ゲーム・映像音楽

どんなシーンにも合う映画音楽の「テーマ」の作り方 Part5

このシリーズでは、Galen DeGrafが解説する「どんなシーンにも合うテーマ音楽の作り方」をまとめています。

今回はPart5として、ボディとテールを使ってパターンを発展させる方法を解説します。

映画「ヒックとドラゴン」で実際に使われた例をもとに、どんなシーンにも合う1つのメロディー(テーマ)を作る方法をご紹介します。

How to Make a Musical Theme fit any Context

テーマを「ボディ」と「テール」に分ける

このシリーズの題材にしている「ヒックとドラゴン」のテーマ曲はボディ(Body)テール(Tail)に分けることができます。

https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

ボディはフレーズ前半の部分で、音が細かく上がったり下がったりしています。

強拍に来ている音は「D」「D」「C#」「C#」と連続しており、それぞれ2拍分の長さがあります。

https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

一方、テールは音が階段状に下がるようなフレーズです。

そして、強拍に来ている音は「B」「A」「G」「E」と細かく変わっており、1音あたりの長さがボディのときよりも短くなっています。

そのため、ボディのときよりもフレーズが加速しているように感じられます。

ボディとテールを使ってパターンを発展させる

この楽曲では、ボディとテールを続けて使用することでパターンを発展させています。

https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

ボディのインターバル(ステップ)は「-3、+3、+1」で、テールは「-2、+2、+1」です。

このインターバルはそのままに、スタートの音だけ変えて「ボディ→テール」のフレーズをつなげていきます。

16:02~16:18

How to Make a Musical Theme fit any Context
https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

また、ときどきテールを連続で増やしている場面もあります。

16:22~16:36

How to Make a Musical Theme fit any Context

弱拍は多少変わっても問題なし

強拍のパターンがしっかり一貫していれば、弱拍のパターンは多少変わっても「似ているフレーズ」として認識されやすくなります。

例えば、弱拍の音を簡略化してこのようにしてみましょう。

https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

よりシンプルなフレーズに変更しても強拍は変わっていないので、全く違うメロディーには聞こえず、「少しバリエーションが増えた」と思わせることができます。

17:01~17:14

How to Make a Musical Theme fit any Context

逆に、音を増やしても同様です。

https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

音と音の間に細かい音符を追加しても、強拍が変わらなければ似ているメロディーとして聞こえますので、バリエーションを増やしたい時に便利です。

17:20~17:31

How to Make a Musical Theme fit any Context

強拍の音を変えなければ拍子が変わってもメロディーをキープできる

強拍の音を変えなければ、拍子が変わっても「同じメロディー」をキープできます。

例えば、4/4拍子の曲を3/4拍子にアレンジするときは、強拍で使っていた音をできるだけ強拍に置くようにアレンジします。

https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

下段が変更前のメロディー、上段が変更後のメロディーです。

変更前のメロディーで強拍にあった音を、できるだけ変更後のメロディーにも適用しています。

「ヒックとドラゴン」の例では、4/4拍子の「Test Drive」が、3/4拍子の「Where’s Hiccup」にアレンジされています。

Where's Hiccup?
https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

拍子が4/4拍子から3/4拍子に変わり、グロッケン(Glock)が間を埋めるように飛び跳ねるような演奏をしているので、より明るく感動的な雰囲気にアレンジされています。

18:10~18:21

How to Make a Musical Theme fit any Context


人気記事

1

この記事では、ヒット曲を作曲するための方法を解説した記事をまとめています。作曲・編曲・ミキシング・マスタリングなど、音楽制作の工程ごとに分けてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

2

今回は、Doctor Mixが解説する「歴代のシンセサイザーTOP10」をご紹介します。みなさんがよく耳にする「あの音」は、実はこれらのシンセサイザーの音かも…!?「聞いたことある!」「あの音って、このシンセの音だったんだ!」と驚くこと間違いなしです!

3

CメジャーキーとAマイナーキーって、どう違うの? 聞き分け方はある? 今回はこのような疑問にお答えする内容です。 https://www.youtube.com/watch?v=lPDVo-7Ua28 ...

4

今回はバークリー音大卒業生のBasiaによる「バークリーQ&A バークリーに行く前に知っておくべきこと」をまとめました。Basiaはバークリー音大の作曲専攻を卒業しており、現在はシンガーソングライターとして活動しています。そんな彼女が、バークリー音大に憧れている人や受験を真剣に考えている人のために15の質問に答えます。

5

今回は、オーディオエンジニアのSean Divineが教える「複数楽曲のLUFS(ラウドネス)を統一する方法」をまとめました。曲のアルバムには複数の楽曲が入っており、「1曲目から最後の曲まで通して聴く」というリスナーもいます。そんなリスナーのために、LUFS(ラウドネス)を統一する方法をご紹介します。

ミクソリディアンモードを使ったゲーム音楽 6

今回は、8-bit Music Theoryが解説する「ミクソリディアンモードを使ったゲーム音楽」をまとめました。ゼルダ、FF、ポケモン、マリオなど、ゲーム音楽にはミクソリディアンモードを使った楽曲が数多くあります。「モードを使った作曲にチャレンジしたい!」という方には必見の内容です!

大きいスピーカーを買った方がいいミックスができるのか?おすすめのスピーカーは? 7

今回は「大きいスピーカーを買えばいいミックスができるのか?」をまとめました。一般家庭の部屋に置くには大きすぎるサイズのものもありますが、プロになるのであれば大きいスピーカーを買わなければならないのでしょうか?言い換えれば、大きいスピーカーを買えば、いいミックスやマスタリングができるようになるのでしょうか?

8

今回は、人気音楽プロデューサーのVirtual Riotが解説する「Serum 2の全新機能の解説」をまとめました。Xfer Records社「Serum2」で新しく追加されたプリセットの制作にも携わったVirtual Riotが、新機能17項目を徹底解説します。

9

今回は「カリッとしたボーカルにするためのMIXテクニック」をまとめました。全部で9個あり、組み合わせて使うことで非常に魅力的な音にすることもできます。初心者の方から上級者の方までお試しいただける内容ですので、ぜひご覧ください。

クロマティック・ミディアント(Chromatic Mediant)とは 10

今回は、イギリスの作曲家・Guy Michaelmoreが教える「クロマティック・ミディアント(Chromatic Mediant)とは?」をまとめました。映画音楽界で活躍する本人が、映画音楽でよく使われるクロマティック・ミディアントについて解説します!

-ゲーム・映像音楽