ゲーム・映像音楽

どんなシーンにも合う映画音楽の「テーマ」の作り方 Part1

このシリーズでは、Galen DeGrafが解説する「どんなシーンにも合うテーマ音楽の作り方」をまとめています。

今回はPart1として、メロディーのバリエーションを増やす方法を解説します。

映画「ヒックとドラゴン」で実際に使われた例をもとに、どんなシーンにも合う1つのメロディー(テーマ)を作る方法をご紹介します。

How to Make a Musical Theme fit any Context

映画「ヒックとドラゴン」より「Test Drive」の例

まずは、John Powellが作曲した映画「ヒックとドラゴン」の「Test Drive」という楽曲を聞いてみましょう。

これは、主人公・ヒックが危険なドラゴンとようやく仲間になり、そのドラゴンの背中に乗って飛ぶシーンで使われます。

0:10~0:23

How to Make a Musical Theme fit any Context
https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

原曲の公式YouTube

Test Drive (From How To Train Your Dragon Music From The Motion Picture)

このようなサウンドになっています。

実はこのテーマの別バージョンが、このシーンより前にも使われています。

ヒックとドラゴンがまだ仲間になる前、ヒックが「あの恐ろしいドラゴンは、稲妻と死神の間に生まれた子どもである」「その姿を見て生きて帰れた者はいない」など、ドラゴンに関する恐ろしい事実が発覚した時のシーンです。


このシーンでは、このようなサウンドになっています。

0:38~

How to Make a Musical Theme fit any Context
https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

原曲の公式音源

The Dragon Book

「本当に別のバージョン?」「全く別の曲ではないか?」と思う方が多いでしょう。

そして、さらにまた別バージョンが登場するのですが、今度はドラゴンが水の中で溺れてしまい、ヒックがそれを助けようとするシーンです。

1:01~

How to Make a Musical Theme fit any Context
https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

原曲の公式音源

Over / Less Okay [4m35-37]

これもまた、先ほどの2曲とは全く違う雰囲気です。

そして最後に、ヒックのお父さんがヒックが生きていると知って安心と喜びに満ちたときのシーンで別バージョンが登場します。

1:30~1:37

How to Make a Musical Theme fit any Context
https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

原曲の公式音源

Where's Hiccup?

以上の4曲を聞いて「同じメロディーが使われている」「似ているな」と思った方は少ないでしょう。

しかし、実はどれも最初の「Test Drive」のメロディーを巧みにアレンジした「別のバリエーションの楽曲」なのです。

このように、1つのメインテーマがシーンに合わせてキー(調)や拍子、ハーモニー、アレンジを変えてさまざまなバリエーションで使われることがあります。

そこでこのシリーズでは、「1つのメロディーを変えてテーマのバリエーションを増やす方法」にフォーカスして解説をしていきます。

つまり、映画音楽で使える「1つのテーマをそのシーンに合わせてアレンジする方法」が理解できるようになりますので、ぜひマスターしてください。

映像音楽の「テーマ」に含まれる要素とは?

次のパートに入る前に、まず「テーマ」に含まれる要素を洗い出してみましょう。

一般的に「テーマ」に含まれる要素には、次のようなものがあります。

・メロディー
・リズム
・拍子
・ハーモニー
・オーケストレーション
・テンポ
・アーティキュレーション

このようなテーマに含まれる要素を少しずつ変更することで、楽曲にバリエーションを与えることができます。

このシリーズでは、このような要素1つ1つに着目しながら、どのようにしてバリエーションを広げていくかをご紹介します。

Part1から順に読み進めることを推奨しますが、どのPartからお読みいただいても今すぐ使えるテクニックになっていますので、気になる項目があればぜひチェックしてください↓


人気記事

1

作曲をしているけど、プロっぽいサウンドにならない…DTMでやってはいけないことってある?今回はこのような疑問にお答えする内容です!カナダの有名プロデューサーが教える「初心者がやりがちな間違ったリバーブの使い方」を3つご紹介!これを覚えておけば、「いいアレンジ」「プロっぽい曲」にグッと近づきます。

2

普段よく聞いているポップスの曲を、かっこよくリハーモナイズしてみたいけど、どうやったらできる? 今回はこのような疑問にお答えする内容です。 ベーシストであり、数々の音楽理論の解説動画をアップしているA ...

3

今回はAudio Universityが解説する「Universal Audio社 Apollo Twinのレビュー」をまとめました。他社では2万円程度の製品がある中で、Apollo Twinは約10万~20万円です。この記事では、Apollo Twinは値段相応の価値があるのかについて解説します。

4

プロ仕様のオーディオインターフェースと、安いオーディオインターフェースってどう違うの?共通点はある? 今回はこのような疑問にお答えする内容です。 https://www.youtube.com/wat ...

5

この記事では、世界中の作曲家・音楽プロデューサーが使っているおすすめのブラス(金管楽器)音源をご紹介します。同じ楽器でも音源によって音色が少し異なりますので、複数持っていると使い分けることができるほか、レイヤーしたときもリアルさと壮大さを増すことができます。

6

DTMをしていると「ビット深度」「サンプルレート」って言葉を聞くけど、これって何?という方のための記事です。これらの意味を知ると、自分にベストな機材を選べるようになったり、正しいフォーマットで作曲できるようになります!

7

今回は、初心者からプロまで使えるおすすめのDTMイヤホン・ヘッドホン14選をまとめました。値段順にご紹介しますので、ぜひ予算に合わせてご自身に合う製品を見つけてください。

8

プロの視点で「歌ってみた」やバンドのボーカルレコーディング用のおすすめマイクを10個ご紹介!5000円〜6万円代まで幅広くご紹介していますので、ご予算やシチュエーションに合ったマイクに出会えます。「なぜおすすめなのか?」「どんなところがいいのか?」も解説しています!

9

海外プロが教える「コード進行をプロっぽくするコツ」をご紹介!LEVEL1の「アマチュアのコード進行」から、LEVEL3の「プロのコード進行」にレベルアップするためのテクニックを解説しています。味気ない・つまらないコード進行から卒業したい方向けの内容です。

10

今回はAdam Audio社とIn The Mixが解説する「スピーカーは縦置き or 横置きのどちらがいいのか?」をまとめました。 多くのスピーカーは正方形ではなく長方形であることが多いですが、縦置 ...

-ゲーム・映像音楽