音楽理論

【音楽理論】「フーガ」「対位法」とは?【クラシック音楽】

クラシック音楽を、理論的に解読して楽しみたい!
フーガとか対位法って言葉はよく聞くけど、これって何?

今回はこのような疑問にお答えする内容です。

How to Listen to Classical Music: Fugues

クラシック音楽・映画音楽を中心に解説動画をアップしているInside the Scoreによる「クラシック音楽の聞き方・フーガ」をまとめました。

「対位法」や対位法を使った楽曲形式「フーガ」は、クラシック音楽においてよく聞く言葉です。

しかし、具体的にどういうものなのか、何が面白いのかを知っている方は少ないかもしれません。

そこで今回は、クラシック音楽を理論的に楽しむ方法、フーガ・対位法とは何かについて徹底解説していきます!

「フーガ」とは?

「フーガ」とは

フーガは、対位法を使ったテクニックのことです。

そこまで厳密なものではなく、作曲における一つの「プロセス」「手段」として考えられます。

例えば「ソナタ」などは厳密に形式が決まっていますが、フーガはそうではありません。

楽曲がすべて「フーガ」で作られている作品を「フーガ」と呼びます。

ヘンデルの「メサイア」や、ベートーベンの交響曲第9番、ベンジャミン・ブリテンの「少年のための管弦楽入門 No.25」、レオナルド・バーンスタインの「Cool(映画・West Side Story)」など、数世紀に渡って幅広く使われている手法です。

West Side Story - Cool (1961) HD

フーガには「THEME」と「IMITATION」がある

フーガは、決まった声部(第1声・第2声など)の数を使い、フレーズを「模倣」しながら作られます。

たとえばこちら↓


画像:動画より

「THEME」がメインのフレーズで、「IMITATION」は、THEMEを模倣したフレーズです。

確かに、IMITATIONと書かれた部分はTHEMEと形が似ていますね。

実際に演奏してみると…(2:04~2:14)

How to Listen to Classical Music: Fugues

「4声」の意味


画像:動画より

例えば「4声(4 Voices)」の楽曲の場合は「4つの独立したパートがある」ということになります。

それぞれ違ったフレーズを演奏しますが、同時に聞くとキレイなハーモニーになります。

対位法とは?


画像:動画より

上の画像のように、横軸で見ると全く別のパートを演奏しているように見えますが…


画像:動画より

このように縦軸で見ると、それぞれがキレイなハーモニー(コード)になるように作られていることがわかります。

これが「対位法」です。

対位法を使う意味とは?

対位法を用いて作曲をするのは、最初は少し大変です。

しかし、ある程度のルールや縛りを理解し、それを使うことで、とても芸術的な楽曲を作ることができます。

また、作曲中に出てきた問題も、対位法によって解決できることがあります。

フガート(Fugato)とは?

フーガと似ている言葉の一つに「フガート」があります。

これは、楽曲内で部分的にフーガが使われているセクションのことを表します。

たとえばベートーベンの交響曲第3番を見てみましょう。


画像:動画より

楽曲内で、部分的にフーガが使われています。

「フーガ」は「全部フーガでできた楽曲」を指すので、部分的に使われている場合は、その部分的にフーガが使われている部分を「フガート」と呼びます。

フーガの例と使われる要素

それではここからは、バッハの「The Well-Tempered Clavier」に収録されているCマイナーキー&4声の例を使って、実際のフーガの例を見ていきます。

そしてその中にはフーガでよく使われる「要素」がいくつかありますので、そちらを解説していきます。

フーガの要素1:サブジェクト(Subject)


画像:動画より

まずはメロディーのアイデアとなる「サブジェクト」です。

フーガでは、まず第1声によるサブジェクトから楽曲がスタートします。

また、第3声もこのサブジェクトを担当します。

フーガの要素2:アンサー(Answer)


画像:動画より

次に出てくるのは「アンサー」です。

これは第2・4声が担当し、サブジェクトを作り変えつつ、キーはドミナント(5th)にしています。

また、アンサーの中にもいくつか種類があります。


画像:動画より

リアルアンサー(Real Answer)

サブジェクトを単純にドミナントに移調(トランスポーズ)したもの

トーナルアンサー(Tonal Answer)

ハーモニーの関係で、少し変更を加えて移調したもの

ちなみに、アンサーにおいてはどちらを使ってもOKです。

フーガの要素3:カウンターサブジェクト(Counter Subject、対主題)

フーガにはもう1つの要素「カウンターサブジェクト」があります。

「フーガでは絶対に使わなくてはいけない!」ということではありませんが、フーガの1要素として使われることがあります。

画像:動画より

カウンターサブジェクトは、サブジェクトの次にアンサーが入った時、アンサーと同時に鳴らされるフレーズです。

5:27~5:33

How to Listen to Classical Music: Fugues

他にも、このようなカウンターサブジェクトがあります↓


画像:動画より

カウンターサブジェクト = 第2のサブジェクト

カウンターサブジェクトは、「第2のサブジェクト」とも言えます。

画像:動画より

サブジェクトと対比させつつ、最後に同時に鳴らすと、美しく響くこともあります。

フーガの要素4:エピソード(Episode)

「エピソード」はサブジェクトを伴わないフーガの部分のことです。

フーガの要素5:おけるカノン(Canon)

フーガにおける「カノン」は、それぞれ別の声部が、楽曲内で同じフレーズを違うタイミングで演奏されることを指します。

言い換えると、サブジェクトが常に聞こえる状態になります。

画像:動画より

いろいろなカノン

カノンでは、異なるインターバルで演奏されることもあります。


画像:動画より

・ユニゾンのカノン(全部同じ音程)
・9thのカノン(長2度で重ねるカノン)
・7thのカノン

6:53~7:12

How to Listen to Classical Music: Fugues

フーガの要素6:オーギュメンテーション(Augumentation)


画像:動画より

サブジェクトの表現方法として、「オーギュメンテーション」というテクニックもあります。

こちらは常にゆっくりと進行させていく方法で、上の画像でいうと黄色いマーカーが引かれているラインです。

他の部分が8分音符や16分音符で細かく動いているのに対し、オーギュメンテーションの部分では4分音符でゆったりとメロディーが動いています。

フーガの要素7:ディミニューション(Diminution)

ディミニューションは、先ほどのオーギュメンテーションと逆のテクニックで細かい・短い音で構成されるサブジェクトのことを指します。

フーガの要素8:インヴァージョン(Inversion)とは?


画像:動画より

インヴァージョンは縦軸で影響し合うようにする方法で、サブジェクトの音の動きを真逆にします。

ハーモニーの関係でぴったり正反対ということは少ないですが、ほぼ正反対の動きをします。

7:46~7:51

How to Listen to Classical Music: Fugues

フーガの要素9:ストレット(Stretto)


画像:動画より

ストレットは、サブジェクトに対し1個以上のアンサーを重ねるテクニックです。

ストレットを使うと、サブジェクトを崩す・聞きづらくする効果があるのが特徴です。

「エピソード」と「ストレット」の違いはこちら↓

画像:動画より

上の譜面がエピソードの例、下の譜面がストレットの例です。

8:05~8:11

How to Listen to Classical Music: Fugues

フーガには使用ルールがあるの?

フーガでは「サブジェクト」と「アンサー」があるだけで、その他に厳密なルールはありません。

そのため、音がキレイに聞こえるのであれば、構成はどんな形でもOKです。

ダブル・フーガとは?

フーガは、さらに複雑にすることができます。

たとえば「ダブル・フーガ」では、2つのサブジェクトが同時に演奏されます。


画像:動画より

ちなみにバッハは、トリプル・フーガの楽曲も書いています。

バッハとフーガ

今回ご紹介した「フーガ」は、あの有名な作曲家・バッハを抜きに語ることはできません。

彼は数学的にも美しくフーガを取り入れることに長けており、フーガに関しては「The Well-Tempered Clavier(2冊)」を出版しています。

2冊それぞれ、24のプレリュードとフーガがそれぞれのキー(メジャーとマイナー)で書かれています。

これらをマスターすれば、フーガの可能性を惜しみなく発見できるでしょう。

未完成の「The Art of Fugue」

また、残念ながら未完成ではありますが、バッハは「The Art of Fugue」という本も書いています。

こちらもまた、とてもシンプルなアイデアの中にフーガのポテンシャルを感じさせる一冊となっています。

Bach - The Art of Fugue BWV 1080 - Sato | Netherlands Bach Society

以上が「フーガ」「対位法」の解説でした。

繰り返しになりますが、フーガはロジカルに音楽を作ることができる、とても面白いテクニックです。

作曲している方にとって勉強する価値は十分にありますので、ぜひ一度トライしてみてください!

ちなみに対位法をもう少しじっくり勉強してみたいという方には、こちらの書籍おすすめです。


人気記事

1

今回は、DTMでおすすめの和楽器プラグイン・音源をまとめました。それぞれ特有の音色・アーティキュレーション・奏法が使えるため、なるべくたくさん持っておくと目的に合ったサウンドを作りやすくなります。まだお持ちでない方は、ぜひチェックしてみてください。

2

今回は、DTMで挫折する人の共通点5つをまとめました。「今年こそDTMをマスターするぞ!」「今年こそ曲を作りまくるぞ!」と意気込んでも、結局1ヶ月も経たないうちに挫折してしまう方も少なくありません。今回はこの理由と対処法をご紹介します。

3

今回は、「Sonarworks SoundID Referenceの使い方」をまとめました。

DTMをするなら絶対に持っておきたいこの製品について、なぜこの製品がおすすめなのか、どの種類を買うべきなのか、具体的な使い方と測定方法をご紹介します。

4

今回は、大人気プラグインメーカーのCableguysが解説する「音にまとまりを出す方法4選」をまとめました。ボーカル、ギター、ベース、キーボード、ドラム...どれも1つ1つしっかり作っているのに、全体で聞くとなんとなくまとまりがなく、バラバラに聞こえる…こんなお悩みにお答えする「音にまとまりを出す方法」を4つご紹介します!

5

今回はボーカル定番マイク「SM7B vs SM58」をまとめました。ボーカルやギターのレコーディングによく使われるのが、SHURE社のSM7BとSM58です。どちらも超定番のマイクですが、一体何が違うのでしょうか?この記事ではそれぞれの特徴をじっくりご紹介しながら、どちらのマイクを選ぶべきか、その基準を解説します。

6

日本っぽい和風な楽曲を作りたいけど、どんなテクニックを使えばいい?今回はこの疑問にお答えする内容です。日本の伝統音楽で使われるスケールのうち、日本旋法(Japanese Mode)、ヨナ抜き音階、曙(あけぼの)音階、平調子、陰旋法(都節)、陽旋法(田舎節)、琉球音階、岩戸音階、律旋法、呂旋法について解説します。

7

今回は「音楽制作用にパソコンのパフォーマンスを最適化する方法」をまとめました。映像音楽制作などで何百トラックも扱っていても、DAWの動作が遅くならない方法があります。しかもこの記事でご紹介する方法は「すべて無料で実践できる上に、最低20%はCPU負荷を削減できる方法」です。ぜひお試しください。

8

今回は、初心者からプロまで使えるおすすめのDTMスピーカー21選をまとめました。 この記事では、以下2つの条件を満たしているスピーカーだけをご紹介します。 ・2025年1月現在、日本の通販で誰でも新品 ...

9

今回は、主にポップスやダンスミュージックで使えるシンセサイザープラグインをご紹介します。いずれも世界的プロも愛用する人気プラグインですが、それぞれ特色が異なりますので、できるだけたくさん持っておくと目的に合った音作りがしやすくなります。まだ持っていないプラグインがあれば、ぜひチェックしてみてください!

iLokが故障・盗難・紛失したときにやるべきことと、事前にやっておくべきことまとめ 10

今回は、DTMerにはおなじみの「iLok」が故障・盗難・紛失したときにやるべきことと、故障・盗難・紛失前にやっておくと安心する5つの項目をまとめました。万が一のときにどうするべきかを知っておくだけでも安心材料になりますので、ぜひご覧ください。

-音楽理論
-, ,