アカデミー賞(オスカー賞)の音響編集賞(Sound Editing)と録音賞(Sound Mixing)って何が違うの?
今回はこのような疑問にお答えする内容です。
海外のTwitterで話題になった「アカデミー賞の音響編集賞と録音賞の違い」をまとめました。
アカデミー賞発表の際は「この違いがわからない!」という人が続出で、SNSでも毎年話題になります。
英語だと「Sound Editing」と「Sound Mixing」なので、混乱してしまう人が多いようです。
日本語でも、実際にどんなことをするのかはよくわからない方も多いと思いますので、ぜひこの機会に覚えておきましょう!
音響編集(Sound Editing)と録音賞(Sound Mixing)の違い

Light, Camera, Pod(@LightCameraPod)のツイートより
一言で言うと、音響編集(Sound Editing)は「音の作成とレコーディング」、録音賞(Sound Mixing)は「各音の聞こえ方の調整」がポイントです。
音響編集(Sound Editing)とは?
音響編集(Sound Editing)とは、サウンドの作成とレコーディングをすることを指します。
映画のストーリーに合わせて、音を作っていくことが役割に含まれ、効果音を作る役割でおなじみの「フォーリー」もこれにあたります。
たとえば、登場人物が話しているときにエアコンの音や電車の音を、それらと距離感を感じさせるように音を作っていく、などです。
スターウォーズ「最後のジェダイ」で言うと、オク=トーという惑星で、ルークのライトセーバーの音を木の葉がこすれる音と一緒に鳴らしているのがこれにあたります。
「オンセット」と「オフセット」
ちなみにこの解説文にある「オンセット」と「オフセット」についてざっくり解説すると...
オンセット
「撮影やレコーディングする場所で」という意味
オフセット
「撮影やレコーディングする場所以外で、また撮影やレコーディングが終わったあとに」という意味。
フォーリーは映像を撮り終えてからその映像に対して音をつけていきますので、「オフセット」となります。
録音賞(Sound Mixing)とは?
サウンドミキシングは、「映像に音をあてた後、各音のレベルを調整すること」を指します。
基本的には、撮影で録音された登場人物の会話と、効果音など別の場所で作られた音を自然に聞かせるようにするのが目的です。
たとえば…
遠くに電車が見える場面
→遠くから電車の音が聞こえるように調整する
その場面に緊張感を作りたい
→鳥の鳴き声にリバーブをかけてみる
"Sound mixing then refers to the postproduction after sounds are already inserted. The most essential goal is to meld the sounds seamlessly with the recorded dialogue. It could mean making that train actually seem distant or adding reverb to a bird’s squawk to create tension in a scene." — The New York Times
サウンドミキシングが重要な理由
ミキシングをする前の映画は、すごく雑に見えてしまいます。
そのため、ミキシングで音を完璧にし、視聴者が本当に映画の世界にいるような感覚にさせるのです。
映画が視聴者の注意を最後まで引き続けられたとしたら、それは「その映画のサウンドがよかった」ということになるでしょう。
"A film can sound really rough before it’s been mixed, so a lot of times, it’s about making it sound so perfect you feel like you’re there. If a movie draws your attention and holds you fully to the end, then it means the sound was good." — The Seattle Times
ちなみに、一躍話題になった2020年のアカデミー音響編集賞・録音賞受賞作品はこちらです!
音楽の勉強に、ぜひ見ておきたいですね。
音響編集賞「フォードvsフェラーリ」
録音賞「1917 命をかけた伝令」
ちなみに2019年の録音賞は、あの「ボヘミアン・ラプソディ」でした。
以上で解説は終了です。
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