ミキシングとマスタリングの違いって何?【プロのエンジニアが解説】
- 2019.03.09
- ミキシング・マスタリング
- ミキシング, マスタリング

DTMで作った曲をより美しく仕上げる工程といえば「ミキシング」と「マスタリング」。
この2つは一体何が違うのでしょうか?
今回は、iZotope社のDaniel Dixon氏による解説をかんたんにまとめてみました。
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1. 仕事内容
■ミキシング
・分割された各トラックのバランスをとる。
・EQ、コンプレッサー、パン、リバーブ処理などを行う。
(マスタリングよりもクリエイティブな作業が多い。)
・音同士の対立を減らし、グルーブをよりはっきりさせ、その曲で重要な要素を強調させる。
・1つ1つの判断や作業が、曲にどんな影響を与えるか考える。
■マスタリング
・ミキシングで行なったステレオミックスを扱う。
・聞こえ方をより良くするため、どんな環境で再生しても良いように音源を最適化し、販売用フォーマットに仕上げる。
・例えば1枚のアルバムを作る時、アルバムに優しいダウンテンポの曲、アップテンポな激しいポップスなど様々なジャンルが混在していた場合、1曲聴き終えた後スムーズに曲が変わるように聞こえるようにする。
・マスタリングは曲を作る過程で一番最後なので、マスタリングは音を変える最後の機会であり、ミスに気づける最後の機会でもある。
2. トラック数
■ミキシング
・プロデューサーが曲を作り終えた後に、全てのトラックを渡される。
・100トラックを超えることもある。
■マスタリング
・2mixファイル1つだけを扱う。
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3. 作業の流れ
■ミキシング
・EQ、フィルタリング、オートメーションなど、よりクリエイティブなタスクを行う。
・ものによっては数日かかる。
・長時間の作業になりやすいので、耳の疲労を考慮する必要がある。
■マスタリング
・ミキシングよりもやることが限られている。
・以下5つのことを考え、行う。
2. ジャンル、曲のキャラクター、リリースフォーマットに沿って音量を設定する。
3. トータルバランスを整えるために、EQやコンプレッサーを使って音量レベルを揃える。
4. EPとアルバムに入っている各曲がどのようにはたらいているか考慮する。
(各曲のキャラクターやラウドネスが一致・均一化されているか?)
5. 視聴フォーマットをベースに、書き出しの準備をする。
(変換・リサンプリング・書類をまとめることも含まれる。)
4. 作業環境
■ミキシング
・アーティスト、プロジェクトによって作業スタジオを変える人も多い。
・モニター、ヘッドホン、PCなど、目的別に再生環境を変えることでバランスの問題に気づくこともある。
■マスタリング
・よく知っている場所(スタジオ)にとどまって作業することが多い。(1曲1曲場所を変えて作業したりしない)
・ノイズを聞き取るために、周囲の環境を静かにするよう努める。
(もしエアコンをつけていたり、話し声が聞こえたり、外から自動車の音が聞こえる状態だと、その雑音で曲の静かな部分がよく聞こえなくなる可能性がある。)
・クリエイティブなプロセスの中で、楽曲の配信・配布前最後に携わる人間として、マスタリングエンジニアは「なんとなく」や当てずっぽうではいけない。
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5. 使用ツール
■マスタリング
・どのフォーマットでその音楽がリリースされるかによって、DAWだけでなくマスターに関する別の書類を作る用のツール、プラグインを用いることもある。
・最近はストリーミングサービス用のメタデータ(アーティスト名、曲名、尺など)もマスタリングエンジニアが準備・提出することも。
・リミッターはマスタリング独自のツール。ラウドネスを調整し、配信先の適正値に合わせる。
まとめ
これら5つを踏まえると、
マスタリングは「曲を配布する目的に沿って音聞こえ方を調整する作業」
と言えますね。
この2つを知っておけば、今後の音楽制作で「ミキシング・マスタリングって何だ?」と困ることはないでしょう。
実際これらを担当することになっても、「ここまでは自分の担当だ」としっかり線引きすることができます。
またネットでテクニックについて調べる時にも役立ちそうですね。
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