今回は、Zen Worldが教える「Divaの使い方コンプリードガイド」のうちフィルター(Filter)に関する部分をまとめました。
Divaを持っているけどイマイチ使い方がわかっていない…という方も、このシリーズを見れば「これでどんな音も自分で作れるようになる!」というレベルまで到達できます。
このシリーズを見て、Divaマスターになりましょう!
Divaの使い方 コンプリートガイド一覧
はじめに:今回解説する機能とパラメータ一覧
今回は、以下の機能やパラメータについて解説します。
・5つのフィルターモード(Ladder、Cascade、Multimode、BITE、Uhbie)
・CUTOFF(カットオフ)
・12dB/24dBスイッチ
・EMPHASIS(エンファシス)/ RES(レゾナンス)/ PEAK(ピーク)
・モジュレーションソース
・KYBD(キーフォロー)
・FM [OSC1] / FM [VCO1]
・Rough/Cleanスイッチ
・REV(リビジョン)
・BR/BPスイッチ
・MORPH(モーフィング)
・ハイパスフィルター(HPF、post、pre、BITE)

今回はわかりやすいよう、シンプルな音で解説を進めます。
まずはじめにDiva画面中央やや右にある「PRESETS」タブでプリセットブラウザーを開き、こここから「8 TEMPLATES」→「INIT Minimono」のプリセットを選びます。
非常にシンプルな音ですので、フィルターの効果を確認するのに便利です。
Divaで使える5つのフィルターモード
Divaでは、5つのフィルターモードを使うことができます。

どのフィルターを使うかによって、使えるパラメーターも異なります。
ちなみに名前の前に付いている「VFC」は「Voltage Controlled Filter」という意味です。
VCF Ladder
「Classic 24dB per octave Ladder Filter」は、あの有名な「moog」のようなモノフォニックハードウェアの動きをモデルとしたタイプのフィルターです。

VFC CASCADE
VFC CASCADEは、前述のVFC Ladderよりもクリアなサウンドが特徴のフィルターです。
主なパラメーターは、VCF Ladderとほぼ同じです。

VCF MULTIMODE
VCF MULTIMODEは、ハイパスフィルターとローパスフィルターを追加したタイプのフィルターです。
クラシックなポリフォニックシンセサイザーについていたフィルターをモデルとしています。

VFC BITE
VCF BITEは、他のフィルターに比べて機能もデザインもスッキリとしており、サウンドも大きく異なるタイプのモデルです。
音のトーンはインプットレベルやリビジョン(REV)の数値によっても異なります。

Uhbie
Uhbieは、他のフィルターにはない「BR/BPスイッチ」や「Morph」が特徴のモデルです。
CUTOFFに対してモジュレーションを2種類かけることができ、さらにBRフィルターもしくはBPフィルターに対してもモーフィングやモジュレーションをかけることができます。

ハイパスフィルター(HPF)

TRIPLE VCO以外のオシレーターでは、画面中央でハイパスフィルター(HPF)の設定ができます。
ハイパスフィルターはパラメーターを上げれば上げるほど低音域から中音域がカットされていき、高音域だけが残ります。
そのため、不要な低音域をカットしたいときにおすすめです。
HPF post:画面一番右側にあるメインのフィルターの後にハイパスフィルターをかけます
HPF pre:画面一番右側にあるメインのフィルターの前にハイパスフィルターをかけます
HPF BITE:画面一番右側にあるメインのフィルターの前にハイパスフィルターをかけ、さらにPEAK(レゾナンス)やモジュレーション、リビジョンなども設定できます

HPF postにおいては、「BOOST」を選択すると低音域がブーストされます。
各フィルターについている各パラメーターについて
前述の通り、Divaでは5種類のフィルターが使えます。
デザインや使えるパラメーターは多少異なるものの、多くのパラメーターが共通していますので、ここから1つずつ解説していきます。
CUTOFF(カットオフ)

ローパスフィルター(ハイカットフィルター)です。
音をこもらせたり、不必要な高音域をカットすることができます。
ベースサウンドを作りたいときは、このCUTOFFで高音域をカットしても良いでしょう。
フィルターの種類変更

VCF MULTIMODEでは、「ローパスフィルター」「ハイパスフィルター」「バンドパスフィルター」の3種類から選ぶことができます。
12dB/24dBスイッチ


※VCF CASCADEでは、デフォルトが24dBです。12dBスイッチを押すと12dBになります。
12dB/24dBスイッチでは、カットオフの勾配を決めることができます。
12dBの方が勾配がゆるやかになり、24dBの方が急勾配のカーブになります。
わかりやすいよう、Pro-Qで12dBの勾配と96dBの勾配の例をご紹介します。

※12dBのローパスフィルターの例

※96dBのローパスフィルターの例。数字が大きいほど断崖絶壁になる。
この12dB/24dBスイッチは、特にサブベースなど、特定の音域の範囲内でしか鳴らしたくない時に便利です。
逆に倍音成分も自然に含ませたい時は、24dBなどの大きい数字よりも、12dBの方が良いでしょう。
EMPHASIS(エンファシス)/ RES(レゾナンス)/ PEAK(ピーク)




EMPHASIS(エンファシス)、RES(レゾナンス)、PEAK(ピーク)の3つは同じ意味で、CUTOFFで設定した周波数帯域付近をどれだけ持ち上げるかを設定します。

わかりやすくEQで表した例が上記の画像です。
例えば700Hz付近でCUTOFFを設定し、EMPHASIS/RESONENCEを高くすると、このようにカット際の周波数帯域だけブーストされます。
このようにすると、CUTOFFを動かした時に音が「みょーんみょーん」「ウィーンウィーン」のようなニュアンスになり、おもしろいサウンド作りができます。
モジュレーションソース


モジュレーションソースは「フィルターをどのように動かすか・何を基準に動かすか」を決めるパラメーターです。
「ENV2」「LFO2」などさまざまなソースを選ぶことができ、それに合わせてフィルターがかかるようになります。
▼マークを押すと、モジュレーションソースを変更できます。
KYBD(キーフォロー)


KYBD(キーフォロー)は、いま鳴らしている音程(鍵盤の位置)によってフィルターの開き具合を動かすかどうかを決めます。
値が高いと、例えば「高い音程の時だけフィルターが開いて高音域が良く聞こえるようになり、低い音の時はフィルターがかかってサブベースの音が鳴る」などの調整が可能です。
音程によってフィルターの動きを変えたくないときは、ゼロに設定すると良いでしょう。
FM [OSC1] / FM [VCO1]



FM [OSC1]とFM [VCO1]では、音に輝きや人工的な質感などを加えることができます。
名前の通り、OSC1やVCO1の設定によってどのようにサウンドが変わるかが異なります。
ROUGH/CLEAN(ラフ・クリーン)

VCF CASCADEについているROUGH/CLEANスイッチは、トーンの質感を変えることができ、ザラつきを増やしたり、クリーンで明るいトーンに切り替えることができます。
REV(リビジョン)

REV(リビジョン)はVCF BITEについているパラメーターで、「1」「2」のいずれかを選択できます。
1と2で、サウンドが若干異なります。
※Divaは実機のアナログシンセサイザーをエミュレートしていますが、実機のアナログシンセサイザーは製造年によって製造場所・製造技術・製造工程などが年々変化し、改良され(本当に”改良”されたのか、その実感は人によって異なります)、Revision=修正というパラメーター名になったと思われます。そのため、実機には「Revision」という名前のパラメーターは存在しませんでしたが、その数々の実機をエミュレートしたものには、そのそれぞれの質感の違いもエミュレートした「Revision」というパラメーターが加えられています。
BR/BPスイッチ(Bandreject / Bandpass)

BR/BPスイッチははUHBIEについているパラメーターで、BR = BandrejectフィルターとBP = Bandpassフィルターを切り替えます。
Bandrejectフィルターは「指定した周波数帯域以外を通すフィルター」で、Bandpassフィルターは「指定した周波数帯域だけを通すフィルター」です。

※Bandrejectフィルターの例。指定した範囲の周波数帯域だけがカットされる。

※Bandrpassフィルターの例。指定した範囲の周波数帯域以外がカットされる。
MORPH(モーフィング)

MORPH(モーフィング)はUHBIEについているパラメーターで、前述の「BR/BPスイッチ」で決めたフィルターを使いながら、ツマミを左に振るとLP(ローパスフィルター)、右に振るとHP(ハイパスフィルター)の割合が大きくなります。
2つのフィルターの割合をなめらかにミックスできるのが大きな特徴です。
いろいろなフィルターを使ってサウンドメイキングをしてみよう
最後に、今回ご紹介したさまざまなフィルターを使ってサウンドメイキングをする様子をご紹介します。
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