro Tools付属のコンプレッサー「Smack!」を使った
・リバーブは「Valhalla VintageVerb」を使用。
・ディレイプラグイン「H-Delay」はアナログモードをオフにして使用。
Clean Banditの使用DAW・機材
Ableton Live

Ableton Liveは、初心者向けの「Intro」、中級者向けの「Standard」、プロ向けの「Suite」の3種類あります。
特にダンスミュージックや打ち込みをしたい人、ライブパフォーマンスをするアーティストに人気のDAWです。

Pro Tools

Pro Toolsは、機能の充実度と支払いの形態で商品が異なります。
「永続ライセンス版」と「サブスクリプション版」
永続ライセンス:1回買うだけで、Pro Toolsを一生使えます。
サブスクリプション:1回買うと、1年だけPro Toolsが使えます。
サブスクリプション版は1年経過すると使用できなくなるので、再度購入する必要があります
「Pro Tools Studio」と「Pro Tools Artist」
Pro Tools Studio:機能に制限がないプロ向け
Pro Tools Artist:これからDTMをはじめたい初心者〜中級者向け
Push(ライブでも使っている)
以上で解説は終了です。
当サイトでは他にもヒット曲の制作術についてまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓