コード進行

ポップスの曲をリハーモナイズする方法①【ジャズフュージョン】

普段よく聞いているポップスの曲をかっこよくリハーモナイズしてみたいけど、どうやったらできる?

今回はこのような疑問にお答えする内容です。

Extreme jazz fusion reharmonization

ベーシストであり、数々の音楽理論の解説動画をアップしているAdam Neelyが解説する「ジャズフュージョンスタイルのリハーモナイズ」をまとめました。

この記事では「ポップスの楽曲をジャズフュージョンスタイルにリハーモナイズする方法」のうち、以下3つについて解説します。

  • ダイアトニック・リハーモナイゼーション
  • ノンサイクリックコードとサイクリックコード
  • ハーモニックリズム

ポップスの楽曲をジャズフュージョンスタイルにリハーモナイズするとこうなる

まずは、動画の冒頭をご覧ください。

0:03~0:13

Extreme jazz fusion reharmonization

こちらは、解説者・Adamがポップスの楽曲をリハーモナイズしたものです。

ここからは、コードをどのように変えたらこのようなアレンジができるのかを解説していきます。

リハモのやり方1:ポップスの楽曲を選ぼう

まずは、好きなポップスの楽曲を選びましょう。

今回は、現在チャートにランクインしている楽曲から選んでみます。

エド・シーランの「Shepe of You」が1位になっているので、今回はこの楽曲をリハーモナイズしてみましょう。

Ed Sheeran - Shape of You (Official Music Video)

リハモのやり方2:曲の構成をチェック

次に、曲がどんなコードでできているかをチェックしていきます。

原曲はCmキーですが、今回はDmキーに直しています。

1:44~1:55

Extreme jazz fusion reharmonization


画像:動画より

サビはこのコード進行になっています。

Dm Gm - Bb C

2小節で1つのかたまりになっていて、これが繰り返される構造になっています。

さて、ここにどんなスパイスを加えていくか、考えてみましょう!

リハモのやり方3:ダイアトニック・リハーモナイゼーションを使う

まずは、ダイアトニック・リハーモナイゼーションを使ってみます。

マイナーキーの曲において、曲の雰囲気を変えたい時は「レラティブ・メジャーキー」のコードを使うのが手っ取り早いです。

「五度圏」の表を見るとわかりますが、Dマイナーキーのレラティブ・メジャーキーはFメジャーキーです。


画像:https://dn-voice.info/music-theory/godoken/より

つまり、Fメジャーキーで使われているコードを「借りてくる」ことができます。

元は

Dm Gm - Bb C

でしたが、これを

F F/A - Bb C

このように変えることができます。


画像:動画より

実際の音がこちら(2:05~2:16)

Extreme jazz fusion reharmonization

かなり雰囲気が変わりました。

コードを変えることが、曲のムードを変えるのにどれだけ影響があるかがお分かり頂けたかと思います。

メロディーもちょっと変える

このリハーモナイズをするとき、メロディーも少し変えてOKです。

今回は、リハーモナイズ後のコードにフィットするよう、もともとはDだった音をFに変えている部分があります。

コードとメロディーがきれいにマッチするよう、メロディーにも気をつけてみましょう。

メロディーを変えずに、ダイアトニック・リハーモナイゼーションをしたい時は?

とはいえ、

メロディーは変えたくない。
でもダイアトニック・リハーモナイゼーションのテクニックは使いたい…

というときもあるでしょう。

ここで使えるのは、「ノン・サイクリック・コード」です。

リハモのやり方4:ノン・サイクリック・コードを使う

循環コード(サイクリック・コード、Cyclic Chord)とは、1つのストーリーが短いコード進行の中で完結するものを指します。

ダンスミュージックやポップスでよく使われ、今回取り扱っている「Shape of You」でも使われています。

循環コードの例

Dm Gm – Bb C
Dm - G7 - C
C - Am - Dm - G
C - Fm - C - Bb

サイクリック・コードは短くシンプルで使いやすいのですが、それゆえにストーリー性のないように聞こえたり、使えるコードが少ないなど、音楽的に制限される部分も出てきます。

しかし、もしこのコード進行をさらに延長することができるとしたら?

今回の楽曲で言うなら、「2小節で1つのかたまり」にしているところを、「4小節で1つのかたまり」にすることができたら…?

このように考えたのが「ノン・サイクリックコード」で、シンプルなコード進行にストーリー性を持たせてアレンジすることができます。

ノン・サイクリック・コードを使ってみよう

それでは、実際にノン・サイクリック・コードを使ってみましょう。

2:57~3:08

Extreme jazz fusion reharmonization


画像:動画より x2

F Gm - Bb A7

Dm Bb - Gm C

原曲の「2小節でひとかたまり」よりも、ストーリー性のある響きになりました。

最初はFメジャーコードから始まり、2小節目の最後はA7コードにしています。

このA7コードはDマイナーキーのV7(ドミナントセブンスコード)で、3小節目にDマイナーコードへと進行します。

落ち着いた印象のある進行です。

実はこれは、「ハーモニックリズム」のおかげでもあります。

リハモのやり方5:ハーモニックリズムを意識してアレンジする

ハーモニックリズム(Harmonic Rhythm)は「コードがどれぐらいのスピードで変化していくか?」を表すもので、「ハーモニックテンポ」とも呼ばれています。

今回の場合、2拍ごとにコードが変わっているので、ハーモニックリズムは「2拍」です。

ハーモニックリズムを変えてみる

しかし、もう少しコード進行にストーリー性を持たせるために、そのストーリーに沿ってハーモニックリズムをスピードアップさせてみたらどうなるでしょうか?


画像:動画より

F Gm - Bb C A7/C#

Dm Bb Am - Gm C

このような進行にしてみました。

2小節目と3小節目には、2分音符・4分音符・4分音符と、音の長さを短くしたパターンを2つ入れています。

ハーモニックリズムを変えてみるだけで、コード進行によりストーリー性が加わったことがわかります。

もっとジャズらしいリハーモナイズをするには?

さて、ここまでご覧いただいた皆さんの中には、「もっとジャズっぽいリハーモナイズをする方法を知りたいんだけど...」と思っている方もいらっしゃると思います。

そこで次回は、コード進行をよりジャズらしくする方法をご紹介します↓


人気記事

1

今回は、DTMプラグインの中で最も有名な製品の1つであるSpectrasonics社「Omnisphere 3」の新機能と使い方をまとめました。2025年10月に発表された今作ですが、前作の「Omnisphere 2」と何が変わったのか、新機能とその使い方を解説していきます。

2

この記事では、世界中の作曲家・音楽プロデューサーが使っているおすすめのブラス(金管楽器)音源をご紹介します。同じ楽器でも音源によって音色が少し異なりますので、複数持っていると使い分けることができるほか、レイヤーしたときもリアルさと壮大さを増すことができます。

3

今回は「DTMer&ボカロPには外付けHDDよりNASをおすすめする3つの理由」をまとめました。NASはDTMerや動画編集者など「大容量のデータを管理する人」「外付けHDDをどんどん買い足さなければならない人」にはとてもおすすめですが、なぜ外付けHDDよりNASをおすすめするのか、その理由を3つご紹介します。

4

今回は、音楽プロデューサーのNathan James Larsenが教える「プロのようにポップ・ファンクのブラスを作る方法」をまとめました。プロがどのようにしてブラスを打ち込んでいるのか、コツを8つご紹介します。

5

今回はボーカル定番マイク「SM7B vs SM58」をまとめました。ボーカルやギターのレコーディングによく使われるのが、SHURE社のSM7BとSM58です。どちらも超定番のマイクですが、一体何が違うのでしょうか?この記事ではそれぞれの特徴をじっくりご紹介しながら、どちらのマイクを選ぶべきか、その基準を解説します。

6

今回は、初心者からプロまで使えるおすすめのDTMスピーカー21選をまとめました。 この記事では、以下2つの条件を満たしているスピーカーだけをご紹介します。 ・2025年1月現在、日本の通販で誰でも新品 ...

7

今回は、音楽プロデューサーのIZZYが解説する「プロのようなボーカルミックスをする秘密の公式」をまとめました。作曲においてプロとアマチュアを分けるポイントの1つが、ボーカルミックスのクオリティです。この記事では、どのようにすればプロのようなボーカルMIXができるのかを解説していきます。

8

今回は、音楽好きの方や音楽家・DTMerにおすすめのふるさと納税返礼品をまとめてご紹介します。楽器本体、楽器関連機器、パソコン関連機器、音楽関係のチケット、音楽関係の雑貨など、音楽に関係する返礼品は非常にたくさんあります。気になる返礼品があれば、ぜひチェックしてみてください!

9

今回は、「Sonarworks SoundID Referenceの使い方」をまとめました。

DTMをするなら絶対に持っておきたいこの製品について、なぜこの製品がおすすめなのか、どの種類を買うべきなのか、具体的な使い方と測定方法をご紹介します。

-コード進行
-,