メロディー・構成

ヒット曲の作り方 メロディー・コード編【3つのテクニック】

Martin Garrix & Bebe Rexha - In The Name Of Love | Theory & Arrangement Breakdown

今回は、Pyramindが解説する「Martin Garrix & Bebe Rexha "In The Name Of Love"で使われているアレンジ術・音楽理論」をまとめました。

今回はそのうち、メロディーとコードに関するテクニックをご紹介します。

In The Name Of Love 徹底解剖シリーズ

原曲はコチラ

まずは、原曲をチェックしてみましょう。

かっこいいフューチャーベースサウンドが特徴で、Emキー(Eエオリアンキー)です。

Martin Garrix & Bebe Rexha - In The Name Of Love (Official Video)

この曲から学べる「メロディー作りの3つのパターン」

この曲のボーカルは特殊なエフェクトなどを使っているわけではないので、ほぼ完全にボーカリスト(Bebe Rexha)の実力で出来上がっています。

そのため、ボーカルの処理に関してはテクニックを盗むことが難しいです。

しかし、この曲では非常にシンプルですぐ使える「パターン」が3つあります。

  • コードは第2転回形を使う
  • メロディーに1th~3thの音だけ使う+上がり下がり
  • 期待を裏切る

今回はこの「パターン」に注目しながら、今すぐ使える作曲テクニックを紹介していきます。

ヒット曲の作り方1.コードは第2転回形を使う

この曲のコードの使い方でおもしろいのは、第2転回形を使っているというところです。

転回形を使うことで、同じ音を使っているのに全く違った響きに聞こえます。

コードの転回形とは?


画像引用: https://marisa.fun/piano-tenkai/

たとえばCメジャーコードの場合、通常は低い順から「C・E・G」という音の並びです。

しかしここで、音を「展開」をしてみると...

第1転回形

一番下のCを1オクターブ上げる
→「E・G・C」

第2転回形

第1転回形において一番下のEを1オクターブ上げる
→「G・C・E」

この曲では、最後の「第2転回形」を多用しています。

この曲で使われている転回形の例

この曲で使われているコード進行はコチラ。

bVI(Cメジャー)
i(Eマイナー)
bVII(Dメジャー)

そしてこれを転回形で利用しています。

ヒット曲の作り方2.メロディーに1th~3thの音だけ使う+上がり下がり

それではいよいよ、メロディーの「パターン」分析に入っていきましょう。

この曲では、「メロディーの上がり下がり」が頻繁に行われています。

たとえばAメロの最初は「E F# G F#」と、E→Gに上がり、GからF#に下がっているのを繰り返しています。

メロディーに1th~3thの音だけ使う

1th~3thだけの音を活用したメロディーは、非常にシンプルですが、常にキレイに聞こえます。

今回の曲はEマイナーキーですので、1th~3thは「E・F#・G」です。

まさに、Aメロで使われている音の構成です。

E→F#→G→F#という上がり下がりを繰り返したメロディーは、非常に強力だと言えます。

まるで蛇のように細かく、うねうねしたメロディーです。

繰り返しはほどほどに

1th~3thの音を使ったメロディーは、繰り返しすぎは禁物です。

何回も繰り返すと「次もまたこのパターンが来るだろう」と予測できてしまいます。

そのため、全く同じ繰り返しは1~2回程度にとどめておき、3回目からは少し違うパターンに変えるなどの工夫をするとよいでしょう。

つまり、いい意味で期待を裏切るような変化が必要です。

ヒット曲の作り方3.期待を裏切る

Aメロでは、このようにメロディーが変化しています。

1~2小節目

E→F#→G→F#:E→F#→G→F#→E→D→B

3~4小節目

E→F#→G→F#:E→F#→G→F#→E→D→B

5~6小節目

E→F#→G→A:G→A→B→A→G→F#→E

1~4小節目までは全く同じです。

しかし、5~6小節目は「また同じパターンが来るだろう」と思わせておきながら、微妙に音を変えています。

今までは上がって下がるメロディーだったのに、Aへ上がるメロディーになっているのです。

音程・リズム・音形を変える

この「期待を裏切るパターン作り」には、音程を変える方法とリズムを変える方法があります。

この曲のAメロでは、「音程は変える+リズムは変えない・音形は変えない」というやり方を使っています。

偶数小節では、リズムと音の上がり方・下がり方(音形)は全く一緒ですが、音程だけ変えています。

歌詞とメロディーの関係性

メロディーの上がり下がりと歌詞は、強い結びつきがあると言えます。

メロディーが上がるときは強さ・激しさのある歌詞が歌われ、逆にメロディーが下がるときは、よりやわらかく、優しい歌詞が歌われています。

歌詞とメロディーがリンクしていると、さらに音楽が豊かになるでしょう。


メロディー・コード編はここで終了です。

次は「アレンジ編」に続きます↓


人気記事

1

今回は、BeatsbyVinityTVが解説する「Skrillexのようにリミッターとクリッパーを使って音圧を上げる方法」をまとめました。Skrillexと言えば、激しい音楽と爆発的な音圧が特徴的です。今回は、彼のように音圧を爆上げするにはどうしたらいいのか、その方法を解説していきます。

2

今回は「SM7B vs SM58」をまとめました。ボーカルやギターのレコーディングによく使われるのが、SHURE社のSM7BとSM58です。どちらも超定番のマイクですが、一体何が違うのでしょうか?この記事ではそれぞれの特徴をじっくりご紹介しながら、どちらのマイクを選ぶべきか、その基準を解説します。

スプリングリバーブとは 3

今回は、Sweetwaterが解説するよく使われる5種類のリバーブ(Hall・Chamber・Room・Plate・Spring)の違いについてまとめました。これら5種類のリバーブの特徴や違いをそれぞれ解説しますので、読み終わる頃には、自分が今欲しいリバーブをすぐに判断できるようになります!

4

この記事では、ヒット曲を作曲するための方法を解説した記事をまとめています。作曲・編曲・ミキシング・マスタリングなど、音楽制作の工程ごとに分けてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

5

今回は、Cableguysが解説する「ShaperBox 3の紹介」をまとめました。Cableguys社のプラグイン「ShaperBox」は、作曲からミックスまで幅広く使える超万能プラグインです。この記事では、ShaperBoxの主な機能5つと、特に魅力的な機能の使い方をご紹介します。

6

今回は、数々のモニタースピーカーを販売しているAdam Audio社が解説する「自宅スタジオ~3レベル~」をまとめました。自宅の小さな寝室でDTMをしている方からプロを目指している方まで、レベル別におすすめのDTMセットをご紹介します。

Oeksound 「Soothe2」の驚くべき使い方【DTM MIX】 7

今回は、Riffs,Beards&Gearが解説する「Oeksound Soothe2の秘密」をまとめました。発売以降、「このプラグインのおかげでミックスの効率がものすごく上がった」「もうこのプラグインなしではミックスできない」というプロが世界中で続出したこのプラグインを驚くべき方法で使いこなす方法をご紹介します!

8

今回は「CPUパフォーマンスとリアルタイムパフォーマンスの違い」をまとめました。DTMをしていてよくあるのが「DAWの動作が遅くなる」というトラブルです。ここで重要なのが、この2つのパフォーマンスの違いを理解しておくことです。そこでこの記事ではこれら2つを解説し、サクサクとDAWを動かすためのコツをご紹介します。

iLokが故障・盗難・紛失したときにやるべきことと、事前にやっておくべきことまとめ 9

今回は、DTMerにはおなじみの「iLok」が故障・盗難・紛失したときにやるべきことと、故障・盗難・紛失前にやっておくと安心する5つの項目をまとめました。万が一のときにどうするべきかを知っておくだけでも安心材料になりますので、ぜひご覧ください。

ドリアンモードを使ったゲーム音楽 10

今回は、8-bit Music Theoryが解説する「ドリアンモードの使い方」をまとめました。この記事では前編として「ドリアンモードの基礎」と「ドリアンモードを使ったシリアス&ダークなゲーム音楽の例」をご紹介します。

-メロディー・構成