ASMRの音声を録りたいんだけど、マイクってどういう基準で選べばいいの?
今回はこのような疑問にお答えする内容です。
クリエイター向けにニュース・HowTo・レビュー記事を更新しているウェブメディア「Creator Handbook」が解説する「ASMR用マイクの探し方」をまとめました。
この記事ではこのうち、「ASMR用マイクの選び方」に関する部分をまとめています。
ここからは、マイク選びに重要な「ノイズ」「ダイナミックorコンデンサー」「指向性」「接続タイプ」「マイク以外のアイテム」の5つのポイントに関して解説していきます!
マイク選びのポイント1:「低ノイズフロア」であること
ASMR用のマイクを選ぶときには、まず「低ノイズフロア」のマイクを選ぶ必要があります。

「ノイズフロア」という名前でも呼ばれる「セルフノイズ」は、部屋の中で特に音が鳴っていないのにマイクが拾ってしまうノイズのことを指します。
ASMR動画は通常、とても静かで、「ASMRトリガー」と呼ばれる心地いい音を鮮明に録音することが必須になります。
そのため、目的の音をしっかりレコーディングするためには、ノイズを出さない・拾いにくいマイクを選ぶ必要があります。
基準としては「15dBA以下」のノイズフロアのマイクが良いでしょう。
(マイクのスペック欄に書いてあります)
このノイズフロアの値が大きいと、レコーディング中は終始「ASMRトリガー」の音を邪魔してしまうことになります。
SNRもチェックしよう
セルフノイズは、「信号対ノイズ比」とも関係があります(イコールではありません)。
マイクのスペック欄を見ると「SNR」という数値も記載されているでしょう。
この「SNR」というのが、前述の信号対ノイズ比(Signal to Noise Ratio)です。
SNRは、マイクのセルフノイズと、実際にマイクを通ってきた「音の信号」の関係を表す値です。
SNRの数字が高いと、それだけ「純粋な音」を録ることができ、ノイズも少ないということになります。
こちらの値も、ノイズフロアと一緒にチェックしてみましょう。
マイク選びのポイント2:ダイナミックマイク or コンデンサーマイク

ASMR用のマイクを買おうといろいろな製品をチェックしてみると、実にさまざまなタイプのマイクを見かけると思います。
この中でもマイクは大きく2つに分けられており、「ダイナミックマイク」と「コンデンサーマイク」があります。
ダイナミックマイクの特徴
ダイナミックマイクは、耐久性に優れ、特別な電源などもいりません。
しかし、コンデンサーマイクに比べて音の繊細さは欠けます。
マイク自体からノイズは出しにくいですが、製品によっては拾った音を信号に変換する際にノイズが発生する場合もあります。
コンデンサーマイクの特徴
一方、コンデンサーマイクは電源が必要で、内臓のアンプがノイズフロアを発生させてしまいやすく、ダイナミックマイクに比べて耐久性に欠けます。
しかしとても繊細に音が録れ、拾える周波数のレンジも広いため、ASMRのように静かな音もしっかり録りたい場合にはおすすめです。
コンデンサーマイクの中でも、大きめのコンデンサーマイクの方がノイズを発生させにくく、低音もしっかりレコーディングできます。
マイク選びのポイント3:指向性

マイクの指向性(ポーラーパターン)は、「マイクに対してどの方向から鳴っている音を拾うか?」を表すものです。
オムニディレクショナル(全指向性・無指向性)
マイクに対して360度すべての方向から鳴った音を拾う
カーディオイド(単一指向性)
マイクに対して正面からの音のみを拾う
ハイパーカーディオイド・スーパーカーディオイド
カーディオイドに比べて、さらに音を拾う範囲を限定したタイプ
どの指向性がいいの?
指向性が高いマイク(音を拾う範囲が狭いマイク)は、音を拾う範囲が限定されているため、ノイズが入りにくいのがメリット。
ただし、録音したい音を出す物体が動いてしまうとその音を拾いにくくなるので、動きに制限が出てしまうのがデメリットです。
単一指向性マイクなら正面から出た音が拾えますし、他のタイプに比べてノイズも拾いにくいので、おすすめです。

ステレオマイクは必要?
多くの人は、ASMR動画を見るときにヘッドホン・イヤホンを使うでしょう。
これは、ステレオレコーディングの効果をしっかり実感するためです。
このように、ヘッドホンで聞いたときにしっかり「左右」が分かれているように聞かせるためには、左右2チャンネルのマイクでレコーディングする必要があります。
そのため、「ステレオレコーディングできるマイク」もしくは「全く同じモデルのマイクを2本用意し、それぞれ左右の個別チャンネルとして使う」のいずれかがよいでしょう。
(右耳用に1本、左耳用に1本)
バイノーラルレコーディングってどう?
バイノーラルレコーディングは、立体感のあるサウンドでレコーディング方法です。
バイノーラルレコーディングをすることで、まるで自分がその音を直接聞いているかのような、同じ部屋にいるような感覚をリスナーに体験してもらうことができます。
バイノーラルレコーディングは従来のステレオレコーディングとは異なり、人間の耳と耳の距離を考慮してレコーディングすることで、より「実際に人間の耳で聞こえる音」に近いサウンドを実現できます。
【予算別】バイノーラルレコーディングができるおすすめのマイク
それではここでは、値段別にバイノーラルレコーディングができるマイクをご紹介します。
【1万円代】バイノーラルレコーディングができるイヤホンマイク「ROLAND CS-10EM ASMR」
【2万円代】バイノーラルレコーディングができるマイク「ZOOM H3-VR」
【2万円代】バイノーラルレコーディングができるマイク「Radius RM-ATZ19」
【プロ用マイク】NEUMANN KU100 ダミーヘッド

その他おすすめのマイクは、こちらの記事でご紹介しています↓
バイノーラルレコーディングの仕方
2本のマイクを用意し、人間の耳のおおよその距離とされていの7インチ(約18cm)分の距離を空けて設置しましょう。
こうすることで、よりリアリティのあるサウンドをレコーディングできます。
ちなみに耳の形を形どったマイクもあり、こちらはこの距離を考えて設計されています。
完璧ではありませんが、このようにバイノーラルレコーディングをすることで、リスナーに没入感のあるリスニング体験を提供することができます。
「何の音を録りたいのか」で変わる
バイノーラルレコーディングなどのレコーディング方法についてご紹介してきましたが、結局のところ「どんなASMRの音を録りたいか」によって、どのレコーディング方法が良いかは変わってきます。
例えば指のタッピングやスクラッチ音などであれば、シンプルにマイク1本でレコーディングしてもよいでしょう。
一方、「ロールプレイ系」などを含むタイプなら、バイノーラルの方がより没入感を与えることができ、適していると言えるでしょう。
マイク選びのポイント4:接続タイプ

ここでいう「接続タイプ」とは、「マイクとパソコンをどのようにして繋げてレコーディングするか?」を表します。
ほとんどの人は、パソコンにUSBケーブルを挿して繋げるだけの「USBタイプ」を好むでしょう。
しかし、ミキサーやオーディオインターフェースを使うのであれば、「XLR接続」が最適です。
XLRマイクはプロも使うようなマイクにも使われており、耐久性に優れ、壊れてもすぐ直しやすいというメリットがあります。
マイク選びのポイント5:マイク以外のアイテム

ここからは、マイク以外に重要となるアイテムについて解説していきます。
マイクスタンド
ショックマウント付きのマイクが良いでしょう。
スタンドやショックマウントがついていれば、不要なノイズが拾いにくくなります。
ASMRに最適且つ有名どころのマイクは、セットにショックマウント・スタンドが付属していたり、専用のショックマウントがあります。
音響設備
レコーディングをする部屋の「部屋鳴り」や不必要なリバーブ(残響)もしっかりケアする必要があります。
特にASMRは静かな部屋でレコーディングする必要がありますから、部屋鳴りが録れてしまうとクオリティを下げることにつながってしまいます。
音が壁に反射しすぎないよう、壁にブランケットを貼ったり掛けたりして、余計なリバーブをカットしてみましょう。
このような吸音材を壁に貼ったり机に設置するのも、もちろん効果的です。
ミキサー・プリアンプ
ミキサーやプリアンプを使えば、レコーディングのプロセスをより細かくコントロールすることができます。
ミキサー卓があれば、複数のマイクを使うこともかんたんになります。
おすすめのASMRマイクと選び方まとめ
今回は、おすすめのASMRマイクと選び方をご紹介しました。
マイク選びのポイント
- 「低ノイズフロア」であること
- ダイナミックマイク or コンデンサーマイク
- 指向性(全指向性、無指向性、単一指向性など)
- 接続タイプ(USB接続、XLR接続など)
- マイク以外のアイテム(マイクスタンド、ショックマウントなど)
これらのポイントを抑えれば、今の自分にとってベストなマイクと出会えます!
マイク選びの際は、ぜひご活用ください。
当サイトでは、他にもマイクやレコーディングに関するテクニックをご紹介していますので、マイクの力を最大限発揮するためにもぜひご覧ください↓