音楽理論

「調性音楽」と「モード」の違いとは?【調性音楽編】

調性音楽とかモードって何?ちょっと難しそうだけど…
CメジャースケールとCアイオニアンモードって、どう違うの?

今回はこのような方のための内容です。

Modern Jazz - Tonal vs Modal Harmony

ジャズ・ブルースに関する数々の解説動画をアップしているWalk That Bassが解説する「調性音楽とモードの違い」についてまとめました。

今回はそのうち、調性音楽(Tonal)の特徴について解説した部分をまとめています。

Part2はこちら

この記事をお読みいただくと、調性音楽とモードの違いがわかるだけでなく、CアイオニアンモードとCメジャースケールの違い(どちらも全く同じ音を使うスケール)や、作曲で使える新たな「音楽の概念」を手に入れることができます!

※ここで解説する「モード」は「現代音楽におけるモード」を指しています。
古代ギリシア音楽や教会旋法におけるモードではありませんので、ご注意ください。
詳しくは「補足:モーダルハーモニーとは」の欄で!

調性音楽(Tonal Music)とは?

まずはじめに、調性音楽の特徴からお話していきます。

調性音楽の特徴は主に3つあります。

・メジャーキー・マイナーキーを使っている
・機能和声(ファンクショナル・ハーモニー)を使っている
・トーナルセンター(Tonal Center)、もしくはルート音がある

和声は、いわゆる「クラシック音楽」と呼ばれる音楽が作られた時代から使われています。

これはだいたい1700年〜1900年ぐらいで、バッハやベートーベンなどの作曲家も活躍していた時代です。

調性音楽ではメジャーキーもしくはマイナーキーを使う

調性音楽は、基本的にメジャーキーもしくはマイナーキーを使って作曲されています。

「Cメジャーキー」や「Cナチュラルマイナーキー」、「Cハーモニックマイナーキー」などです。

これはみなさんも耳にしたことがあると思います。

調性音楽では機能和声(ファンクショナル・ハーモニー)を使っている

「機能和声」とは、そのキーのダイアトニックコードが、それぞれの「機能・役割」を持っていることを指します。

この「機能」には、「トニック」「ドミナント」「プリドミナント」があります。

下の画像のように、たとえばCメジャーキーのCメジャーセブンスコードは「トニック」、CメジャーキーのGセブンスコードは「ドミナント」と呼ばれています。

すべてのダイアトニックコードに対して、それぞれの「機能」が割り当てられているわけです。


画像:動画より

この機能を使い、たとえば「プリドミナントのコード→ドミナントのコード→トニックのコード」というコード進行にすると、その音楽に解決感(すっきり終わった感)が出ます。

ジャズでもよく使われる「II - V - I」というコード進行は「コードがしっかり進行している感じ」がしますが、これはこの「機能和声」のおかげなのです。

これは「II - V - I」は「プリドミナント→ドミナント→トニック」という進行になっているからです。

トーナルセンター(Tonal Center)とは?

Cメジャーキーの場合、Cメジャーセブンスコードは「トーナルセンター」と呼ばれます。

トーナルセンターとは、名前の通り「そのキーの中心」と考えられる音を指します。

言い換えると、このトーナルセンターのコードが鳴ると「安心感」「終わった感」「解決した感」が出るということです。

調性音楽にはこの「機能和声」と「トーナルセンター」の2つがあるので、コード進行は「どこかに向かっている感じ」「トニックに向かって動いている感じ」がするのです。

「どこかに向かっている感じ」って、どんな感じ?

それでは、ここで少しコード進行の例を聞いてみましょう。

CM7 A7 - Dm7 - G7 - ?

4:42~4:48

Modern Jazz - Tonal vs Modal Harmony

さてここまでを聞いて、G7の音は何の音が来そうでしょうか?

Cの音、CM7コードが来たらすっきりした感じになりませんか?

それでは、実際にCM7を入れて弾いてみます。

4:52~5:00

Modern Jazz - Tonal vs Modal Harmony

このように、あるコード進行を聞いて「次は○○コードに行きたい!」「トニックに戻りたい!」と感じるのが、調性音楽の特徴です。

調性音楽の具体的な特徴

調性音楽について、もう少し具体的に解説していきます。

調性音楽においては、「ドミアントはトニックに行きたい・解決したい」と感じます。

たとえばCメジャーキーの場合、「G7はCM7コードに行きたい」と感じるわけです。

これには、すべてのドミナントコードに入っている「トライトーン」が関係しています。

トライトーンとは?

トライトーンとは、かんたんに言うと「とても不安定」「響きが気持ち悪い」と感じる2つの音を指します。

具体的に言うと「半音6つ分の間隔が空いた音」です。

例えばG7コード(G,B,D,F)を見てみると、BとF(3rdと7th)が「トライトーン」の関係にあります。

そのため、G7コードを弾くと「すっきりしたい」「解決したい」と感じやすいのです。

この「BとF」が「CとE」に行ったら、とてもスッキリした響きになりそうですよね。

実際に弾いてみると、このようなサウンドになります。

5:53~5:58

Modern Jazz - Tonal vs Modal Harmony

別の例だと、Db7コード(Db F Ab B)は「FとB」のトライトーンを含んでおり、ここからGbコード(Gb Bb Db)に移動すると、とても解決感があります。

6:30~6:34

Modern Jazz - Tonal vs Modal Harmony

ちなみにこれは、G7からCの「トライトーンサブスティチューション」です。

このG7に入っているトライトーンの響きにより、「G7→CM7」の進行=「ドミナント→トニック」の進行が、とても「解決感のあるコード進行」へと変身させるのです。

トライトーンサブスティチューションについては、この記事でまとめています↓


以上で調性音楽の解説は終了です。

次は「モード」について解説していきます。

調性音楽についてなんとなくイメージできた方なら、モードについてもイメージできるようになりますので、ぜひご覧ください↓


人気記事

1

今回は、DTMでおすすめの民族楽器系音源・プラグインをまとめました。通常のポップスやオーケストラではあまり使われない楽器や、非常にニッチな国・地域特有の楽器が使える製品もまとめています。インド・中国・北欧・ケルト系・アラブ・ガムラン系など幅広くご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。

2

今回は「絶対に買って損しない、おすすめDTM音源・プラグイン」をまとめました。特に多くの音楽プロデューサーに愛用され、世界中でベストセラーになり、買っても絶対に損しないと思えるプラグインはかなり絞られます。ここでは初心者からプロまで使えて「これさえ買っておけば問題なし」と断言できる「世界で愛用されているおすすめDTM音源・プラグイン」をご紹介します。

3

今回は、ユニークな音がすぐ作れるおすすめのマルチエフェクトプラグインを5つご紹介します。 いずれも1つのプラグインでさまざまなエフェクトが使えますので、1つ持っておくだけでもサウンドデザインの幅が広がります。 「何でもいいから何か変化を加えたい」というときにも効果的ですので、ぜひチェックしてみてください。

4

今回は、主にポップスやダンスミュージックで使えるシンセサイザープラグインをご紹介します。いずれも世界的プロも愛用する人気プラグインですが、それぞれ特色が異なりますので、できるだけたくさん持っておくと目的に合った音作りがしやすくなります。まだ持っていないプラグインがあれば、ぜひチェックしてみてください!

5

この記事では、映画音楽やゲーム音楽で使える打楽器・パーカッション音源をご紹介します。ハリウッド映画トレイラーのような迫力のある打楽器アンサンブルから、繊細なオーケストラパーカッションを作りたいときまで幅広く使えますので、ぜひチェックしてみてください。

6

ここでは、AmazonのKindle Unlimitedで読めるおすすめのDTM・作曲関連書籍をご紹介します。月額1000円程度で対象本がすべて読み放題になるサービスですが、実はDTMや作曲関連の本・雑誌も対象作品が多数あるため、作曲をしている方にも非常におすすめできます!

7

今回は、これからDTMをはじめたいという方向けに「Amazonで買えるDTM初心者セット」を3つご紹介します。「これからDTMをはじめたいけど、何を買ったらいいかわからない」「とりあえずこれさえ買っておけばOKみたいなセットはない?」このような方のための記事ですので、ぜひ参考にしてください。

8

今回は、DTMでおすすめの和楽器プラグイン・音源をまとめました。それぞれ特有の音色・アーティキュレーション・奏法が使えるため、なるべくたくさん持っておくと目的に合ったサウンドを作りやすくなります。まだお持ちでない方は、ぜひチェックしてみてください。

9

今回は、音楽プロデューサーのAlex Romeが解説する「どんな曲も劇的に改善するPanのやり方」をまとめました。Pan(パン)は、使い方によっては音がとても不自然に聞こえてしまうことがあります。そこでこの記事では、DTMで上手にMIXするためにはPanをどのように調整すればいいのか、そのコツを8つご紹介します。

10

今回は、音楽好きの方や音楽家・DTMerにおすすめのふるさと納税返礼品をまとめてご紹介します。楽器本体、楽器関連機器、パソコン関連機器、音楽関係のチケット、音楽関係の雑貨など、音楽に関係する返礼品は非常にたくさんあります。気になる返礼品があれば、ぜひチェックしてみてください!

-音楽理論
-