ミキシングのコツ

【歌ってみた・ボーカルMIX】よくある破裂音の問題とその対処法

今回は、iZotopeが解説する「ボイスレコーディングにおける破裂音の問題を修正する方法」をまとめました。

歌ってみたや音楽制作など、ボーカルレコーディングのときによくあるのが「破裂音」の問題です。

ここでは、そもそも破裂音とは何なのか、どのように対処すればよいかについて解説していきます。

そもそも破裂音(Plosives)とは?

破裂音(Plosives)とは、一度息の流れを止め、その後一気に吐き出すことによって得られる子音のことです。

日本語で言うとタ行(t)、ダ行(d)、パ行(p)、バ行(b)、カ行(k)などが当てはまります。
有声破裂音は「b,d,g」、無声破裂音は「p,t,k」

音楽においては、強い息の吐き出しによって音が割れてしまったり、不必要に低音域を含んでしまうことが多いため、適切な処理が必要とされている音です。

特にボーカルでは「p」「b」「d」「t」「k」が問題になりやすく、「p」に関しては「p-pops」と呼ぶことが多いです。

ポップフィルターやウィンドスクリーンなどを使ってレコーディングをすれば、この破裂音の問題が起きづらくなります。

しかし、これらを使用していない場合は(もしくはこれらを使用している場合でも)、破裂音によるサウンドの問題が起きるため、適切に処理する必要があります。

ボーカルにおける破裂音(p-pop)問題の対処法

破裂音が発生すると、低音の「ボン」とした音が不必要に多く含まれることがあります。

この問題に対処するには、120Hz付近からローカットフィルター(もしくはハイパスフィルター)を使用し、不必要な低音を減らすとよいでしょう。

しかし、低音域をすべてカットしてしまうと、必要な低音域まで失われてしまったり、音のクオリティに影響が出てしまうことがあります。

時には「必要な低音域」もあるため、上手に対処しなくてはいけません。

iZotope「RX De-plosive」を使って破裂音を上手に対処

ここでおすすめするのが、iZotope社の「RX De-plosive」です。

名前の通り、「破裂音=Plosivesを削除する」ために作られたプラグインです。

De-plosiveを使うと、自分の好みに合わせて破裂音を調整することができます。

実際の音を聞いてみると、とても聴き心地がよくなっていることがわかります

De-plosive in iZotope RX 5 Advanced Audio Editor | Before and After Audio Example

プラグイン内で調整するのは、以下3つのパラメーターのみです。

Sensitivity:破裂音を検知する量
Strength:破裂音を調整する強さ
Frequency Limit:調整する音の周波数のうち一番高い音の限界値

つまり、このプラグインを使えば「どれぐらい大きな破裂音を」「どれぐらいの強さで」「どれぐらいの高さの音まで削るのか」を調整できます。

「あまり低音域を削りたくない」「ちょっと抑える程度でいい」など、曲調や好みに合わせて自由に調整できるのがポイントです。

Before

【歌ってみた・ボーカルMIX】よくある破裂音の問題とその対処法
https://www.izotope.com/en/learn/removing-plosives-from-a-voice-recording.html

After

【歌ってみた・ボーカルMIX】よくある破裂音の問題とその対処法
尖って突き出た部分がなくなり、丸く収まっている:https://www.izotope.com/en/learn/removing-plosives-from-a-voice-recording.html

ボーカルにおけるよくある破裂音の問題とその対処法まとめ

以上が「ボーカルにおけるよくある破裂音の問題とその対処法」でした。

ボーカルでよくある破裂音

「p」「b」「d」「t」「k」

破裂音の問題

・低音域が不必要に多く含まれやすい
・音割れしやすい

破裂音の問題の対処法

・EQ等で不要な低音域を減らす
・iZotope RX De-plosiveを使う

当サイトでは他にもボーカルミックスに関する解説をまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓


人気記事

1

今回は、DTMでおすすめの民族楽器系音源・プラグインをまとめました。通常のポップスやオーケストラではあまり使われない楽器や、非常にニッチな国・地域特有の楽器が使える製品もまとめています。インド・中国・北欧・ケルト系・アラブ・ガムラン系など幅広くご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。

ディザリングとは? 2

今回はDTMにおける「ディザリング」についてまとめました。ディザリングは、DTMでは特にマスタリングをするときに重要な工程です。この記事では、ディザリングとは何なのか、そしてマスタリングをするときに気をつけるべきことについてご紹介していきます。

3

今回は、DTMプラグインの中で最も有名な製品の1つであるSpectrasonics社「Omnisphere 3」の新機能と使い方をまとめました。2025年10月に発表された今作ですが、前作の「Omnisphere 2」と何が変わったのか、新機能とその使い方を解説していきます。

4

今回は「カリッとしたボーカルにするためのMIXテクニック」をまとめました。全部で9個あり、組み合わせて使うことで非常に魅力的な音にすることもできます。初心者の方から上級者の方までお試しいただける内容ですので、ぜひご覧ください。

5

今回は、Chris Selimが解説する「マスタリング前に行うミックスの準備方法」をまとめました。マスタリングは楽曲を配信・リリースするための最終段階で、ミックスの後に行われる作業です。 ご自身でミックスとマスタリングを両方行う方も、マスタリングだけ他の人に頼む方も、ミックスの段階でやっておくべきことがわかりますのでぜひ参考にしてください。

6

今回はWaves社のリミッター「Lシリーズ」の違いをまとめました。Waves社はDTMerなら誰もが知っているメーカーですが、同社の人気リミッターのうち、頭に「L」がついた「L1」「L2」「L3」「L4」のリミッターはそれぞれどのような特徴があり、どのように使い分ければよいのでしょうか?

7

今回は「VUメーターの使い方とゲインステージングのやり方」をまとめました。 ミキシングやマスタリングでは「VUメーター」を使うことがありますが、そもそもVUメーターとは何か、なぜVUメーターを使うことが大切なのか、VUメーターの効果的な使い方について解説していきます。

8

今回は「音楽・オーディオにおける真空管(Vacuum Tubes)とは何か?」をまとめました。音楽やオーディオ関連の機材について調べていると「これは真空管だから音がいい」など、「真空管=何だかいいモノ」のような会話を耳にすることもあるでしょう。そこで今回は真空管(チューブ)とは何か、なぜ真空管らしい温かみのある音が出るのかを解説します。

9

今回は、How To Write Songsが解説する「ヒット曲を作るソングライターがやっている7つの習慣」をまとめました。テイラー・スウィフト、エド・シーラン、レディーガガ、ジョン・メイヤー、スティング、ビートルズが実践する習慣もありますので、音楽のプロを目指す方はぜひ参考にしてください。

10

今回は、Waves社のリミッタープラグイン「L4 Ultramaximizer」の新機能と基本的な使い方をまとめました。最新作「L4 Ultramaximizer」は、これまでLシリーズを使ってきた方にもそうでない方にも非常におすすめできるプラグインですので、ぜひチェックしてみてください。

-ミキシングのコツ